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アイゴ(Siganus fuscescens)の分類 Siganidae
アイゴ(Siganus fuscescens)の概要 Siganus

アイゴ(Siganus fuscescens)

【 学名 】
Siganus fuscescens (Houttuyn, 1782)

基本情報

大きさ・重さ

成魚全長:30 ㎝

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最終更新日:2020-06-30 En

分布

下北半島以南(琉球列島を除く)、台湾、西オーストラリアに分布。

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和名の解説

アイゴは関東地方での呼び名だが由来は不明。アイヌ語でイラクサを「アイ」ということから、棘を持つ魚という意か。

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別名・方言名

ネションベン(静岡県伊東)、イタダイ(富山県氷見)、アイノバリ(和歌山)、モアイ(広島)、アエ(高知)、アイノウオ(島根・福岡)、ヤナギウオ(熊本県八代)、イエー(沖縄)

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人間との関係

その独特な磯臭さから、味の評価は地方によって異なるが、とくに和歌山県、徳島県で珍重される。
『大和本草』に「俗民の説に此魚多ければ民飢饉すという」とある。

沖縄では旧暦6月15日の前後にアイゴ類(スク)の幼魚を網ですくい上げ、「スクガラス」と呼ぶ塩辛にするが、最近ではスクの資源が減少し、原料は外国からの輸入に頼るようになった。

徳島県に「アイゴの皿ねぶり」という言葉がある。食べ終わっても皿まで舐める(ねぶる)ほど美味しいことから。

海藻を綺麗に食べてしまうので「磯の掃除屋」の異名をもつ。かつて大阪湾で養殖のアサクサノリを食い荒らし、甚大な被害をもたらしたことがある。

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形態

成魚の形質

体は卵形で著しく側扁する。背鰭は1基で13棘10軟条。臀鰭は7棘9軟条。腹鰭は1棘3軟条。
臀鰭に棘が7本もあること、腹鰭の前後両端にそれぞれ棘が1本ずつあることが本科の特徴。
うろこは円鱗で非常に細かい。口や顎歯は小さく、口内に歯はない。
体色は場所によって変異に富むが、一般に黄褐色で不規則な白色斑が体全体に散らばる。また、夜間は茶色のまだら模様になり、外敵からの刺激に反応して、白色や濃茶色に体色変化させる。

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卵の形質

直径 0.6〜0.7 ㎜の付着沈性卵。球形で無色透明である。

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生態

生息環境

沿岸の浅海岩礁域に群棲する。
また、伊豆七島などの藻場での観察によれば、単独で岩礁上の海藻に潜り、腹を海底に付け、うねりにゆれる海藻とともに体を前後・左右に揺らしている姿を見かけることがある。このような場合、静かに近づけば、ダイバーがごく至近まで寄っても逃げないでじっとしている。

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食性

稚魚は主に動物プランクトンを食べているが、その後、波の穏やかな内湾域や汽水域に棲みつき、徐々に藻類を餌とする割合が多くなる。
成魚は藻食性が強く、ホンダワラ類などの海藻を好むが、藻に付くワレカラ・ヨコエビなどの甲殻類やゴカイなども摂食する。

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ライフサイクル

産卵期は7〜8月。
孵化直後の仔魚は、全長 2〜3 ㎜で卵黄は小さい。
最初、仔稚魚は大きな群れを作るが、2 ㎝前後に成長すると流れ藻に付いて浮遊する。生後2年で全長 25 ㎝前後になり、成熟する。

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関連情報

漁獲方法

釣りや定置網などで漁獲されるが、専門の漁などは行われていない。

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味や食感

食べごろは秋。成魚は藻食性が強いため広島地方などでは小便臭いと言われている。新鮮なものや、釣ってきて1日くらい餌止めをしたものは、それほど気にならない。

油炒め、煮付け、塩焼き、干物などにする。新鮮なものは刺身にしてもよい。成魚より幼魚が美味いとされる。

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その他

背鰭、腹鰭、臀鰭の鋭い棘に毒腺をもち、刺されると激しく痛む。

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種・分類一覧