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- ミナミメダカ(Oryzias latipes)について
ミナミメダカ(Oryzias latipes)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
【環境省】絶滅の危険が増大している種
- 【 学名 】
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Oryzias latipes (Temminck & Schlegel, 1846)
目次
基本情報
- 大きさ・重さ
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・成魚全長:オス 3.2 ㎝ メス 3.6 ㎝
・仔魚全長:全長 4.0~5.0 ㎜ (ふ化直後)
参考文献
- 瀬能宏 2013 メダカ科, 中坊徹次(編) 日本産魚類検索. 東海大学出版会. pp. 649-650.
- 細谷和海・朝井俊亘 2014 ミナミメダカ, 沖山宗雄(編) 日本産稚魚図鑑. 東海大学出版会. 542.
最終更新日:2020-05-01 ひろりこん
- 分布
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北海道函館(導入)、長野県(千曲川水系)、京都府稜部(由良川水系中・上流)、丹後半島竹野川水系、兵庫県竹野(谷田川水系)、鳥取県岩美(小田川水系)以西の本州日本海側(兵庫県浜田の岸田川水系を除く)、隠岐諸島島後、見島、盛岡(北上川水系)・大船渡(盛川水系)以南の本州太平洋側、瀬戸内海の沿岸および島嶼、四国、九州、対馬、壱岐、五島列島福江島、天草諸島下島、甑島列島、種子島、馬毛島、喜界島、奄美大島、加計呂麻島、伊平屋島、沖縄島、渡嘉敷島、久米島
参考文献
- 瀬能宏 2013 メダカ科, 中坊徹次(編) 日本産魚類検索. 東海大学出版会. pp. 649-650.
最終更新日:2020-05-01 ひろりこん
- 生息状況
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近年、キタノメダカとミナミメダカの生息地は都市開発、河川改修、水田の圃場整備などによるコンクリートの水路の増加、繁殖力の強い外来種による影響などにより、急速に消失し、自然界でメダカが生息している場所を見つけることが難しくなっている。一部地域においては、絶滅した場所もあり、全国的に絶滅の危機にさらされている。
また、日本各地では、絶滅危惧種であるメダカを守ろうとする保護活動が、メダカの遺伝的な多様性を減少させる遺伝子汚染という新たな問題を引き起こしている。
参考文献
最終更新日:2020-05-01 ひろりこん
- 和名の解説
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従来の標準和名「メダカ」は、全国に約4700あるとされる地方名のひとつに由来する。2011年に日本産メダカは2種に分けられ、混乱を避けるために従来の標準和名である「メダカ」は破棄され、日本における本種の分布域がより南に偏ることを考慮して「ミナミメダカ」が提唱された。
参考文献
- 瀬能宏 2013 メダカ科, 中坊徹次(編) 日本産魚類検索. 東海大学出版会. pp. 1923-1927.
最終更新日:2020-05-01 ひろりこん
- 別名・方言名
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アブラコ(高知)、コメンジャコ(岐阜、京都、大阪、奈良、滋賀、岡山、徳島)、ザッコ(岩手、茨城、埼玉、福山、佐賀、熊本、千葉)、ゾーナメ(熊本)、タカミー(鹿児島、沖縄)など
参考文献
- 安田富志郎・高木和徳 1981 メダカ, 日本魚類学会(編) 日本産魚名大辞典. 三省堂. 353-406.
最終更新日:2020-05-01 ひろりこん
- 分類学的位置付け
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従来、 Oryzias latipes (メダカ)は、日本列島、台湾、朝鮮半島から中国大陸にかけて広く分布するとされていた種で、遺伝的に異なる4集団(日本に分布する北日本集団と南日本集団、朝鮮半島の東部から南部に分布する東韓集団、朝鮮半島西部から中国に分布する中国・西韓集団)に区別され、南日本集団についてはさらに9地域型に細分されていた。
これらの集団や他種との類縁関係は検討の余地が残っているものの、現在では日本に分布する北日本集団と南日本集団は別種とされ、前者は O. sakaizumii 、後者は O. latipes とされている。
参考文献
- 瀬能宏 2013 メダカ科, 中坊徹次(編) 日本産魚類検索. 東海大学出版会. pp. 1923-1927.
最終更新日:2020-05-01 ひろりこん
- 人間との関係
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古くから観賞用として親しまれてきたヒメダカのほか、近年さまざまな色彩や形態の改良品種も作られている。海外ではクラゲの遺伝子を組み込み、ブラックライト(紫外線灯)を当てると発光する遺伝子組み替えメダカも作出されているが、日本では法律(遺伝子組換え生物等の規制による生物の多様性の確保に関する法律。通称カルタヘナ法)で輸入が禁止されている。
その他、教育教材やゲノム研究、遺伝学、発生学、生理学、行動学の実験モデル生物として用いられることがある。
参考文献
- 2010 世界のメダカガイド - 書籍全体, 山崎浩二(著) 世界のメダカガイド. 文一総合出版. .
最終更新日:2020-05-01 ひろりこん
形態
- 成魚の形質
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体側後半の黒色素胞は網目模様を形成しないことや、体側後方に染み状の斑紋がないこと、雄の背鰭の欠刻は深い個体が多いことからキタノメダカと区別される。
参考文献
- 瀬能宏 2013 メダカ科, 中坊徹次(編) 日本産魚類検索. 東海大学出版会. pp. 649-650.
最終更新日:2020-05-01 ひろりこん
- 稚魚・仔魚・幼魚の形質
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孵化直後の仔魚は全長 4.0~5.0 ㎜。体前部はやや縦扁し、体後部は側扁する。体の背縁はすでに直線をなす。目は大きく、卵黄嚢は小さく腹部は球状に突出する。鰭膜は大きく発達しているが胸鰭は十分に伸長し、口はおおむね開き、体背部の黒色素胞群が1黒色縦帯を形成するなど、形態形成がかなり進んでいる。
孵化後約3日で卵黄を吸収し後期仔魚となる。全長 6.0 ㎜の仔魚では、口は眼窩中央水平線上にあり、背索は上屈して8本の尾鰭条が現われ、体後部側中線上に並ぶ黒色素胞群が明瞭な縦帯を形成し、消化管の屈曲を外部から観察可能になる。
その後、鰭の分化が急速に進むが、鰭の形成順位はやや特異で、P₁→C→A・D→P₂の順に完成する。
全長約 11 ㎜を超えると稚魚になる。稚魚は、筋節に沿う黒色素胞列が明瞭で、体高が高い。
参考文献
- 細谷和海・朝井俊亘 2014 ミナミメダカ, 沖山宗雄(編) 日本産稚魚図鑑. 東海大学出版会. 542.
最終更新日:2020-05-01 ひろりこん
- 卵の形質
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卵は沈性で、付着糸を備えた纏絡卵。排卵・受精後の卵はしばらく雌親魚の腹部に懸垂しているが、数時間のうちに水草に産着される。
参考文献
- 細谷和海・朝井俊亘 2014 ミナミメダカ, 沖山宗雄(編) 日本産稚魚図鑑. 東海大学出版会. 542.
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- 地理的変異
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9つの地方型に分かれる。分布はおおまかなもの
・東日本型(岩手~紀伊半島南部、四国南部)
・山陰型(京都県丹後半島竹野川水系、兵庫県竹野 谷田川水系、鳥取~山口日本海側)
・東瀬戸内型(中部・近畿・兵庫瀬戸内海側)
・西瀬戸内海側(中国・四国瀬戸内海側、九州の瀬戸内海西部)
・北部九州型(九州北部とその島嶼)
・有明型(佐賀・長崎の有明海周辺、熊本)
・大隈型(大隈半島)
・薩摩型(薩摩半島)
・琉球型(薩南~沖縄諸島)
参考文献
- 瀬能宏 2013 メダカ科, 中坊徹次(編) 日本産魚類検索. 東海大学出版会. pp. 649-650.
最終更新日:2020-05-01 ひろりこん
- 似ている種 (間違えやすい種)
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キタノメダカ
参考文献
- 瀬能宏 2013 メダカ科, 中坊徹次(編) 日本産魚類検索. 東海大学出版会. pp. 649-650.
最終更新日:2020-05-01 ひろりこん
生態
- 生息環境
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平野部の河川、池沼、水田、用水路、塩性湿地など、止水域あるいは秒速 15 ㎝以下の緩やかな流れで、水草が繁茂した場所に生息。
参考文献
- 瀬能宏 2018 メダカ科, 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z 日本魚類館 ~精緻な写真と詳しい解説~. 小学館. pp. 192-193.
最終更新日:2020-05-01 ひろりこん
- 食性
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プランクトン植物や、プランクトン動物、落下昆虫などを食べる雑食性
参考文献
- 瀬能宏 2018 メダカ科, 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z 日本魚類館 ~精緻な写真と詳しい解説~. 小学館. pp. 192-193.
最終更新日:2020-05-01 ひろりこん
- ライフサイクル
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繁殖期は春から夏。早朝、一連の求愛行動の後に雄が雌に寄り添い、背鰭と尻鰭で包接し、放精と産卵が行われる。毎日10~30個の卵を産む。卵には付着糸があり、雌がしばらく塊のまま腹につけて保護するが、やがて水草などに何度かに分けて付着させる。
千葉県では5~6月に孵化した個体の一部は8月末に成熟するが、多くは未成熟のまま越冬し、翌年の4月末に成熟する。産卵後、6~7月には約14か月の寿命を終える。
参考文献
- 瀬能宏 2018 メダカ科, 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z 日本魚類館 ~精緻な写真と詳しい解説~. 小学館. pp. 192-193.
最終更新日:2020-05-01 ひろりこん
- 活動時間帯
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昼行性で、水面直下を群泳する
参考文献
- 瀬能宏 2018 メダカ科, 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z 日本魚類館 ~精緻な写真と詳しい解説~. 小学館. pp. 192-193.
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関連情報
- 飼育方法
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1ペアだけを飼育するのであれば、10~15 ℓ(30~36 ㎝水槽)ぐらいの小型水槽でも十分可能だが、群れで飼う場合には 50 ℓ(60 ㎝)ぐらいの水槽での飼育すのがよい。フィルターは飼育スタイルに応じて適した製品を選ぶ。
冬季でも加温せずに飼育することができる。餌は人工飼料や生餌などを食べ、あまりえり好みはしない。口が上を向いており水面に浮かんだ餌が食べやすいので、浮上性の人工飼料が適している。
参考文献
- 2010 世界のメダカガイド - 書籍全体, 山崎浩二(著) 世界のメダカガイド. 文一総合出版. .
最終更新日:2020-05-01 ひろりこん
- 外来種としての影響
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近年、ヒメダカが日本各地の野外の河川や水路などでも目撃されている。養殖場からの流出や飼育個体の遺棄的放流も考えられるが、地域や規模は限定的であろう。一方、環境保護活動としての組織的な放流が広範囲かつ影響力の大きい要因として考えられる。
品種改良メダカは特定の遺伝子上に起きた突然変異を品種として固定しただけであり、種内変異に過ぎない。さらに、飼育実験から野生型とヒメダカの体色の違いは群れの形成や配偶者選択には全く影響がないことが分かってきた。このことは、ヒメダカが一度野外に放たれた場合、その遺伝子が野生集団の中に容易に侵入できることを意味する。
実際に、ミトコンドリアDNA(mtDNA)と核DNA上の遺伝子の分析によりメダカ(キタノメダカとミナミメダカ)に全国的な遺伝的撹乱が起こっていることが示されている。野生集団における遺伝的撹乱の進行を抑制するためには、ヒメダカの野外への流出をとめることが最優先事項であるといえる。このためには、ヒメダカをはじめとする改良品種メダカの生産者、それを利用する愛好者や小学生までの幅広い層への啓発が必要であるとともに、何よりメダカを守ろうとしてヒメダカや他地域のメダカを放流する活動をこれ以上広めないことが重要である。
参考文献
最終更新日:2020-05-01 ひろりこん