- 解説一覧
- ナイルティラピア(Oreochromis niloticus)について
ナイルティラピア(Oreochromis niloticus)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Oreochromis niloticus (Linnaeus, 1758)
基本情報
- 大きさ・重さ
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全長:50 cm
成熟サイズは標準が 20 cmであるが、水域の大きさにも左右され、エドワード湖では全長 17 cmであるのに対し、大きなトゥルカナ湖では 39 cmにも達する。
参考文献
- 山岡耕作 1989 ナイルテラピア, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 538-539.
最終更新日:2020-09-28 ハリリセンボン
- 分布
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ハワイや東南アジアなど、世界中の熱帯域に定着している。
日本では沖縄県の河川下流域では、本種とカワスズメ(モザンビークティラピア)O. mossambicus 及び両種の雑種の分布が著しく広まっている(嶋津, 2016)。
参考文献
- 2017 岐阜県の魚類, 第2版 - 書籍全体, 向井貴彦(著) 岐阜県の魚類, 第2版. 岐阜新聞社. .
最終更新日:2020-09-28 ハリリセンボン
- 別名・方言名
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地方名:イズミダイ・チカダイ(別名)
別名であるチカダイは、肉質と味がタイに似る点と、種小名 nilotica の tica(チカ)から合成された、販売促進のための名称である。
参考文献
- 山岡耕作 1989 ナイルテラピア, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 538-539.
最終更新日:2020-09-28 ハリリセンボン
- 分類学的位置付け
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スズキ目 カワスズメ科 オレオクロミス属
参考文献
- 山岡耕作 1989 ナイルテラピア, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 538-539.
- 2017 岐阜県の魚類, 第2版 - 書籍全体, 向井貴彦(著) 岐阜県の魚類, 第2版. 岐阜新聞社. .
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- 人間との関係
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日本へは、最初1962年に当時のアラブ連邦から約200尾が移入された。モザンビークティラピアの場合とは反対に、タイへは日本から移入されたといわれる。現在、南日本を中心に、温泉場や湧水のある池田湖などで自然繁殖している。
原産地はニジェール川水系を中心としたアフリカ大陸西部およびタンガニイカ湖以北のナイル川水系である。また、アフリカ大陸以外の原産地は、イスラエルのヤルコン川である。ナイルティラピアとモザンビークティラピアの自然分布域は、原産地のアフリカ大陸では重複していない。ナイル川水系の源の1つであるビクトリア湖には分布していなかったが、1951年頃にジルティラピアに交じって入り繁殖している。
発電所の温排水や温泉水などを利用して、盛んに養殖が行われている。
参考文献
- 山岡耕作 1989 ナイルテラピア, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 538-539.
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形態
- 成魚の形質
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体色は生息環境により異なるが、黄みを帯びた暗灰色を示すことが多い。体側には不明瞭な8~10本の暗色の横帯があり、尾鰭には細かい横縞が見られる。モザンビークティラピアに比べて、口が小さく体高が高い。
背鰭17(15~18)棘11~14軟条、尻鰭3棘10~11軟条、縦列鱗数31~33、脊椎骨数31(29~32)、第1鰓弓下肢鰓耙数20~26、腸管は複雑に巻く。
産卵期になると、雄では横帯が消えて、背鰭・尾鰭の縁辺は淡紅色となる。尾鰭には細かい横縞が見られる。
参考文献
- 山岡耕作 1989 ナイルテラピア, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 538-539.
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- 卵の形質
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受精卵は黄色い洋梨形で、大きいものでは長径が 4.3 ㎜もあるが、一般には 2.5~3.5 ㎜である。
参考文献
- 山岡耕作 1989 ナイルテラピア, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 538-539.
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生態
- 生息環境
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河川や湖沼など多様な環境に生息する。
本州では冬季の低水温に耐えられないため、温泉地や工場などの温排水の流れ込む水路にのみ生息している。
岐阜県内では、奥飛騨に定着している場所があったが、温泉排水の水路を変えたことで、その場所から姿を消した。岐阜市周辺にも工場の温排水の流れ込む水路にいたとされるが、少なくとも現在は生息が確認できない。
参考文献
- 山岡耕作 1989 ナイルテラピア, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 538-539.
- 2017 岐阜県の魚類, 第2版 - 書籍全体, 向井貴彦(著) 岐阜県の魚類, 第2版. 岐阜新聞社. .
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- 食性
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成魚は主にプランクトン植物やバクテリアを摂餌し、pH1.6という強酸性の胃の内部で藍藻なども消化する。
全長 5 cmまでの個体は、プランクトン動物や昆虫などを含む多様な餌をとる。
参考文献
- 山岡耕作 1989 ナイルテラピア, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 538-539.
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- ライフサイクル
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孵化直後の仔魚は全長 5 mm前後であり、約 8 mmになると遊泳できるようになる。受精後、雌から独立するまでに約2週間かかるが、雌による保護期間が長い仔魚ほど、独立後の成長がよいとされている。
熱帯域での寿命は6~7年である。
参考文献
- 山岡耕作 1989 ナイルテラピア, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 538-539.
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- 産卵
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産卵に適した水温は24~32℃であり、水温が19~20℃になると雄はなわばりを形成し、その中心に径 60~120 cm、深さ 15~30 cmの巣をつくる。雌のみを飼育すると、雌自身が巣をつくる。30~60日ごとに産卵を繰り返す。
雌が卵や仔魚を口腔内で哺育する。1回の産卵数は全長 22~25 cmの個体で400~800粒、35 cmの個体で1800~2000粒である。
受精卵は静止すると死んでしまうため、口腔内で雌の呼吸運動に合わせて回転する。水温25℃前後では6~7日で孵化する。
参考文献
- 山岡耕作 1989 ナイルテラピア, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 538-539.
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- その他生態
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水温や塩分濃度に対して、かなり広い適応性を示す。生息に適した水温は24~30℃であるが、低水温には強い耐性を示し、慣らしていけば10℃でも生活できる。高水温に対しては45℃でもそれほど問題なく生存する。また慣らせば、海水でも飼育できる。
参考文献
- 山岡耕作 1989 ナイルテラピア, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 538-539.
最終更新日:2020-09-28 ハリリセンボン
関連情報
- 味や食感
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美味であり、刺身として消費されることが多い。
参考文献
- 山岡耕作 1989 ナイルテラピア, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 538-539.
最終更新日:2020-09-28 ハリリセンボン
- その他
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その他の総合対策外来種である。
参考文献
- 2017 岐阜県の魚類, 第2版 - 書籍全体, 向井貴彦(著) 岐阜県の魚類, 第2版. 岐阜新聞社. .
最終更新日:2020-09-28 ハリリセンボン