ヒラマサ(Seriola lalandi)の解説トップに戻る
ヒラマサ(Seriola lalandi)の分類 Carangidae
ヒラマサ(Seriola lalandi)の概要 Seriola

ヒラマサ(Seriola lalandi)

【 学名 】
Seriola lalandi Valenciennes, 1833

基本情報

大きさ・重さ

成魚全長:1.9 m

参考文献

  • 木村清志 1997 , 水野信彦(監修) 川那部浩哉(編) 日本の海水魚. 山と渓谷社. 316.

最終更新日:2020-06-08 En

分布

本州以南、世界中の温帯・亜熱帯地域に分布。赤道域にはほとんど出現しない。

参考文献

  • 望月賢二 2005 , 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. 326.

最終更新日:2020-06-08 En

別名・方言名

ショノコ(新潟)、マサ(東京)、ヒラバタケ(富山県富山)、ヒラブリ、シオ(三重県鳥羽)、ヒラソ(島根県浜田、山口県小野田、下関)、ヒラサ(広島)、ヒネゴ(鹿児島)、ヒラソウジ(奄美)

参考文献

  • 望月賢二 2005 , 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. 326.

最終更新日:2020-06-08 En

人間との関係

季題は<夏>
「あざやかな 平鰤をどる 甲板に 松村砂丘」
「ひらまさ食ぶ 鳥羽は白雨の 旅の宿 八木千尋」
「ひらまさや 乗合船の 明けそむる 村山国子」

『魚鑑』に「ブリに似て、味わい美し」とある。
江戸時代の天保期(1830〜1844)頃から食用とされていたようで、寿司ダネとして扱われるようになったのは、昭和の初期の頃といわれている。

参考文献

  • 望月賢二 2005 , 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. 326.

最終更新日:2020-06-08 En

形態

成魚の形質

体は紡錘形で側扁する。背方は青緑色、腹方は銀白色。
眼を通る黄色縦帯がある。
第一背鰭6〜7棘。第二背鰭30〜36軟条。臀鰭1棘19〜22軟条。稜鱗はない。
臀鰭の前方に2本の遊離棘がある。第二背鰭と臀鰭の後ろに小離鰭はなく、尾柄両側部に肉質の隆起線がある。

参考文献

  • 木村清志 1997 , 水野信彦(監修) 川那部浩哉(編) 日本の海水魚. 山と渓谷社. 316.
  • 真木ほか 1997 , 真木長彰、寺島裕晃、中村晢美(著) 阿部宗明、本間昭郎(監修) 山本保彦(編) 現代おさかな辞典. 株式会社エヌ・ティー・エス. 554.

最終更新日:2020-06-08 En

卵の形質

球形で、直径 1.3 ㎜〜1.5 ㎜の分離浮性卵。

参考文献

  • 真木ほか 1997 , 真木長彰、寺島裕晃、中村晢美(著) 阿部宗明、本間昭郎(監修) 山本保彦(編) 現代おさかな辞典. 株式会社エヌ・ティー・エス. 554.

最終更新日:2020-06-08 En

似ている種 (間違えやすい種)

ブリとは上顎上後角が丸いこと、胸鰭が腹鰭よりも短いことで区別できる。


近縁種のブリやカンパチの体長 30〜40 ㎜の稚魚は、流れ藻の下に付いていることが多いが、同サイズのヒラマサ稚魚は流れ藻などの漂流物には付かないらしい。
しかし、全長 20〜50 ㎜前後の若魚や未成魚は、春から初夏にかけて流木などの浮漂物に付いて行動するのが観察されている。

参考文献

  • 木村清志 1997 , 水野信彦(監修) 川那部浩哉(編) 日本の海水魚. 山と渓谷社. 316.
  • 真木ほか 1997 , 真木長彰、寺島裕晃、中村晢美(著) 阿部宗明、本間昭郎(監修) 山本保彦(編) 現代おさかな辞典. 株式会社エヌ・ティー・エス. 556.

最終更新日:2020-06-08 En

生態

生息環境

表層にもいるが、主に沖合岩礁域の中・底層にすむ。

参考文献

  • 望月賢二 2005 , 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. 326.

最終更新日:2020-06-08 En

食性

主としてカタクチイワシやアジ類、サバ類、イカ類、アミ類を捕食する。

参考文献

  • 木村清志 1997 , 水野信彦(監修) 川那部浩哉(編) 日本の海水魚. 山と渓谷社. 316.

最終更新日:2020-06-08 En

ライフサイクル

産卵期は春から夏で、五島列島では4〜5月が産卵盛期。
孵化直後の仔魚は全長 4 ㎜前後で細長く、腹部に大きな楕円形の卵黄を持つ。孵化後2日で 4.5 ㎜前後に成長し卵黄をほぼ吸収する。この段階で扇状の胸鰭が形成され、左右のえらぶたに鋭い棘が2本ずつ出現する。全長 5.5 ㎜で第二背鰭と臀鰭が形成され始め、左右のえらぶたの棘は内側に2本と外側に4本、7 ㎜前後で内側に2〜3本と外側に5本ずつに増加する。全長 8 ㎜では第一背鰭が形成され始め、えらぶたのほかに胸鰭上方にも2棘が出現する。全長 11〜12 ㎜で各鰭は成魚とほぼ同数となる。えらぶたの棘は、全長 17 ㎜前後のときには内側に3本と外側に8〜11本までに増加するが、その後の成長に伴って消失していく。
生後1年で体長 40 ㎝前後、2年で 60 ㎝前後、3年で 80 ㎝前後、4年で 90 ㎝前後に成長する。

参考文献

  • 真木ほか 1997 , 真木長彰、寺島裕晃、中村晢美(著) 阿部宗明、本間昭郎(監修) 山本保彦(編) 現代おさかな辞典. 株式会社エヌ・ティー・エス. 554-556.

最終更新日:2020-06-08 En

産卵

産卵適水温は20℃前後である。孕卵数は体長 85 ㎝で約200万粒。

参考文献

  • 真木ほか 1997 , 真木長彰、寺島裕晃、中村晢美(著) 阿部宗明、本間昭郎(監修) 山本保彦(編) 現代おさかな辞典. 株式会社エヌ・ティー・エス. 554.

最終更新日:2020-06-08 En

特徴的な行動

回遊性をもつ。
大型魚はごく稀にシガテラ毒を持つものもあるため、注意が必要。

参考文献

  • 木村清志 1997 , 水野信彦(監修) 川那部浩哉(編) 日本の海水魚. 山と渓谷社. 316.
  • 望月賢二 2005 , 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. 326.

最終更新日:2020-06-08 En

関連情報

漁獲方法

旋網、定置網、一本釣りなどで漁獲される。天然物は、千葉産のものが多く、なかでも勝浦産のものは味も最高と言われる。

参考文献

  • 望月賢二 2005 , 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. 326.

最終更新日:2020-06-08 En

味や食感

一般に、魚は太っている方が美味しいとされているが、ヒラマサの場合は、あまり太っているものは大味である。

晩春から夏にかけてが旬。2〜3 ㎏くらいのものが味もいい。
薄い赤身肉で脂肪分があり、刺身にして食べるのが一番美味しい。塩焼きや煮付けにしても美味。大きいものは脂肪分が多いので、照り焼き、粕漬け、味噌漬け、バター焼き、ホイル焼きなどの焼き物にするとよい。

参考文献

  • 真木ほか 1997 , 真木長彰、寺島裕晃、中村晢美(著) 阿部宗明、本間昭郎(監修) 山本保彦(編) 現代おさかな辞典. 株式会社エヌ・ティー・エス. 556.

最終更新日:2020-06-08 En

種・分類一覧