- 解説一覧
- ブリ(Seriola quinqueradiata)について
ブリ(Seriola quinqueradiata)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Seriola quinqueradiata Temminck & Schlegel, 1845
目次
基本情報
- 大きさ・重さ
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成魚全長:1 m
仔魚全長:4〜15 mm
卵の大きさ:直径 1.2~1.4 mm
参考文献
- 檜山義明 2010 ブリ, 竹内俊郎、中田英昭、和田時夫、上田宏、有元貴文、渡部終五、中前明(編) 水産海洋ハンドブック. 生物研究社. p. 164.
最終更新日:2020-04-28 鍋
- 分布
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東シナ海・朝鮮半島沿岸域・日本周辺海域
参考文献
- 檜山義明 2010 ブリ, 竹内俊郎、中田英昭、和田時夫、上田宏、有元貴文、渡部終五、中前明(編) 水産海洋ハンドブック. 生物研究社. p. 164.
最終更新日:2020-04-28 鍋
- 和名の解説
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脂が多いことから「あぶら」→「ぶら」→「ぶり」と転訛したとされる。他には、身がぶりぶりしていることに由来するという説、雪の「降り」積もる季節に旬を迎えることに由来するという説などがある。「鰤」の漢字は、「師」走(12月)に脂が乗り旨くなることに由来するといわれる。
参考文献
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- 別名・方言名
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成長に従って名前を変える代表的な出世魚であり、成長段階での各地での呼び名は以下の通りである。
・関東地方
ワカシ/ワカナ/ワカナゴ (10〜30 cm)、イナダ (30〜60 cm)、ワラサ (60〜80 cm)、ブリ (80 cm 以上)
・三陸地方
ツバエソ/ツバイソ (6 cm 前後)、コズクラ (9〜15 cm)、フクラギ/フクラゲ (30〜45 cm)、アオブリ/ハナジロ/ガンド/ブリ (50 cm 以上)
・北陸地方
コゾクラ/コズクラ/ツバイソ (35 cm 以下)、フクラギ (35〜60 cm)、ガンド/ガンドブリ (60〜80 cm)、ブリ (80 cm 以上)
・関西地方
ツバス (10〜15 cm)、ハマチ (20〜40 cm)、メジロ (50〜70 cm)、ブリ (80 cm 以上)
・和歌山県
ワカナゴ (10〜15 cm)、ツバス (20 cm 前後)、イナダ/イナラ (25〜30 cm)、ハマチ (30〜40 cm)、メジロ(50〜60 cm)、ブリ (60 cm)、オオイオ (70〜80 cm)、ドタブリ (1 m 以上)
・高知県
モジャッコ (6 cm 以下)、モジャコ (10 cm 前後)、ワカナゴ (12〜20 cm)、ハマチ (30〜40 cm)、メジロ (40〜50 cm)、ブリ (60 cm 以上)、オオイオ (80 cm 以上)
・九州北部
ワカナゴ (9〜12 cm)、ヤズ (15〜20 cm)、ハマチ (30〜40 cm)、メジロ (50〜60 cm)、ブリ (80 cm 以上)、オオウオ (1 m 前後)
参考文献
最終更新日:2020-04-28 鍋
- 人間との関係
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代表的な食用魚であり、刺身やしゃぶしゃぶ、カルパッチョ、照り焼きなどで食される。産卵期前で脂が乗る冬に旬を迎え、この時期のブリは特に「寒ブリ」と呼ばれる。寒ブリは、カンパチやヒラマサよりも脂肪が多く、独特の風味がある。出世魚で縁起が良いこともあり、西日本では御節料理に欠かせない食材である。
古くから年取り魚として伝統行事に使われ、日本人の生活に深く浸透している魚である。特に関西や北陸地方では、東日本の鮭に匹敵する魚として珍重され、祝い事には欠かせない食材のひとつとされている。
参考文献
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形態
- 成魚の形質
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体型は前後に細長い紡錘形。背は暗青色、腹は銀色で、境の体側に黄色の縦帯がある。体表に細かい鱗があり、側線鱗の数は210〜220枚になる。背びれと尻びれの後ろに小離鰭はない。
同属種のヒラマサと外形がよく似ているが、ブリは上顎の後端が角張っていること、ヒラマサほど側扁していないこと、胸びれが腹びれより長いこと、黄色の縦帯が不明瞭なことから区別できる。カンパチとは、目を通る黄色い斜線がないこと、目が吻端と尾の中央を結ぶ線上にあることから区別される。
参考文献
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- 稚魚・仔魚・幼魚の形質
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頭は小さく、体は細長い。肛門は体の中央よりやや後方に位置する。尾部末端には下尾骨の原基が出現している。前鰓蓋骨外縁に4棘、内縁に1棘を備え、外縁隅角部の棘は伸長する。尾部背・腹縁には色素胞が密に分布する。体側中央部には黒色素列が見られ、尾端部にも色素胞が散在する。
参考文献
- 平賀洋之@木下泉 2014 ブリ, 沖山宗雄(編) 日本産稚魚図鑑. 東海大学出版会. p. 793.
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- 卵の形質
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球形分離浮遊卵で、油球径 0.30〜0.33 mm。卵黄上の黄色素胞は多く、数個の黒色素胞を持つ。
参考文献
- 2014 魚卵の解説と検索 - 書籍全体, 池田知司、平井明夫、田端重夫、大西庸介、水戸敏(著) 魚卵の解説と検索. 東海大学出版会. .
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- 似ている種 (間違えやすい種)
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仔魚はヒラマサ・カンパチに似る。
参考文献
- 平賀洋之@木下泉 2014 ブリ, 沖山宗雄(編) 日本産稚魚図鑑. 東海大学出版会. p. 793.
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生態
- 生息環境
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全長 4〜15 mm に成長するまでの仔魚期には表層に浮遊生活し、全長 15〜75 mm の稚魚期には多くがホンダワラなどの流れ藻に付随する。そのことから日本各地で「モジャコ (藻雑魚)」と呼ばれる。
参考文献
- 檜山義明 2010 ブリ, 竹内俊郎、中田英昭、和田時夫、上田宏、有元貴文、渡部終五、中前明(編) 水産海洋ハンドブック. 生物研究社. p. 164.
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- 食性
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成魚はイワシ類、アジ類、サバ類、イカ類、オキアミ類に加え、ヒイラギ、イサキ、ネンブツダイ、タイ類などの底魚も捕食する。
仔魚はカイアシ類や枝角類などの動物プランクトンを捕食する。
参考文献
- 檜山義明 2010 ブリ, 竹内俊郎、中田英昭、和田時夫、上田宏、有元貴文、渡部終五、中前明(編) 水産海洋ハンドブック. 生物研究社. p. 164.
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- ライフサイクル
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秋冬に南下、春夏に北上回遊する。年齢が高くなるにつれて移動範囲が大きくなる一方、大きな移動を行わない大型魚も存在するようである。1歳で尾叉長 35〜40 cm 、2歳で 60 cm 、3歳で 75 cm 、4歳で 80 cm 程度に成長し、3歳(一部は2歳)で全ての個体が成熟する。繁殖期は2〜7月で最盛期は3〜5月である。
参考文献
- 檜山義明 2010 ブリ, 竹内俊郎、中田英昭、和田時夫、上田宏、有元貴文、渡部終五、中前明(編) 水産海洋ハンドブック. 生物研究社. p. 164.
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関連情報
- 漁獲方法
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巻き網、定置網、釣り、延縄、旋網、刺し網、掛け網などで漁獲される。近年はルアーフィッシングも盛んにおこなわれる。船釣りが主だが、港湾内や岸壁近くに入り込んでくることがあり、陸から釣れることもある。
参考文献
最終更新日:2020-04-28 鍋
- 養殖方法
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春に流れ藻についた稚魚 (モジャコ) を捕獲して養殖する。肥育期間は通常、2年程度である。世界で初めて養殖に成功したのは日本の引田 (香川県東かがわ市) で、築堤方式と呼ばれる天然の入り江や小湾を堤防で仕切って養殖が行われた。その後、支柱式網囲い方式が開発され、小割式網生簀方式に至った。養殖ものの主な生産地は、鹿児島県、愛媛県、長崎県、大分県などで、特に鹿児島県は6万トン近くと、全国生産量の3分の1以上を占める。
参考文献
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- その他
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栄養分としては良質のたんぱく質、脂質に富む。脂質には血栓性疾患を防ぐEPA、脳細胞を活性化するDHAが含まれる (特にDHAが豊富である)。また、ビタミンB1、ビタミンB2などのビタミンB群、ビタミンD、ビタミンEも豊富。特にビタミンEは脂質の酸化を抑える働きをするため、脂肪の持つ多価不飽和脂肪酸が酸化しにくい。血合部分には、高血圧を予防し高脂血症を押さえ疲労回復を助けるタウリンを豊富に含有する。天然ものと養殖ものでは、栄養価にはほとんど差がない。
参考文献
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