- 解説一覧
- キジハタ(Epinephelus akaara)について
キジハタ(Epinephelus akaara)
- 【 学名 】
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Epinephelus akaara (Temminck & Schlegel, 1842)
目次
基本情報
- 分布
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青森県(下北半島)以南、朝鮮半島南部、中国、台湾に分布。
参考文献
- 瀬能宏 1997 , 水野信彦(監修) 川那部浩哉(編) 日本の海水魚. 山と渓谷社. 275.
最終更新日:2020-05-15 En
- 和名の解説
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① 赤みがかった褐色の地に、橙赤色の小斑点が体全体に散在し、オスの雉の羽に似ることから「雉斑(きじはた)」。ハタは「斑(はたら)」の下音省略で斑紋魚の意。
② 太い棘が目立ったと見え、ひれのことを羽根と言ったので、羽の太い魚の意から羽太と呼ぶ。
参考文献
- 望月賢二 2005 , 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. 137.
最終更新日:2020-05-15 En
- 別名・方言名
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アズキハタ / アズキボウ(男鹿)、ナメノコバチメ(石川県宇出津)、コオラギ(和歌山県周参見)、クロタカバアラ、モイヲ(鹿児島)
参考文献
- 望月賢二 2005 , 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. 137.
最終更新日:2020-05-15 En
形態
- 成魚の形質
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体は楕円形で側扁する。体長は体高の約3倍。
背鰭は1基で11棘15〜17軟条。臀鰭は3棘8〜9軟条。胸鰭は17〜19軟条。尾鰭の後縁は円い。えらぶたの後部に1棘がある。うろこは小さな櫛鱗。
側線はえらぶたの後上方から尾柄部まで走り、側線上に92〜106枚のうろこが並ぶ。
体色は褐色で、黄橙色の斑紋が全身に密に分布する。背鰭の棘条部後方から背部にかけて、暗色の1斑紋がある。また、体側部に5本の不明瞭な暗色横帯が走る個体もある。
参考文献
- 真木ほか 1997 , 真木長彰、寺島裕晃、中村晢美(著) 阿部宗明、本間昭郎(監修) 山本保彦(編) 現代おさかな辞典. 株式会社エヌ・ティー・エス. 538.
最終更新日:2020-05-15 En
- 卵の形質
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球形で、0.7〜0.8 ㎜ の分離浮性卵。産卵から孵化するまでの時間は、水温26℃で約24時間。
参考文献
- 真木ほか 1997 , 真木長彰、寺島裕晃、中村晢美(著) 阿部宗明、本間昭郎(監修) 山本保彦(編) 現代おさかな辞典. 株式会社エヌ・ティー・エス. 538.
最終更新日:2020-05-15 En
- 似ている種 (間違えやすい種)
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美味で夏の上等魚である西日本のアコ(キジハタを含むハタ類の一部をさす)と、関東のアコオとが、名が似てよく混同される。関東のアコオは赤い切り身で冬春の惣菜魚として売られるが、これはメヌケのことで味はあまり良くないとされる。両者を産する富山県では、前者をアカラ、後者をアカウオとはっきり区別している。
参考文献
- 望月賢二 2005 , 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. 137.
最終更新日:2020-05-15 En
生態
- 生息環境
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沿岸の浅い岩礁域に生息し、若魚は静かな内湾の磯に多い。
参考文献
- 真木ほか 1997 , 真木長彰、寺島裕晃、中村晢美(著) 阿部宗明、本間昭郎(監修) 山本保彦(編) 現代おさかな辞典. 株式会社エヌ・ティー・エス. 538.
最終更新日:2020-05-15 En
- 食性
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肉食で、浮遊期の仔稚魚は動物プランクトンを摂食するが、底生生活に移行後はエビ・カニ類や魚類を食べるようになる。
参考文献
- 真木ほか 1997 , 真木長彰、寺島裕晃、中村晢美(著) 阿部宗明、本間昭郎(監修) 山本保彦(編) 現代おさかな辞典. 株式会社エヌ・ティー・エス. 538.
最終更新日:2020-05-15 En
- ライフサイクル
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産卵期は春から夏で、瀬戸内の産卵盛期は8月。
孵化直後の仔魚は全長 1.5 ㎜ 前後で、腹部に大きな楕円形の卵黄をもつ。
孵化後4〜5日で全長 2.2 ㎜ 前後に成長し、卵黄をほぼ吸収する。孵化後約2週間で全長 4 ㎜ 前後に成長し、背鰭や腹鰭の棘条が形成される。
この頃の仔魚は背鰭の第2棘と臀鰭の第1棘が著しく伸長し、その縁辺に鋸歯が発達する。
孵化後25〜26日で全長 25 ㎜ 前後に成長し、各鰭の条数は成魚と同数になる。その後、孵化から80日で全長 70 ㎜ に達する。
参考文献
- 真木ほか 1997 , 真木長彰、寺島裕晃、中村晢美(著) 阿部宗明、本間昭郎(監修) 山本保彦(編) 現代おさかな辞典. 株式会社エヌ・ティー・エス. 538.
最終更新日:2020-05-15 En
- その他生態
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雌雄同体で、はじめはメスだが卵巣内に精細管ができ、これが精巣に変わってオスとなる。
参考文献
- 望月賢二 2005 , 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. 137.
最終更新日:2020-05-15 En
関連情報
- 漁獲方法
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磯釣りで釣れるが、針にかかると根に潜ろうとする習性があるので、手早く取り込む必要がある。
参考文献
- 望月賢二 2005 , 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. 137.
最終更新日:2020-05-15 En
- 味や食感
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夏が食べごろ。小骨が少ないので調理しやすい。白身で、ハタ類の中では味がよい。刺身に適しており、高級魚扱いをされる。
参考文献
- 真木ほか 1997 , 真木長彰、寺島裕晃、中村晢美(著) 阿部宗明、本間昭郎(監修) 山本保彦(編) 現代おさかな辞典. 株式会社エヌ・ティー・エス. 538.
最終更新日:2020-05-15 En