- 解説一覧
- ハクレン(Hypophthalmichthys molitrix)について
ハクレン(Hypophthalmichthys molitrix)
【IUCN】現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種
- 【 学名 】
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Hypophthalmichthys molitrix (Valenciennes, 1844)
基本情報
- 分布
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アジア大陸東部原産。移植され、利根川・江戸川水系、淀川水系で繁殖。
参考文献
- 細谷和海 2013 コイ科, 中坊徹次(編) 日本産魚類検索. 東海大学出版会. pp. 308-327.
最終更新日:2020-08-21 ひろりこん
- 人間との関係
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ハクレン、コクレン、ソウギョ、アオウオの4種を中国では四大家魚と呼び、繁殖が盛んに行われている。どの種も全長 1 mを超える大型魚で成長も早いため、重要な食用魚となっている。
日本では北海道、沖縄を除く国内各地に移植され、利根川・江戸川水系、淀川水系で自然繁殖している。最近はハクレンのジャンプが一般にも広く知られるようになり、産卵日には産卵場所となる利根川河川敷に多くの人が訪れる。
参考文献
最終更新日:2020-08-21 ひろりこん
形態
- 成魚の形質
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体高は大きく、側扁する。眼は体側中央より下に位置し、口はやや上に向く。(武内, 2015, 102)
背鰭の最長鰭条に鋸歯縁はない。体は一様に銀白色で、喉部から臀鰭後端までの腹縁がキール状になることが特徴。(細谷, 2013, 308-327)
参考文献
- 細谷和海 2013 コイ科, 中坊徹次(編) 日本産魚類検索. 東海大学出版会. pp. 308-327.
最終更新日:2020-08-21 ひろりこん
- 似ている種 (間違えやすい種)
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コクレン
参考文献
- 細谷和海 2013 コイ科, 中坊徹次(編) 日本産魚類検索. 東海大学出版会. pp. 308-327.
最終更新日:2020-08-21 ひろりこん
生態
- 生息環境
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大河川下流の緩流域、平野部の浅い湖沼、池などに生息する。(細谷, 2013, 308-327)
幼魚は本流につながる浅い運河などにも見られる。(松沢, 2008, 36)
参考文献
- 細谷和海 2013 コイ科, 中坊徹次(編) 日本産魚類検索. 東海大学出版会. pp. 308-327.
最終更新日:2020-08-21 ひろりこん
- ライフサイクル
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産卵期は水温が 18℃を超える6~7月ごろで、大雨による増水が引き金となって一斉に行われる。産み出された卵は水中を漂いながら下流へと流されてゆき、水温 20℃前後でおよそ40~50時間で孵化する。(松沢, 2008, 36)
1年で 15~25 ㎝、5年で 1 mほどになるという。(木村, 2009, 88)
生後5~7年で成熟する。(武内, 2015, 102)
参考文献
最終更新日:2020-08-21 ひろりこん
- 産卵
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利根川水系では6~7月になると中流域まで遡上し、降雨後の増水を引き金に産卵を行う。受精卵は河川を流下しながら発生を進めるため、流程の短い河川や閉鎖的な湖沼では再生産ができない。(武内, 2015, 102)
産卵直前には集団でジャンプする様子が確認されており、 1 mの巨体が一斉に飛び跳ねる光景はかなりの迫力。ただしこのような行動は、産卵がはじまるといっさい見られなくなる。(松沢, 2008, 36)
参考文献
最終更新日:2020-08-21 ひろりこん
関連情報
- 外来種としての影響
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1878年以降、ソウギョ種苗に混入して中国から移入されており、そのうち1943年、45年の種苗を利根川に移植している。全国の湖沼にも放流されているが、繁殖していない。
主にプランクトン植物を食っているため、個体数が最も多い利根川でも在来種に対しては今のところ影響がないと考えられる。
参考文献
最終更新日:2020-08-21 ひろりこん