- 解説一覧
- ワカサギ(Hypomesus nipponensis)について
目次
基本情報
- 大きさ・重さ
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成魚全長:14 cm
参考文献
- 伊藤和雄 1989 ワカサギ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 60-63.
最終更新日:2021-04-02 ハリリセンボン
- 分布
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国内では、北海道と利根川・島根県以北の本州に自然分布するが、太平洋側には少ない。現在は全国的に移植されている。
国外では、北アメリカのカリフォルニア州に分布する。
参考文献
- 伊藤和雄 1989 ワカサギ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 60-63.
最終更新日:2021-04-02 ハリリセンボン
- 生息状況
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自然分布が確認されている湖沼、河川はすべて海と連絡している水域である。ワカサギは、本来海と淡水のあいだを往復する通し回遊魚なのである。
これに対して同属のチカは一生を海水域ですごすので、淡水域、汽水域で獲れたものはワカサギと思って間違いない。
ワカサギは北方系の魚で、汽水性の湖沼に生息していたが、淡水域でも繁殖することがわかり、全国の湖沼、人工湖に移植された。
参考文献
- 片山友史 2000 ワカサギの生態, 日高敏明(監修) 中坊徹次、望月賢二(編) 日本動物大百科6:魚類. 平凡社. p. 44.
最終更新日:2021-04-02 ハリリセンボン
- 和名の解説
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ワカ=幼い(清新)とサギ=細魚(小魚)が合成したもの。
参考文献
- 2005 魚と貝の事典 - 書籍全体, 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. .
最終更新日:2021-04-02 ハリリセンボン
- 別名・方言名
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ツカ(青森)、オオワカ、コワカ(福島県小名浜)、サイカチ(群馬)、マハヤ(茨城、千葉)
参考文献
- 2005 魚と貝の事典 - 書籍全体, 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. .
最終更新日:2021-04-02 ハリリセンボン
- 分類学的位置付け
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キュウリウオ科 ワカサギ属
参考文献
- 伊藤和雄 1989 ワカサギ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 60-63.
最終更新日:2021-04-02 ハリリセンボン
- 人間との関係
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釣りや食用の対象としてなじみ深い種が多く、なかでも凍結した湖面に穴をあけて行われるワカサギの穴釣りは冬の風物詩になるほど人気がある。需要に応えてさかんに放流されてきた結果、ワカサギの繁殖する湖は各地に増えている。
参考文献
- 井口恵一朗 2000 キュウリウオ科, 日高敏明(監修) 中坊徹次、望月賢二(編) 日本動物大百科6:魚類. 平凡社. p. 45.
最終更新日:2021-04-02 ハリリセンボン
形態
- 成魚の形質
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腹びれ起点は背びれ起点のやや前ないし真下に位置する。気道管はうきぶくろの前端に連結する。
参考文献
- 伊藤和雄 1989 ワカサギ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 60-63.
最終更新日:2021-04-02 ハリリセンボン
- 卵の形質
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ワカサギの卵は直径 1 mm弱の沈性粘着卵で、低質が砂礫の場所の水底か水草に産卵される。
産卵場が形成される場所は湖によって異なり、湖内に形成される湖と、湖に流入する河川に形成される湖がある。華奢な体で流入河川を数km上流まで遡上して産卵することが確認されている。
参考文献
- 片山友史 2000 ワカサギの生態, 日高敏明(監修) 中坊徹次、望月賢二(編) 日本動物大百科6:魚類. 平凡社. p. 44.
最終更新日:2021-04-02 ハリリセンボン
生態
- 生息環境
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海の内湾、湖沼、人工湖と、これらに注ぐ川の下水域に生息する。栄養塩、塩分、水温などに広い適応性を示す。
孵化した仔魚は海の内湾や湖に流れ下るが、その流下数は夜間に多い。朝夕は沿岸一帯で群れて摂餌し、夜は分散・休止する。
参考文献
- 伊藤和雄 1989 ワカサギ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 60-63.
最終更新日:2021-04-02 ハリリセンボン
- 食性
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プランクトン動物を主に食べる。
参考文献
- 伊藤和雄 1989 ワカサギ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 60-63.
最終更新日:2021-04-02 ハリリセンボン
- ライフサイクル
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ワカサギの寿命は、基本的に満1年である。しかし、多くの湖沼で満1年以上生きる個体も確認されている。
青森県小川原湖の個体群では、ほぼ全個体が生活1年目(0歳時)に産卵するが、北海道網走湖では0歳時には成長の悪いものは産卵を行わないと報告されている。
ワカサギのふ化後満1年目の体長は 4~12 cmであり、湖沼によって大きく異なる。
網走湖、宍戸湖、八戸沿岸などで採集されるものは毎年体長 8~10 cmであるが、諏訪湖などの内陸の湖沼では、漁獲量(尾数、重量)の多い年は小型で、少ない年は大型になるという傾向がある。
興味深いのは、青森県小川原湖と茨城県霞ヶ浦・北浦に生息する個体群で、同じ年に生まれた群が大小の2群に分かれる。
小川原湖の産卵期には、毎年 4~6 cmの小型群と 8~10 cmの大型群が出現するが、前者が湖内残留群であり、後者がふ化後一定期間沿岸域で生活し、再び産卵のために湖内に戻ってくる降海回遊群である。
霞ヶ浦では 8~10 cmと 10 cm以上の2群が出現するが、これらはふ化時期の異なる群であるとされている。
生育場、産卵場や成長など、多様な生活スタイルをとることができるのがワカサギの特徴といえる。
参考文献
- 片山友史 2000 ワカサギの生態, 日高敏明(監修) 中坊徹次、望月賢二(編) 日本動物大百科6:魚類. 平凡社. p. 44.
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- 産卵
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ワカサギの成熟産卵様式は、1つの卵群がしだいに卵母細胞径を増大させ完熟に達し、1回でほぼすべてが産卵される「単峯1回産卵型」である。
個体群の性比(雌雄の比率)は1対1であり、抱卵・放精も1対の雌雄によって行われる。しかし、産卵の場所への移動法は雌雄で異なり、雄が先に産卵の場所に着き、雌の到着を待っている。雌は河川ならばその下流域で待機しており、夜中に産卵場に向かい、雄と出会う。
自然状態での詳細な産卵行動の観察記録はないが、北海道の岡田氏らによって水槽中での産卵行動が報告されている。
産卵はまず、雌に対する雄の追尾行動によって開始される。頭を上流に向けて流れに定位している雌に対し、雄は上流から生殖孔付近(しりびれ前方)に接近する。雄はいったん雌の尾柄部または体側を通り抜けるが、反転したのち再び雌の後方上流側から接近する。雄の追尾に対して雌は多くの場合、流れに向かって泳ぎはじめるが、雄はより激しくこれを追い、雌と魚体を並行に密着させてともに激しく泳ぐ。その後抱卵・放精が行われ、卵は水中に舞い上がりやがて沈下して砂礫に付着する。この一連の産卵行動は、同じキュウリウオ科のシシャモのそれと酷似しているという。
参考文献
- 片山友史 2000 ワカサギの生態, 日高敏明(監修) 中坊徹次、望月賢二(編) 日本動物大百科6:魚類. 平凡社. p. 44.
最終更新日:2021-04-02 ハリリセンボン
関連情報
- 漁獲方法
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秋から初春にかけてがベストシーズン。結氷する前はボート釣りが適している。
ワカサギボート用の竿のほかハゼ用の竿でも代用できる。水深 2 m以内ならハネ込み釣りが能率的、もっと深い湖はリールが便利である。
結氷すれば穴釣りが適している。30 cm前後の専用の竿で、仕掛けの針数は5~5本と少なくし、一度に引き上げられる長さに調節する。餌は紅サシかアカムシが良い。
参考文献
- 2005 魚と貝の事典 - 書籍全体, 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. .
最終更新日:2021-04-02 ハリリセンボン
- 味や食感
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新鮮なものは肌に透明感があり、銀色に光っている。腹部が弱い魚なので、古くなると腹が裂けることがある。うろこははがれやすく、鮮度の目安にはならない。
肉は淡白で美味。肝臓ジストマの幼虫が寄生していることもあり、生食には向かない。
まるごと天ぷら、フライ、フリッター、から揚げ、南蛮漬けなどにする。長期保存には焼き干しがよい。
参考文献
- 2005 魚と貝の事典 - 書籍全体, 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. .
最終更新日:2021-04-02 ハリリセンボン