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アカメバル(Sebastes inermis)の分類 Sebastidae
アカメバル(Sebastes inermis)の概要 メバル属(Sebastes)

アカメバル(Sebastes inermis)

【 学名 】
Sebastes inermis Cuvier, 1829

基本情報

大きさ・重さ

成魚全長:25 ㎝

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最終更新日:2020-06-08 En

分布

北海道南部〜九州、朝鮮半島南部に分布。

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和名の解説

眼が大きく、目張っているように見えることから。

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別名・方言名

ガサ(青森県弘前)、テンコ(新潟)、ツヅノメ(富山県魚津・東岩瀬)、マバチメ(石川県宇出津)、ゴンダイメバル(鳥取)、ワイナ(広島)、ホシカリ(対馬)

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分類学的位置付け

メバル属は頰に棘がないこと、背鰭が13〜16棘(13のものが多い)であることで他のカサゴ科と区別できる。
卵胎生魚で、日本近海に26種、北米太平洋岸に62種以上、南米太平洋岸に2,3種、北大西洋に約5種、南太平洋に1種が分布する。

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人間との関係

季題は<春>
「目張の目 人の世の何を 見つむるや 片山遍照子」
「よき潮と いふ濁潮 めばる釣 田村鬼現」

『本朝食鑑』に「黒、赤の2種があり、江戸、相州、豆州、総州、房州の諸州の江浜に多い」とあり、当時からよく食べられていたことがうかがえる。同一種でも住む場所によって体色や斑紋が異なり、同じ地方でも同種でありながら呼び名が異なることがあり、混称も少なくない。
愛媛では小形のものをコビキというが、ヒキとはヒキガエルのこと。徳川時代までは学者にさえもヒキガエルがメバルになると信じられていた。
『和漢三才図絵』にも「メバルは蟾蜍(せんじょ)の化するところなり」とある。蟾蜍とはヒキガエルのことで、つまりコビキとは小さなヒキガエルを意味する。
安芸ではメバルの子を塩辛にしたものを鳴子と呼び、名産としている。食べると口の中で鳴り、このように呼ばれる。『大和本草』には「メハルノ子ヲ鳴子と云、醢(しおから)ニス藝州蒲刈の名産ナリ食スハ口中ニテナル故名付ク」とある。
釣り人の間では、春の訪れとともによく釣れ出すので「春告魚」ともいわれる。

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形態

成魚の形質

体はやや長い楕円形で、側扁する。下顎がやや突き出たいわゆる受け口である。眼が大きい。
背鰭13棘13〜16軟条、臀鰭3棘6〜9(7〜8が多い)軟条、胸鰭15〜18(16〜17が多い)軟条、腹鰭1棘5軟条。色彩には変異がある(住んでいる環境によって体色が黒っぽいものから白っぽいもの、赤っぽいものまで変化に富む。それぞれ黒メバル、白メバル、赤メバル、あるいは黒色型、白色型、赤茶色型などと呼ばれているが、全て同一種とされている。)。
涙骨(るいこつ)の下縁に後下方を向く鋭い2棘があることはウスメバル、トゴットメバルと共通。ただし、メバルは、体側の5本の暗色帯が不明瞭なこと、側線有孔鱗数がやや少ないことで区別できる。
体側に5、6本の不鮮明な黒い横縞がある。

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似ている種 (間違えやすい種)

近縁種にエゾメバル Sebastes taczanowskii がいるが、エゾメバルは下顎に鱗がなく尾鰭の後縁が白いことで本種と識別できる。

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生態

生息環境

沿岸の岩礁域や藻場で単独または数尾、ときには10〜20尾の群れをつくって生息している。
藻場や岩礁域の上層に浮き頭部を上にして定位していることが多い。人口魚礁にもよく集まるが、魚礁の内部に入ることは少ない。天然の岩礁域と同様、上層や周辺の中層にじっと浮いている。通常、海底上に座していることはほとんどない。

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食性

小型の魚類、等脚類、端脚類、エビ・カニ類、巻貝、多毛類などを摂食する。

摂餌行動は夜間に活発で、昼間はじっとしていることが多い。ただし、昼間でもダイバーが近くに寄って餌を撒くと活発に摂餌する。また、荒天で波が高いときは、海藻が揺れて葉上の生物が振り落とされるのを捕食するため、波が静かなときよりも胃の内容物が多いという。

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ライフサイクル

11月ごろに交尾し、卵の成熟を待って受精する。12〜2月に全長 4〜4.7 ㎜の仔魚を産む。このとき仔魚の体は細長く、卵黄はほとんど吸収されている。全長 6〜10 ㎜で左右の頭頂骨と、前鰓蓋骨に強い棘が生じる。浮遊期は水深 10 m前後に生息し、2〜4月に内湾に移動する。10〜30 ㎜になると体高が大きくなる。3〜5月に 30〜60 ㎜となって藻場で定着生活を送る。6月に 5〜6 ㎝となる。この頃、海藻の流出とともに深みの岩場やアラメなどの海藻帯に移る。秋季、大型海藻が成長すると浅い海藻帯に移動し、水温が10℃以下になると深みで越冬する。1歳で 9 ㎝、2歳で 13 ㎝、3歳で 16 ㎝、5歳で 19 ㎝前後になる。

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生殖行動

秋から初冬に交尾する。交尾に先立ってオスによる求愛が行われる。
求愛に応じたメスが上昇すると、オスがその後を追い、雌雄が数m上昇したところでオスがメスの体に巻きつき、お互いの腹部を合わせて交尾する。メスの体内に侵入した精子は卵巣内に留まり、卵が完熟する冬に受精する。

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その他生態

性比は、1歳では雌雄同数、2歳以降メスの割合が増加し、5歳では9割近くがメス。2歳で一部が、3歳でほとんどが成熟する。抱卵数は2歳魚で5000〜9000、3歳で約3万、高齢魚で85000粒。精巣は11月下旬〜12月上旬に、卵巣は12〜1月に完熟する。

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関連情報

漁獲方法

刺網、釣り、定置網などで漁獲される。釣りの対象魚としても人気が高い。

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味や食感

白身で淡白な味はカサゴやアイナメに似る。身離れがよく小骨がなくて食べやすい。

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種・分類一覧