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サケ(Oncorhynchus keta)の分類 Salmonidae
サケ(Oncorhynchus keta)の概要 Oncorhynchus

サケ(Oncorhynchus keta)

【 学名 】
Oncorhynchus keta (Walbaum, 1792)

基本情報

大きさ・重さ

成魚全長:大きいものでは 100 cmに達するが、通常は 75 ㎝まで

参考文献

最終更新日:2020-08-21 ひろりこん

分布

オホーツク海からベーリング海、北東太平洋に分布する。

産卵場の分布は日本海・太平洋の本州北部、北海道東部、朝鮮半島東部、日本海北部沿海、オホーツク海・ベーリング海の沿海地方、カリフォルニア~アラスカの北東太平洋沿海地方。

参考文献

  • 中坊徹次 2018 サケ, 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z 日本魚類館 ~精緻な写真と詳しい解説~. 小学館. pp. 132-133.

最終更新日:2020-08-21 ひろりこん

生息状況

北海道では16世紀にシロザケ漁業が始まり、1889年に1040万尾もの漁獲高を誇ったが、その後乱獲により急減し1909年には100万尾となった。しかし資源を増やすための種苗放流の結果、1970年代以降急速に資源を増加させ、2009年現在は5000万尾を超える高い水準にある。

一方で1980~90年代の急速な資源増加はサケの小型化・高齢化といった問題を引き起こしている。その原因として、サケが成長する北太平洋における餌や空間など環境の収容力の影響を受けるという「密度効果」説が有力となっている。

参考文献

最終更新日:2020-08-21 ひろりこん

別名・方言名

シロザケと呼ばれることもある。
初夏に沿岸に回遊してくるものはトキシラズ、秋口に沖取りされたものはアキアジ(北海道)と呼ばれる。

参考文献

  • 荒賀忠一 2000 サケ科, 日高敏明(監修) 中坊徹次、望月賢二(編) 日本動物大百科6:魚類. 平凡社. pp. 49-51.

最終更新日:2020-08-21 ひろりこん

人間との関係

寒さに向かう秋にもっとも獲れ、低脂肪のため塩蔵して保存しやすいので、古くから新巻鮭として正月に欠かせない保存食品であった。

参考文献

  • 荒賀忠一 2000 サケ科, 日高敏明(監修) 中坊徹次、望月賢二(編) 日本動物大百科6:魚類. 平凡社. pp. 45-48.

最終更新日:2020-08-21 ひろりこん

形態

成魚の形質

海洋で生活しているときには体は銀白色である。背鰭や尾鰭、体の背部に黒点をもたず、尾鰭に銀白色の放射状線がある。鰓耙数は25以下。

サケ類は筋肉にアスタキサンチンを含んでおり、それらが産卵期近くに筋肉から皮へ移行することで縞模様の婚姻色を呈するようになる。この縞模様は雄では側線に対して直角方向に並ぶが、雌では側線に沿った方向に現れる。

参考文献

  • 細谷和海 2013 サケ科, 中坊徹次(編) 日本産魚類検索. 東海大学出版会. pp. 362-367.

最終更新日:2020-08-21 ひろりこん

稚魚・仔魚・幼魚の形質

孵化仔魚は全長 20~23 ㎜で、サケ属の中では大型。その卵黄嚢の後縁は後方の肛門下付近まで突出する。

体高/全長比は稚魚期に13~15%、幼魚期に13~17%とサケ属の中で低い体高を示す。サケのパーマークは8~12で小さく、その多くは側線より腹側にあまり伸びず、ベニザケに類似する。

稚魚期の口腔上壁の隆起部配列は小字型で、稚魚期に逆U字型のイワナ属やイトウ属魚類と明確に識別できる。

参考文献

最終更新日:2020-08-21 ひろりこん

生態

生息環境

本種はカラフトマスとともに海洋に最も適応した種で、淡水域での生活時間は短く生活史の大半を海で過ごし、淡水域のみでは成熟できない。

参考文献

最終更新日:2020-08-21 ひろりこん

食性

河川生活期はユスリカの幼虫や蛹、カゲロウの幼虫、トビケラ類など。沿岸域に出るとカイアシ類、オキアミ類、等脚類、ヨコエビ類を食べ、沖合に出ると翼足類、ニシン、ハダカイワシ、オキアミ類、サルパなどさまざまなものを食べる。

参考文献

  • 中坊徹次 2018 サケ, 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z 日本魚類館 ~精緻な写真と詳しい解説~. 小学館. pp. 132-133.

最終更新日:2020-08-21 ひろりこん

ライフサイクル

成熟した親魚は生まれた川の河口付近に達し、数日そこで滞在する。産卵は北海道では9~10月、本州では主に10~11月だが、1月中旬~2月初旬のところもある。産卵のさいは婚姻色を呈す。

川の中~下流域の浅瀬の、地下湧水のある砂利底で、雌は体を横にし、尾鰭を川底にたたきつけて直径 1 m、深さ 50 ㎝ほどの穴を掘る。雌は産卵床に関係してなわばりをもち、雌雄1対で産卵する。1個体の雌は4~6個の産卵床を掘り、全卵放出するとしばらく産卵床を守ったのちに衰弱して死ぬ。

発眼卵の状態で越冬すると、翌春に孵化、数か月は砂礫中で卵黄を消費する。尾叉長 3 ㎝前後で泳ぎ始め、昆虫などを食べる。稚魚は4月下旬~5月中旬に川を降り河口の汽水域で数週間後に尾叉長 5~8 ㎝で銀化(スモルト化)する。

夏の初めに、沿岸域で小型甲殻類を食べて尾叉長 8~11 ㎝となる。その後沖合に出て、北太平洋とベーリング海を基本的に春夏は北上、秋冬は南下し回遊しながら成長する。海で1~5冬を過ごすと成熟するが、3冬を過ごす4歳魚で成熟することが多い。嗅覚を頼りに生まれた川に戻る。

参考文献

  • 中坊徹次 2018 サケ, 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z 日本魚類館 ~精緻な写真と詳しい解説~. 小学館. pp. 132-133.

最終更新日:2020-08-21 ひろりこん

産卵

成魚は晩夏から冬に遡上し、ただちに礫底に径数十㎝内外の産卵床を掘り、2000~5000個ほどの卵を産む。

参考文献

最終更新日:2020-08-21 ひろりこん

関連情報

漁獲方法

定置網、流し刺網、延縄で漁獲される。

近年では約18億匹のサケ稚魚が放流、約3000~7000万尾の親魚が北日本沿岸で漁獲され、日本の重要な水産資源となっている。

参考文献

  • 中坊徹次 2018 サケ, 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z 日本魚類館 ~精緻な写真と詳しい解説~. 小学館. pp. 132-133.

最終更新日:2020-08-21 ひろりこん

味や食感

サケ類の筋肉タンパク質は索餌回遊期のものであっても産卵期のものであっても、また雄であっても雌であっても高いアミノ酸スコアを維持しており、栄養学的には理想的なタンパク質に近いアミノ酸バランスを有している。サケ類はまた、抗悪性貧血因子の微量栄養素であるビタミンB₁₂が豊富なことでも知られる。

なお、サケ類の肉はアスタキサンチンを含むために身が赤いが、血合肉が少ないために学術的な視点からは赤身とはいえない。

参考文献

最終更新日:2020-08-21 ひろりこん

その他

サケ・マス類は広節裂頭条虫(サナダムシの1種)の中間宿主なので、生で食べる際には注意を有する。

参考文献

  • 荒賀忠一 2000 サケ科, 日高敏明(監修) 中坊徹次、望月賢二(編) 日本動物大百科6:魚類. 平凡社. pp. 45-48.

最終更新日:2020-08-21 ひろりこん

種・分類一覧