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シイラ(Coryphaena hippurus)の分類 Coryphaenidae
シイラ(Coryphaena hippurus)の概要 Coryphaena

シイラ(Coryphaena hippurus)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Coryphaena hippurus Linnaeus, 1758

基本情報

大きさ・重さ

成魚全長:2 m

参考文献

  • 乃一哲久 1997 , 水野信彦(監修) 川那部浩哉(編) 日本の海水魚. 山と渓谷社. 311.

最終更新日:2020-06-08 En

分布

世界中の暖海に広く分布。
日本沿岸では、暖流の影響を受ける地域で、夏から秋に普通に見られる。

参考文献

  • 望月賢二 2005 , 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. 209.

最終更新日:2020-06-08 En

和名の解説

①「粃」(シイラ)は籾の意。体皮がかたく、薄身で肉が少ないことから。
②塩辛く、食べるときに塩がいらないからか。
③水死体の下について泳ぐことがあるので「死」「屍魚」が源か。ラは魚を呼ぶ一般的な語で、シイラは「死平」の意ではないか。

参考文献

  • 望月賢二 2005 , 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. 209.

最終更新日:2020-06-08 En

別名・方言名

マンビキ / シビトクライ(千葉)、トウヤク(神奈川県三崎)、サンペイシイラ(富山県新湊)、クマビキ(大阪、高知)、マンサク(広島、山口)、ヒス(鹿児島)、ヒョウノイヨ(奄美)、フーヌイヨ(沖縄)

参考文献

  • 望月賢二 2005 , 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. 209.

最終更新日:2020-06-08 En

人間との関係

本場の高知県や九州では浮遊物に集まるシイラの習性を利用して、竹の束を海面に浮かべておびき寄せて釣る、伝統的なシイラ漬け漁法で漁獲する。
塩干しの乾物のほか、味噌漬けや粕漬けの材料となる。

季題は<秋>
「しいら舟 かたむく岬の 汐早む 遠山壺中」
「鉤先に 鱰のおでこ 見えて来し 岸上波人」

『和漢三才図絵』によると、シイラは中華の魚と言われる。旧暦4、5月(夏)唐船が多く入朝するときに船についてやってきて、唐船が帰帆の時に九州のタイが唐船の肉食の匂いを慕って船について入唐するので、日本近海で夏にシイラが多く、中国沿岸では冬にタイが多くなったという。
高知県では、シイラは雌雄の仲がよい魚とされ、塩干品が結納に使われることもある。

参考文献

  • 望月賢二 2005 , 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. 209-210.

最終更新日:2020-06-08 En

形態

成魚の形質

細長く、よく側扁する。
頭部背縁は緩く湾曲するが、老成したオスの前頭部は隆起する。
背鰭は1基で55〜67軟条。臀鰭は25〜30軟条。胸鰭は17〜20軟条。
背鰭は1棘5軟条。背鰭は著しく長く、その基部は眼の後縁上方から始まる。
尾鰭の後端は深く切れ込む。両顎に小さな犬歯状の歯が一列に並び、前端部では融合して歯帯を形成する。
うろこは小さく楕円形。側線は胸鰭の上方付近で湾曲し、その後方は直線状で尾鰭の中央末端まで達する。
体色は、体側背部が濃青色で対側腹部が黄褐色。体側には緑色の小斑が散財する。死の直前には体色が鮮黄色に変化する。

参考文献

  • 真木ほか 1997 , 真木長彰、寺島裕晃、中村晢美(著) 阿部宗明、本間昭郎(監修) 山本保彦(編) 現代おさかな辞典. 株式会社エヌ・ティー・エス. 397.

最終更新日:2020-06-08 En

卵の形質

球形で、直径 1.3〜1.6 ㎜の分離浮性卵。

参考文献

  • 真木ほか 1997 , 真木長彰、寺島裕晃、中村晢美(著) 阿部宗明、本間昭郎(監修) 山本保彦(編) 現代おさかな辞典. 株式会社エヌ・ティー・エス. 398.

最終更新日:2020-06-08 En

似ている種 (間違えやすい種)

近似種にエビスシイラ Coryphaena equiselis Linnaeus があるが、本種では体形が円みを帯びること、背鰭基部が眼の後縁よりも後ろ側から始まること、背鰭の条数が48〜59軟条とシイラより少ないことにより区別できる。

参考文献

  • 真木ほか 1997 , 真木長彰、寺島裕晃、中村晢美(著) 阿部宗明、本間昭郎(監修) 山本保彦(編) 現代おさかな辞典. 株式会社エヌ・ティー・エス. 397.

最終更新日:2020-06-08 En

生態

生息環境

水温20℃の表層に生息し、特に水温23〜27℃の海域に多い。透明度がよく、塩分濃度が高い海域を好む。

参考文献

  • 真木ほか 1997 , 真木長彰、寺島裕晃、中村晢美(著) 阿部宗明、本間昭郎(監修) 山本保彦(編) 現代おさかな辞典. 株式会社エヌ・ティー・エス. 397.

最終更新日:2020-06-08 En

食性

稚魚期から魚食性が強く、成魚は主にトビウオ類やイワシ類を捕食する。

参考文献

  • 乃一哲久 1997 , 水野信彦(監修) 川那部浩哉(編) 日本の海水魚. 山と渓谷社. 311.

最終更新日:2020-06-08 En

ライフサイクル

産卵場は水温20℃以上の温・熱帯域で、産卵期は春から夏。九州西方での産卵期は7〜9月である。
孵化直後の仔魚は全長 4〜5 ㎜で、体は細長い。全長 5 ㎜程度で卵黄を吸収する。
全長 6〜7 ㎜頃から背鰭・臀鰭が、8 ㎜頃から腹鰭が形成され始める。約 16 ㎜前後で各鰭の条数は成魚と同数になる。
20 ㎜前後の稚魚の両顎には鋭い歯が形成されている。この頃の稚魚はえらぶたに5本の棘があるが、40 ㎜頃までにほとんど消失する。
全長 40 ㎜前後の稚魚は流れ藻に付いて浮遊生活をする。稀にタイドプールに迷い込むこともあり、このような個体は表層をせわしなく泳ぎまわり、人が追っても底層に潜るようなことはない。
流れ藻に付いた稚魚は、ダイバーなどが近づくと流れ藻の中に潜り込む。
生後1年で体長 40 ㎝前後、2年で 70 ㎝前後、3年で 90 ㎝前後、4年で 110 ㎝前後、5年で 120 ㎝前後に成長する。体長 50 ㎝ぐらいから成熟し始める。50 ㎝前後までは数十から数百尾の群れで遊泳するが、その後10尾前後の群れに分散し、1 m以上の個体は単独か1組の雌雄で生活するようになる。

参考文献

  • 真木ほか 1997 , 真木長彰、寺島裕晃、中村晢美(著) 阿部宗明、本間昭郎(監修) 山本保彦(編) 現代おさかな辞典. 株式会社エヌ・ティー・エス. 397-398.

最終更新日:2020-06-08 En

産卵

産卵数は8万〜100万粒で、1産卵期に2〜3回産卵する。産卵は主に夕方に行われる。

参考文献

  • 真木ほか 1997 , 真木長彰、寺島裕晃、中村晢美(著) 阿部宗明、本間昭郎(監修) 山本保彦(編) 現代おさかな辞典. 株式会社エヌ・ティー・エス. 398.

最終更新日:2020-06-08 En

関連情報

漁獲方法

旋網、マグロ延縄などで漁獲する。
貪食なので、ライトトローリングの対象となる。20〜30ポンドのタックルにフェザージグ、ヘッドにスカートをつけたルアーを用い、散水して人工魚群をつくり、好物のイワシが集まっているように見せかけ、寄せて釣る。

参考文献

  • 望月賢二 2005 , 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. 209-210.

最終更新日:2020-06-08 En

味や食感

シイラの味の評価はさまざまだが、ハワイではマヒマヒ(mahi mahi)と呼んで、ステーキやフライにする。

参考文献

  • 望月賢二 2005 , 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. 210.

最終更新日:2020-06-08 En

種・分類一覧