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カワマス(Salvelinus fontinalis)の分類 Salmonidae
カワマス(Salvelinus fontinalis)の概要 Salvelinus

カワマス(Salvelinus fontinalis)

【 学名 】
Salvelinus fontinalis (Mitchill, 1814)

基本情報

大きさ・重さ

全長:12~53 cm

参考文献

  • 小宮山英重 1989 カワマス, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. p. 132.

最終更新日:2020-08-24 ハリリセンボン

分布

現在は本州中部地方以北で見られ、放流により生息域を広げている。

参考文献

  • 小宮山英重 1989 カワマス, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. p. 132.

最終更新日:2020-08-24 ハリリセンボン

別名・方言名

別名:ブルックトラウト

英別名:Speckled charr, Aurora trout

参考文献

  • 2017 サケマス・イワナのわかる本. 改訂新版 - 書籍全体, 井田斎、奥山文弥(著) サケマス・イワナのわかる本. 改訂新版. 山と渓谷社. .

最終更新日:2020-08-24 ハリリセンボン

分類学的位置付け

サケ科 サケ亜科 イワナ属

参考文献

  • 小宮山英重 1989 カワマス, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. p. 132.

最終更新日:2020-08-24 ハリリセンボン

人間との関係

原産地は北米大陸東北部からカナダ東部の大西洋側。遊漁の目的で北米西部、ヨーロッパ、アジア、ニュージーランドなど世界各地に放流された。

日本には1902年(明治35)、イギリス人人貿易商グラバー(長崎のグラバー邸で有名)が指揮し、英国領事館員のパーレットらによって、栃木県の湯川にアメリカ・コロラド州のレッドビルから2万5000粒の卵を移入して人工孵化させ、1万5000尾の稚魚を放流したのが最初である。以降、日本各地に移植され、湧水の豊富な場所で定着している。

日本に移入されたものは陸封個体のみである。

奥日光では放流者に親しみを込め、パーレットマスとも呼ばれている。そのほか、北海道の数ヵ所にも放流されたが、道東の西別川水系にわずかに自然繁殖しているのみである。

池中養殖は現在でも行われ、遊漁用に利用されている。原産地では降海型もいて体側は銀白色、背鰭は暗い青緑色になり、体長 50 cmを超える。

イワナとの交雑魚が比較的簡単にできやすく、その子どもは生殖能力をもつ。人為的なブラウントラウトとの交雑個体は、トラに似た紋様ができるので、タイガートラウトと呼ばれる。タイガートラウトは雄雌とも生殖能力がないため成長率もよく、食用、遊漁用として利用されている。

参考文献

  • 小宮山英重 1989 カワマス, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. p. 132.
  • 2017 サケマス・イワナのわかる本. 改訂新版 - 書籍全体, 井田斎、奥山文弥(著) サケマス・イワナのわかる本. 改訂新版. 山と渓谷社. .

最終更新日:2020-08-24 ハリリセンボン

形態

成魚の形質

口が大きく、口角部は眼の後縁下より著しく後方にあり、俗にいう「口裂け」である。口の縁、上顎骨の上端が黒い個体が多い。成熟すると、雄は下顎の先端が上方に曲がり、体高が高くなる。

体形は流線形、背面には緑系の暗褐色、淡緑系の虫食い模様がある。背鰭と尾鰭に幼魚では黒点が、成魚では黒い虫食い状斑紋があるため、ほかのイワナ属とは見分けやすい。成長するに従って、背面に虫食い状の模様が、尾鰭には黒い網目状の模様が目立つようになる。

体側に黄色系の斑点と赤点色がある。特に赤点は青白い輪で囲まれた眼状紋になる。成長すると赤色点は青~紫系の色で縁取られる。胸鰭、腹鰭、臀鰭の縁は白く、その内側が黒い。

雄の腹部は赤く、さらに体軸に平行した2本の黒い帯が目立つ。鰭は橙色を呈する個体が多い。鰓耙数は15本前後である。

参考文献

  • 小宮山英重 1989 カワマス, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. p. 132.
  • 2017 サケマス・イワナのわかる本. 改訂新版 - 書籍全体, 井田斎、奥山文弥(著) サケマス・イワナのわかる本. 改訂新版. 山と渓谷社. .

最終更新日:2020-08-24 ハリリセンボン

卵の形質

卵色は黄色~黄褐色、卵径は 3.5~5 mmである。

参考文献

  • 2017 サケマス・イワナのわかる本. 改訂新版 - 書籍全体, 井田斎、奥山文弥(著) サケマス・イワナのわかる本. 改訂新版. 山と渓谷社. .

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生態

生息環境

ほかの魚種と混生する水域では下層に生息し、棲み分けをしている。湖などでは湖岸線沿いに分布する。

参考文献

  • 2017 サケマス・イワナのわかる本. 改訂新版 - 書籍全体, 井田斎、奥山文弥(著) サケマス・イワナのわかる本. 改訂新版. 山と渓谷社. .

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食性

貪欲で、水棲昆虫、陸棲昆虫など、動物性餌料を捕食する。

栃木県の湯ノ湖での主食はユスリカやトビケラの幼虫である。

参考文献

  • 2017 サケマス・イワナのわかる本. 改訂新版 - 書籍全体, 井田斎、奥山文弥(著) サケマス・イワナのわかる本. 改訂新版. 山と渓谷社. .

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ライフサイクル

孵化は水温5℃で100日、10℃では50日で始まる。孵化時の全長は 14 mm前後で、孵化後約3週間で 3.8 mmほどに成長してから浮上する。

1年で 15 cm、2年で 23 cm、3年で 30 cm、4年で 38 cm前後に成長するが、厳しい環境ではそれよりかなり遅く、寿命といわれている8年で 30 cmほどである。逆に養殖魚の成長はそれよりも早い。

参考文献

  • 2017 サケマス・イワナのわかる本. 改訂新版 - 書籍全体, 井田斎、奥山文弥(著) サケマス・イワナのわかる本. 改訂新版. 山と渓谷社. .

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産卵

産卵は高緯度地域では8月下旬から始まるが、日本では11月下旬からである。早いものでは2年、多くは3年で成熟する。

抱卵数は体長 15 cmで100粒、55 cmで5000粒ほどである。イワナと同様、砂礫に産卵床を作り、雄雌一番で産卵する。湧水、流水のある湖岸でも行われる。

参考文献

  • 2017 サケマス・イワナのわかる本. 改訂新版 - 書籍全体, 井田斎、奥山文弥(著) サケマス・イワナのわかる本. 改訂新版. 山と渓谷社. .

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関連情報

飼育方法

水温約10℃の井戸水で飼育すると、成長がよく飼いやすい。

参考文献

  • 小宮山英重 1989 カワマス, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. p. 132.

最終更新日:2020-08-24 ハリリセンボン

味や食感

大きめのカワマスの身は、陸封個体にも関わらず赤みを帯び、味はよい。

参考文献

  • 小宮山英重 1989 カワマス, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. p. 132.

最終更新日:2020-08-24 ハリリセンボン

種・分類一覧