- 解説一覧
- ハタハタ(Arctoscopus japonicus)について
ハタハタ(Arctoscopus japonicus)
- 【 学名 】
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Arctoscopus japonicus (Steindachner, 1881)
目次
基本情報
- 分布
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宮城県以北の太平洋、日本海、オホーツク海、北太平洋一帯の大陸棚に分布
参考文献
- 尼岡邦夫 1997 , 水野信彦(監修) 川那部浩哉(編) 日本の海水魚. 山と渓谷社. 548.
最終更新日:2020-06-08 En
- 保全の取り組み
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乱獲がたたり、秋田県では3年間の禁漁期間を設けていたが、1995年解禁となり、秋田名物も復活した。
参考文献
- 望月賢二 2005 , 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. 308.
最終更新日:2020-06-08 En
- 和名の解説
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①太田南畝の『一話一言』に「魚の形小さく、鱗の中に富士山の模様生じ候段めでたき魚と祝し、文字はいつ頃よりか魚偏に神を書くなり」とあるように鰰と書いて読ませたものとある。
②ハタハタが接岸する前兆のように、沖合で雷が鳴ることから「鱩」と書いて読ませたもの。
参考文献
- 望月賢二 2005 , 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. 307.
最終更新日:2020-06-08 En
- 別名・方言名
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カミナリウオ(秋田)、ハダハダ(秋田)、シマアジ(新潟県熊生)、オキアジ(京都)、カハタ・シロハタ(鳥取)
参考文献
- 望月賢二 2005 , 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. 307-308.
最終更新日:2020-06-08 En
- 人間との関係
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季題は<冬>
「天暗き まで海光り 鰰来 関根黄鶴亭」
「鰰や ちぎれ雲とぶ 秋田沖 小林勇一」
「雷魚の 青き目玉が 火に落ちし 土谷青斗」
『魚鑑』に「はたゝ一名かみなりうを。古へは、常陸水戸に産す。今は出羽秋田に多し。この魚、性雷声を好めり」とあり、『大和本草』には「奥州ニ多シ白シテ長七八寸頭廣ク尾小ナリ」とある。
秋田県地方ではハタハタのことをサタケウオとも呼んでいるが、これは秋田の藩主・佐竹氏は以前常陸の藩主だったが、国替えの折、常陸に生息していた魚もいっしょに移ってきたとの俗説から、この名がついたと言われている。
卵はブリコと呼ばれているが、これは同じく佐竹氏が常陸にいた頃、毎年正月にはブリを食べていたが、秋田ではハタハタを代用にするしかなかった。そこでハタハタの子をブリコと呼んでせめてもの慰めにしたとのこと。
参考文献
- 望月賢二 2005 , 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. 308.
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形態
- 成魚の形質
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体は細長く、よく側扁する。
背鰭は2基で、第一背鰭は8〜14棘、第二背鰭は11〜16軟条。臀鰭は28〜34軟条。胸鰭は24〜28軟条。腹鰭は1棘5軟条。
2基の背鰭は著しく離れ、臀鰭の基底は著しく長い。胸鰭は大きく、尾鰭の後縁は直線状。
口は大きく、上方に向かって斜めに傾く。下顎は上顎より突出する。えらぶたに5本の小さい棘がある。うろこ、側線はない。オスには三角の生殖突起がある。体色は体側背部が黄褐色で、不定形の暗色斑が散在する。
参考文献
- 真木ほか 1997 , 真木長彰、寺島裕晃、中村晢美(著) 阿部宗明、本間昭郎(監修) 山本保彦(編) 現代おさかな辞典. 株式会社エヌ・ティー・エス. 544.
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- 卵の形質
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卵塊は淡紅色、淡緑色、淡褐色など変化に富む。
参考文献
- 尼岡邦夫 1997 , 水野信彦(監修) 川那部浩哉(編) 日本の海水魚. 山と渓谷社. 548.
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- 地理的変異
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日本近海には北海道太平洋群、北海道西群、日本海北群、朝鮮半島東岸群など産卵場などの違いによる形態的に多少異なる群れがある。
参考文献
- 尼岡邦夫 1997 , 水野信彦(監修) 川那部浩哉(編) 日本の海水魚. 山と渓谷社. 548.
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生態
- 生息環境
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沖合に堆や礁と、広い砂地があり、沿岸に長い海藻が繁茂している所に好んで生息する。
参考文献
- 尼岡邦夫 1997 , 水野信彦(監修) 川那部浩哉(編) 日本の海水魚. 山と渓谷社. 548.
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- 食性
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稚魚は浮遊性の小型動物プランクトンを食べる。
体長 4 ㎝くらいになるとヨコエビ類が主食となる。オキアミ類、エビ類の他、スケトウダラ、キュウリウオなどの小型魚類も重要な餌となる。
日没時と明け方に活発に餌を取るが、それ以外は砂の中に体の半分を埋めて隠れている。
参考文献
- 尼岡邦夫 1997 , 水野信彦(監修) 川那部浩哉(編) 日本の海水魚. 山と渓谷社. 548.
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- ライフサイクル
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産卵期は北海道太平洋岸では11月頃、新潟県佐渡付近では12月中旬から1月上旬である。秋田県沿岸では11月末から12月中旬にかけて水温が13〜14℃になる頃に、水深 2〜3 mの浅海に来る。
仔魚はしばらくは産卵場付近の中層にとどまるが、その後は沖合へと移動する。1年で 10 ㎝、3年で 19 ㎝、4年で 20 ㎝以上に成長する。雌雄ともに2歳、体長 15 ㎝程度から成熟する。メスはオスよりいくぶん成長が早い。雌雄の割合は海域、深度、年齢などによって異なる。
参考文献
- 尼岡邦夫 1997 , 水野信彦(監修) 川那部浩哉(編) 日本の海水魚. 山と渓谷社. 548.
最終更新日:2020-06-08 En
- 産卵
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荒天によって急に水温が下がると産卵が始まる。
産卵は早朝になされ、一時に全卵を放出する。卵は直径 3〜7 ㎜程度の卵塊となり、ホンダワラ・アカモクなどの海藻の茎の下から 20〜60 ㎝のところに付着する。卵塊は中空で600〜2300個の卵からなる。
参考文献
- 尼岡邦夫 1997 , 水野信彦(監修) 川那部浩哉(編) 日本の海水魚. 山と渓谷社. 548.
最終更新日:2020-06-08 En
関連情報
- 漁獲方法
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底引網、定置網、刺網などで漁獲される。
参考文献
- 望月賢二 2005 , 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. 308.
最終更新日:2020-06-08 En
- 味や食感
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焼き物、煮付け、干物などいろいろな料理法があるが、もともと寒冷地の保存食として利用されることが多く、郷土色豊かである。
しょっつるは、ハタハタやマイワシを塩漬けにした時生じる上澄み液を調味料にしたもの。
旬は初冬で産卵期の頃がよい。白身でさっぱりした味だが、特に産卵前のものは脂がのっていて鍋物など冬の料理に合う。
参考文献
- 真木ほか 1997 , 真木長彰、寺島裕晃、中村晢美(著) 阿部宗明、本間昭郎(監修) 山本保彦(編) 現代おさかな辞典. 株式会社エヌ・ティー・エス. 546.
- 望月賢二 2005 , 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. 308.
最終更新日:2020-06-08 En