- 解説一覧
- マンボウ(Mola mola)について
目次
基本情報
- 大きさ・重さ
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成魚は全長 3.3 m以上になる
参考文献
- 2017 日本産フグ類図鑑 - 書籍全体, 松浦啓一(著) 日本産フグ類図鑑. 東海大学出版部. .
最終更新日:2020-08-21 ひろりこん
- 分布
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北海道~九州、北部太平洋、台湾、世界の温帯~熱帯域
参考文献
- 萩原清司 2018 マンボウ科, 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z 日本魚類館 ~精緻な写真と詳しい解説~. 小学館. p. 485.
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- 別名・方言名
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ウキキ(東北地方)、マンボウ(三崎・和歌山・高知・富山)、マンボロ(高知県須崎)、シキリ(鹿児島県)、クイザメ(富山県)、ユキナメ(出雲崎)、シチャー(喜界島)
ただし、これらの方言名の中にはウシマンボウ M. alexandrini を指しているものも含まれている可能性がある。
参考文献
- 1985 原色日本海水魚類図鑑2 - 書籍全体, 蒲原稔治、岡村収(著) 原色日本海水魚類図鑑2. 保育社. .
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- 分類学的位置付け
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ミトコンドリアDNAを用いた系統解析によって2009年にマンボウは2種類に分けられる可能性が示唆された。2010年、簡易な遺伝的手法による解析結果を加え、それぞれウシマンボウとマンボウという名称が与えられた。
参考文献
- 波戸岡清峰@萩原清司 2013 マンボウ科, 中坊徹次(編) 日本産魚類検索. 東海大学出版会. pp. 2242-2243.
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形態
- 成魚の形質
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口は小さく、歯は癒合して両顎に1枚ずつあり、くちばし状。尾鰭骨格が退化し、背鰭と臀鰭の後部が変化して扇状に広がった舵鰭とよばれる特殊な鰭をもつ。
舵鰭軟条数は10~13であることや、全長 2 m以上の個体では舵鰭の後縁は波型になることからウシマンボウと区別できる。
また、雌のほうが雄より大型であることが判明している。
参考文献
- 波戸岡清峰@萩原清司 2013 マンボウ科, 中坊徹次(編) 日本産魚類検索. 東海大学出版会. pp. 1746-1747.
- 萩原清司 2018 マンボウ科, 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z 日本魚類館 ~精緻な写真と詳しい解説~. 小学館. p. 485.
- 2017 日本産フグ類図鑑 - 書籍全体, 松浦啓一(著) 日本産フグ類図鑑. 東海大学出版部. .
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- 稚魚・仔魚・幼魚の形質
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仔魚前期の形態は不明。
全長 1.4 ㎜の仔魚は体の前部が被嚢に被われ、12筋節がある尾部だけを露出させている。 1.8 ㎜になると8条ある胸鰭が発達し、尾部の筋節も17に増える。
5 ㎜の仔魚は球形で、体軸の直角に背鰭・臀鰭がついている。また、眼径よりも短く太い棘が体の上下左右にあり、金平糖のようである。
15 ㎜の仔魚は側扁し、体高が体長の約1.2倍の楕円形で、棘は相対的に小さくなっている。 19.5 ㎜の仔魚では腹部が膨出しはじめ、腹縁の3棘の間に多数の小棘が出現している。約 59 ㎜の仔魚は棘が委縮し痕跡的になっている。
366 ㎜の稚魚は腹部が膨出せず、成魚と同じ体型になっている。
マンボウの仔魚は、腹縁棘が3本であることでクサビフグ Ranzania laevis の仔魚と、尾鰭中央部鰭条が延長しないことでヤリマンボウ Masturus lanceolatus の仔魚と区別できる。
参考文献
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- 似ている種 (間違えやすい種)
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ウシマンボウ M. alexandrini (Ranzani, 1839)
参考文献
- 萩原清司 2018 マンボウ科, 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z 日本魚類館 ~精緻な写真と詳しい解説~. 小学館. p. 485.
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生態
- 生息環境
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外洋の表層~水深数百mに生息する。
参考文献
- 萩原清司 2018 マンボウ科, 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z 日本魚類館 ~精緻な写真と詳しい解説~. 小学館. p. 485.
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- 食性
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マンボウ類はクラゲを主に食べるといわれていたが、マンボウ(ウシマンボウを含んでいる可能性がある)の胃の内容物のDNA解析の結果、マンボウは主に甲殻類と魚類を食べることが判明した。
また、マンボウの食性は成長によって変化することも明らかになった。小型個体は甲殻類と魚類を食べる傾向が強く、大型個体は小型個体よりも多くの刺胞動物を食べる傾向がある。さらに、小型個体は底生性の動物や沿岸表層性の動物を食べるが、大型個体は表層性の動物に依拠していることが判明した。
参考文献
- 2017 日本産フグ類図鑑 - 書籍全体, 松浦啓一(著) 日本産フグ類図鑑. 東海大学出版部. .
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- 産卵
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産卵数は約3億粒にものぼるといわれている。
中坪ほか(2007)は房総半島と三浦半島で漁獲された183個体(雄72個体、雌11個体)のマンボウ(ウシマンボウを含んでいる可能性もある)の生殖腺を調査した。その結果、生殖腺の成熟度は5月から徐々に増加し、8月にピークに達し、12月まで徐々に減少することを明らかになった。このことから、関東沿岸に来遊するマンボウの産卵期は8月~10月であると推定されている。
中坪俊之・川地将裕・間野伸宏・廣瀬一美. 2007. 関東沿岸域に回遊するマンボウ Mola mola の産卵期の推定. 水産増殖, 55: 613-618.
参考文献
- 2017 日本産フグ類図鑑 - 書籍全体, 松浦啓一(著) 日本産フグ類図鑑. 東海大学出版部. .
- 堀之内秀信 2000 大洋の変わり者、マンボウ, 日高敏明(監修) 中坊徹次、望月賢二(編) 日本動物大百科6:魚類. 平凡社. p. 190.
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- 特徴的な行動
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マンボウ属魚類は従来、海の中でゆっくりと泳いだり、海面に浮きあがって「昼寝」をしたりすると言われていた。つまり、活発な魚ではないと考えられていたのである。しかし、最近の研究によってマンボウ類はかなり活発に遊泳し、水平的にも鉛直的にも動き回ることが判明した。
マンボウ類は海中からジャンプできることも判明している。水族館の研究者の話によると、マンボウの若魚が飼育水槽から飛び出したことがあったという。また、カリフォルニア沖で海洋生物を観察していたテレビチームが、海中から飛び出すマンボウを撮影したことがある。さらに、航空機からの観察によって、マンボウ類の若魚が群れをつくって遊泳することが確認されている。
参考文献
- 2017 日本産フグ類図鑑 - 書籍全体, 松浦啓一(著) 日本産フグ類図鑑. 東海大学出版部. .
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関連情報
- 漁獲方法
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日本では夏季に本州の太平洋岸で定置網によって漁獲される。
参考文献
- 2017 日本産フグ類図鑑 - 書籍全体, 松浦啓一(著) 日本産フグ類図鑑. 東海大学出版部. .
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- 味や食感
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肉は白身で軟らかく、味は淡泊。(堀之内, 1998, 190)
身は生ではイカ類に、加熱後は鶏のささ身に似る。(萩原, 2018, 485)
参考文献
- 萩原清司 2018 マンボウ科, 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z 日本魚類館 ~精緻な写真と詳しい解説~. 小学館. p. 485.
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