- 解説一覧
- イサキ(Parapristipoma trilineatum)について
イサキ(Parapristipoma trilineatum)
- 【 学名 】
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Parapristipoma trilineatum (Thunberg, 1793)
基本情報
- 分布
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関東・新潟県以南、黄海、東シナ海、南シナ海の沿岸に分布するが、南西諸島にはいない。静岡県〜宮崎県と石川県〜長崎県にいたる黒潮流域にもっとも多い。
参考文献
- 望月賢二 2005 , 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. 53.
最終更新日:2020-06-08 En
- 和名の解説
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①「イサ」は斑、縞などの意。「キ」は魚名語尾。
②背の筋模様が5本に分かれることから「五裂(いさき)」の意。
参考文献
- 望月賢二 2005 , 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. 52.
最終更新日:2020-06-08 En
- 別名・方言名
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ハカタイサギ(相模湾)、コシタメ(静岡県静浦)、カジャコロシ(和歌山)、イセギ(高知)、ハタザコ(鹿児島)、クチグロマツ(奄美)
参考文献
- 望月賢二 2005 , 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. 52.
最終更新日:2020-06-08 En
- 人間との関係
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季題は<夏>
「いさき一尾 釣りしのみ 芦の夕かげり 逸見恵三」
「釣人の 昼餉を磯の 焼きいさき 藤田志洸」
『本朝食鑑』に、夏、秋に多く、味は最もよくなく魚中の下品であるとしており、江戸時代にはさほど美味と認められていない。
『魚鑑』には「この骨咽に立つ時は抜けがたし」とあり、骨が硬くて鋭いことから、誤って飲み込んでしまうと、のどに刺さることがあると記される。
和歌山県の白崎、田辺では、骨がのどに刺さって死んだ鍛冶屋がいたという言い伝えから「カジヤゴロシ」の異名がある。
九州では、「イサキは下を向いて食べろ」といい、イサキの骨や棘がのどに刺さって死に、北枕に寝かされる恐れがあることを暗示している。
参考文献
- 望月賢二 2005 , 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. 53.
最終更新日:2020-06-08 En
形態
- 成魚の形質
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体は細長い紡錘形で、わずかに側扁する。尾鰭後縁は叉状に湾入する。
鰓条骨は7本で、口唇は薄い。主上顎骨の露出部に鱗のあること、下顎縫合部に2対の小孔があることおよび眼の下縁が吻端より下方に位置するのがこの種の特徴である。
小櫛鱗で、体はざらざらしている。体長 20 ㎝位までの幼魚では、体に3条の幅広い暗褐色縦帯が直走するが、成長に伴って薄くなり、24 ㎝以上では消失する。種名はこの3条の縦帯を意味する。
幼魚の地肌は黄色味が強く、黒と黄色のコントラストが美しい縞模様を形成する。
背鰭13〜14棘17〜19軟条、臀鰭3棘8軟条、側線鱗数55〜56枚。
参考文献
- 赤崎正人 1997 , 水野信彦(監修) 川那部浩哉(編) 日本の海水魚. 山と渓谷社. 347.
最終更新日:2020-06-08 En
- 卵の形質
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直径 0.82〜0.92 ㎜の油球1個をもつ分離浮性卵。23℃の水温で27時間で孵化する。
参考文献
- 真木ほか 1997 , 真木長彰、寺島裕晃、中村晢美(著) 阿部宗明、本間昭郎(監修) 山本保彦(編) 現代おさかな辞典. 株式会社エヌ・ティー・エス. 136.
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生態
- 生息環境
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イサキの稚魚は内湾の水深 5〜10 m位のアマモ藻場あるいは海藻の多い岩礁と砂底の境界域を群泳している。
成魚は昼夜による垂直移動が見られ、昼間は沿岸のやや深い海藻の多い海底に潜み、夜間は海面近くまで浮上して摂餌活動をする。
参考文献
- 赤崎正人 1997 , 水野信彦(監修) 川那部浩哉(編) 日本の海水魚. 山と渓谷社. 347.
最終更新日:2020-06-08 En
- 食性
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稚魚は二枚貝幼生やアミ類などの動物プランクトンを摂食し、成魚は小型の魚類や甲殻類を捕食する。夜行性が強く、摂餌などの行動は主として夜間に行われる。
参考文献
- 真木ほか 1997 , 真木長彰、寺島裕晃、中村晢美(著) 阿部宗明、本間昭郎(監修) 山本保彦(編) 現代おさかな辞典. 株式会社エヌ・ティー・エス. 136.
最終更新日:2020-06-08 En
- ライフサイクル
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産卵期は南で5〜6月、北で6〜8月とわずかに遅い。
三浦半島でメスは6月末に生殖腺指数1.3余りで成熟するが、4歳で100%が成熟する。
オスは生殖腺指数1.34で成熟し、2歳魚で90%あまりが放精する。
抱卵数は尾叉長 20 ㎝で4万粒、30 ㎝で128万粒と算定された。
産卵水温は23〜28℃である。
孵化仔魚は全長 1.61〜2.04 ㎜。満1年で尾叉長 12 ㎝、4年で 27 ㎝に成長する
参考文献
- 赤崎正人 1997 , 水野信彦(監修) 川那部浩哉(編) 日本の海水魚. 山と渓谷社. 347.
最終更新日:2020-06-08 En
- 産卵
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産卵行動は、1尾のメスを数尾のオスが追い、そのうちの1尾がメスとペアを作って円を描くように遊泳する。その後、雌雄は水面に向かって浮上し、水面直近でお互いの腹をすり合わせるように反転して抱卵・放精する。
参考文献
- 真木ほか 1997 , 真木長彰、寺島裕晃、中村晢美(著) 阿部宗明、本間昭郎(監修) 山本保彦(編) 現代おさかな辞典. 株式会社エヌ・ティー・エス. 136.
最終更新日:2020-06-08 En
関連情報
- 漁獲方法
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主に定置網、刺網、釣りなどで漁獲される。マス網への入網時刻は夜で、午前0時より前が多い。
参考文献
- 赤崎正人 1997 , 水野信彦(監修) 川那部浩哉(編) 日本の海水魚. 山と渓谷社. 347.
最終更新日:2020-06-08 En
- 味や食感
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晩春から初冬にかけて出回るが、特に6〜7月が旬。大きめのものは、脂がのっていて、刺身にすると生姜でもわさびでも美味しく、小ぶりのものは塩焼きにするとよい。
煮付けてもあげても美味。ブイヤベースに使ってもよい。
参考文献
- 真木ほか 1997 , 真木長彰、寺島裕晃、中村晢美(著) 阿部宗明、本間昭郎(監修) 山本保彦(編) 現代おさかな辞典. 株式会社エヌ・ティー・エス. 138.
最終更新日:2020-06-08 En