- 解説一覧
- ホウボウ(Chelidonichthys spinosus)について
ホウボウ(Chelidonichthys spinosus)
- 【 学名 】
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Chelidonichthys spinosus (McClelland, 1844)
基本情報
- 分布
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北海道以南の各地、渤海、黄海、東シナ海と南シナ海に分布する。黄海、東シナ海のものは形態、発生水域、回遊などが異なる 3 つの群がある。これら3群の冬季における主な分布域は、黄海の海州沖合いから済州島西方、東シナ海の舟山沖合いおよび対馬南部から五島列島南西部の3海域である。
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最終更新日:2020-05-12 En
- 和名の解説
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① 姿がカナガシラを髣髴とさせることから「魴鮄」と書いて読ませたもの。
② ホホホネウヲ(頬骨魚)の義。
③ 「ボウ」は魚名語尾で、「這う魚」の意味。
④ 浮袋で発する鳴き声から。
⑤ 頭の形が角ばっていることから「方頭、方帽」の義。
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- 別名・方言名
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キミオ(青森)、ドコ(秋田)、ホウホウ(富山)、キミウオ(北陸)、コト(鳥取)、コウボウ(広島県賀茂郡)、ウンブ、キンツ(有明海)、ホコノハ(鹿児島)
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- 人間との関係
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『魚鑑』に「肉雪白。味甘美し。冬月のは上饌なり」とある。また『和漢三才図会』にも、「炙って食べれば大へん甘美」と記されている。赤い体色と、鎧兜を着けた武士を連想させる姿形から、タイと同様にめでたい魚とされ、祝い事にも使われる。
赤ん坊が生後100〜120日になると行われる「箸初め」の儀式に用いられる尾頭つきの魚の 1 つ。新潟県地方ではホウボウをキミヨ(君魚)と呼んでいるが、それはかつて藩主がホウボウを好んで食したことから、この魚を敬称で呼んでいたのが今も残っているため。
歳時記での季節は<冬>。「魴鮄の煮こごる姿いかめしき 阿波野青畝」「魴鮄の髭脚立てて貌そろふ秋山牧車」「河岸の灯に魴鮄朱を競ひけり 福島五浪」
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形態
- 成魚の形質
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吻突起はほとんど発達せず、その最外棘も短い。両背鰭の基底に沿って鋭い棘を備えた骨質板が並ぶ。胸鰭はやや長く、背鰭第7〜11軟条下に達する。体上半部は灰褐色地に不規則な赤色斑が広がる。体下半部は白色。背鰭と尾鰭に赤色斑がある。胸鰭内面の縁辺は青色、中は濃いウグイス色で、下半部に青白色の小円斑が散在する。鱗は小さくて脱落しにくい。
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- 稚魚・仔魚・幼魚の形質
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仔稚魚は浮遊生活をするが、全長 2 ㎝を超えるころから胸鰭の下部軟条が遊離し、やがて着底生活に入る。稚魚は全身が黒っぽく、胸鰭や背鰭も黒色である。
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生態
- ライフサイクル
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仔稚魚は浮遊生活をするが、全長 2 ㎝を超えるころから胸鰭の下部軟条が遊離し、やがて着底生活に入る。稚魚は全身が黒っぽく、胸鰭や背鰭も黒色である。
成長するにつれてより深い海底へ移動し、大陸棚の水深 100〜200 m付近にもっとも多く生息する。1年でほぼ 14 ㎝、2年で 20 ㎝、3年で 24 ㎝、4年で 28㎝となり成熟する。産卵は年1回で、冬から春にかけて見られる。
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関連情報
- 味や食感
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体の赤みが鮮やかなもの、ぬめりが透明なもの、腹の色が白くて引き締まっているものを選ぶ。肉質は白身で、タンパク質を多く含むのが特徴。淡白な味を生かして、塩焼きや薄味の煮付け、椀種、かまぼこなどに利用。また良い味が出るので、ぶつ切りにしてちり鍋やブイヤベースにする。鮮度の良い大ぶりのものは刺身に。
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