- 解説一覧
- Plecoglossus altivelisについて
Plecoglossus altivelis
【IUCN】評価するだけの情報が不足している種
- 【 学名 】
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Plecoglossus altivelis (Temminck & Schlegel, 1846)
目次
基本情報
- 大きさ・重さ
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成魚全長:10~30 cm
参考文献
- 西田睦 1989 アユ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 66-79.
最終更新日:2021-04-02 ハリリセンボン
- 分布
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北海道西部以南の日本各地に分布する。
参考文献
- 西田睦 1989 アユ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 66-79.
最終更新日:2021-04-02 ハリリセンボン
- 生息状況
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アユは清流の魚といわれたりするが、日本のふつうの河川の、ごくふつうの中流域に、あたりまえに生息していた魚とみるのが至当で、もしこの魚が生息できなくなったとすれば、その川の状態は相当に悪いとみて間違いない。
参考文献
- 西田睦 1989 アユ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 66-79.
最終更新日:2021-04-02 ハリリセンボン
- 亜種・品種
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・リュウキュウアユ P. a. ryukyuensis
国内の分布の南限は屋久島で、さらに南には亜種であるリュウキュウアユが生息する。残念ながら沖縄島のリュウキュウアユは1970年代に絶滅し、現在は奄美大島が唯一の生息地となってしまった。
参考文献
- 井口恵一朗 2000 サケ亜目, 日高敏明(監修) 中坊徹次、望月賢二(編) 日本動物大百科6:魚類. 平凡社. pp. 43-49.
最終更新日:2021-04-02 ハリリセンボン
- 別名・方言名
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アイ(日本各地)
参考文献
- 西田睦 1989 アユ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 66-79.
最終更新日:2021-04-02 ハリリセンボン
- 分類学的位置付け
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サケ目 キュウリウオ科 アユ属(西田)
サケ亜目 アユ科(井口)
参考文献
- 西田睦 1989 アユ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 66-79.
- 井口恵一朗 2000 サケ亜目, 日高敏明(監修) 中坊徹次、望月賢二(編) 日本動物大百科6:魚類. 平凡社. pp. 43-49.
最終更新日:2021-04-02 ハリリセンボン
形態
- 成魚の形質
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背側は青みがかったオリーブ色で腹側は銀白色であるが、死ぬと全体に黄みを帯びる。特になわばりを持つ個体では、胸びれ基部の後方に長円形の黄斑があらわれ、背びれは長く黒色を帯び、さらにあぶらびれの先端は鮮やかなオレンジ色を呈する。
産卵期のアユは「さびアユ」と呼ばれ、雌雄とも体色が黒ずみ、雄では追星の出現が著しく、体の表面がざらざらになる。
参考文献
- 西田睦 1989 アユ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 66-79.
最終更新日:2021-04-02 ハリリセンボン
生態
- 生息環境
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アユの分布の中心は主として日本列島にあるが、大陸沿岸にも生息が確認されている。北限はロシア、中国、北朝鮮が国境を接するあたりで、朝鮮半島のほぼ全域に分布する。 中国に入ると、渤海、黄海、東海沿岸を生息地とし、南限はベトナムに近い広西壮族自治区に達する。
アユはその生活史の特性から長大な下流域が発達した河川で生活するのは不得意である。産卵場が形成される中流域から子にとって餌の豊富な海までの距離が長くなれば、仔魚は海に到達する前に飢え死にしてしまうからである。よって、長江(揚子江)や黄河のような平野の大河川にすみつくことはない。
大陸における生息河川は、「日本的」な中・小河川に限られる。
参考文献
- 井口恵一朗 2000 サケ亜目, 日高敏明(監修) 中坊徹次、望月賢二(編) 日本動物大百科6:魚類. 平凡社. pp. 43-49.
最終更新日:2021-04-02 ハリリセンボン
- 食性
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幼魚はプランクトン食、成魚は付着藻類食である。
参考文献
- 井口恵一朗 2000 サケ亜目, 日高敏明(監修) 中坊徹次、望月賢二(編) 日本動物大百科6:魚類. 平凡社. pp. 43-49.
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- ライフサイクル
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春から秋にかけて、若魚期から成魚期を、主として川の中流域で生活するが、孵化した仔魚は秋に海に下り、翌春まで仔稚魚期を海で送る(両側回遊型)。なお、琵琶湖(や池田湖など)には、海の代わりに湖で冬を越し、湖で、あるいは湖とそこへの流入河川で生活を完結させる陸封集団が生息している。
遡上期は、南方では3~5月、北方では5~7月ごろ。この時期以後も海でアユの姿の見られることがあるが、水温の高いときには海水はアユにとって生理的に不都合なので、これらはいずれ死亡するものと考えられる。
遡上時のアユの体長は 7~8 cmで、河川中流域に入ると、岩盤や石礫のあるところに好んで定住し、もっぱらそれらの表面の付着藻類を食べる。櫛状歯のある上下の唇を勢いよく石の表面にこすりつけて摂餌するので、そこには独特のはみあとが残る。
参考文献
- 西田睦 1989 アユ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 66-79.
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- 産卵
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産卵期は、北方では8月下旬~9月、南方では10月下旬~12月。
産卵場は、中流域と下流域の境目付近にある砂礫底の瀬で、流速の割に砂礫の粒が小さいため軟質になっている場所に形成される。
主に夜間に多くの親魚が産卵場に集まって産卵するが、盛んな時期には昼間に継続される。
雄は数週間にわたって産卵群に加わるのに対して、雌は一気に放卵するために、産卵末期を除き産卵群の性比は常に雄にかたよる。雌の産卵回数は通常1回で、1回に産む卵の数は、体の大きさにほぼ比例し、体長 12 cmでは1万~2万粒である。
産卵を終えたアユの多くはそのまま死ぬが、ごく一部には翌年まで生き残るものものいる。
参考文献
- 西田睦 1989 アユ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 66-79.
最終更新日:2021-04-02 ハリリセンボン
- 特徴的な行動
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遡上時には群れをなしているが、河川に定住するようになると、なわばり行動を示すようになる。
なわばりは、餌場となる石を中心に 1 m前後の広さで、早瀬や平瀬および淵の一部に形成される。夜もなわばり内にいることが多いが、淵へ移動して休む場合もある。
なわばりを持たずに群れで移動しながら餌をとるものもいるが、これらの成長はなわばりを持つアユに比べると概して悪い。ただし、おびただしい数が遡上して密度が 1 ㎡に3尾を超えるようになると、ほかの個体の侵入が激しくなってなわばり防衛が困難になるため、ほとんどのものがなわばりを持たずに群れで生活するようになる。
参考文献
- 西田睦 1989 アユ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 66-79.
最終更新日:2021-04-02 ハリリセンボン
- その他生態
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淡水魚一般がそうであるように、アユの生態にもかなりの柔軟性がある。
河川ではふつうもっぱら藻類を食べるが、洪水のあとなどには水生昆虫のような動物質のものを食べるし、常にみながなわばりを持つわけでもない。
また、一等地になわばりを持って盛んに摂餌したもののなかには、体長が 20 cmをはるかに超えるものがいる一方、なわばりを持たなかったもののなかには 10 cmに満たないものも出てくる。コアユやオオアユなど琵琶湖内に見られる多様性も、こうした柔軟性のあらわれとみるのが妥当のようである。
この多様性は琵琶湖アユ内に集団分化が起こっていることの反映とする見方もあるが、耳石や脊椎骨数さらにアイソザイムの分析からは、各タイプが独立したものという特徴は得られない。
参考文献
- 西田睦 1989 アユ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 66-79.
最終更新日:2021-04-02 ハリリセンボン
関連情報
- 漁獲方法
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なわばりを持つアユの攻撃性を利用した「友釣り」は世界的にも例を見ない独特の釣法である。
極細の釣り糸につないだおとりアユにかけバリをつけ、なわばりアユをかける。なわばりアユをかけるのは、逃げようとするおとりアユと、攻撃のあと反転しようとするなわばりアユとの引き合う力による。その際、ハリスを固定する逆バリが支点となる。
友釣りでアユをたくさん釣るコツの一つは、石の表面がみがかれたようにきれいになった場所をねらうことである。なわばりアユが摂餌する石の表面は、ラン藻が優占し黒っぽい褐色に見えることが多い。このように、アユはケイ藻を食べるとされていたが、最近の研究でラン藻が主食であることがわかった。
友釣りのほかに、毛バリ釣りや素ガケも行われる。
参考文献
- 2018 くらべて分かる淡水魚 - 書籍全体, 斉藤憲治(著) 内山りゅう(他) くらべて分かる淡水魚. 山と渓谷社. .
最終更新日:2021-04-02 ハリリセンボン
- 味や食感
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食べ方にもいろいろあり、焼き物、煮もの、揚げもの、蒸しもの、吸いもの、刺身、寿司や酢のもの、干しもの、つくだ煮、粕漬け、ウルカ(内臓の塩漬け)など、実に多様である。
身にはスイカやキュウリに似た特有の香気があり、アユの多い川の場合、河原に下り立っただけでこの香りがにおってくることがある。
酢味噌で食べる獲りたての稚アユの背開きや若アユの刺身はとてもうまいが、寄生虫の危険を覚悟しなければならない。
アユ独特の香りと味を楽しむには、塩焼きにするか、素焼きにしてタデ酢で食べるのが、やはり最良であろう。養殖ものは残念ながら香り、味ともにどうしても数段落ちる。
参考文献
- 西田睦 1989 アユ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 66-79.
最終更新日:2021-04-02 ハリリセンボン
- その他
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琵琶湖では、遡上期は3~8月の長期にわたるが、盛期は5月である。
流入河川に遡上したアユは、オオアユといい、上記の両側回遊型アユと同様の生活を送りふつうに大きくなるが、なわばりを持つ性質がより強い点に特徴がある。ただし, 6~8月の遅い時期に遡上したものは、下流域で群れで過ごすことが多く、あまり大きくならない。
また、プランクトン動物を餌として湖中にとどまり、ほとんど大きくならないまま体長 6~9 cmで成長するコアユがいる。 こうしたコアユは、ほかの湖やダムでも見られる。なお湖中にとどまるものの一部には、湖岸の岩盤上の付着藻類を食って大きく成長するものもいる。
参考文献
- 西田睦 1989 アユ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 66-79.
最終更新日:2021-04-02 ハリリセンボン