- 解説一覧
- メジナ(Girella punctata)について
基本情報
- 分布
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北海道南部以南、東シナ海、台湾に分布。
従来、琉球には分布しないといわれていたが、沖縄島西方の渡名喜島で、全長 33 ㎝の個体が釣り上げられた。
参考文献
- 望月賢二 2005 , 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. 408.
最終更新日:2020-06-14 En
- 和名の解説
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①体長に比して眼が先端に近いことから、目近魚(メジカナ)の意か。
②春には幼魚が多数群れをなすから、湧き出る魚=蒸す魚(ムスナ)の意か。
参考文献
- 望月賢二 2005 , 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. 408.
最終更新日:2020-06-14 En
- 別名・方言名
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クロチン(新潟)、クシロ(静岡)、サカズキイボ(富山県新川村・横山村)、クロバンチョ(石川県輪島)、ヒシ(三重)、グロエボシ(和歌山)、クロアイ(鳥取・島根)、クロベ(徳島)、タカイオ(愛媛・高知県沖ノ島)
メジナ釣りは近畿・四国・中国地方で好まれ、釣人からは「グレ」と呼ばれている。なお、九州の釣人は「クロ」と呼び、「メジナ」と呼ぶのは関東地方である。
参考文献
- 望月賢二 2005 , 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. 408.
最終更新日:2020-06-14 En
形態
- 成魚の形質
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体は楕円形で側扁する。体長は体高の2.5倍前後。
背鰭は1基で14〜15棘13〜14軟条。臀鰭は3棘12軟条。腹鰭は1棘5軟条。
尾鰭の後縁は浅く湾入する。吻端は円く口は小さい。鰓蓋に鋭い棘が1本ある。
両顎にはブラシ状の歯が並び、その外側に門歯が一列に並ぶ。
鰓蓋の上後方から尾柄部まで側線が走り、その上に50〜56枚の鱗が並ぶ。
体色は体側背部が黒青色で、腹部では淡くなる。
参考文献
- 1997 , 真木長彰、寺島裕晃、中村晢美(著) 阿部宗明、本間昭郎(監修) 山本保彦(編) 現代おさかな辞典. 株式会社エヌ・ティー・エス. 650.
最終更新日:2020-06-14 En
- 卵の形質
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球形で、直径 1 ㎜前後の分離浮性卵。
参考文献
- 1997 , 真木長彰、寺島裕晃、中村晢美(著) 阿部宗明、本間昭郎(監修) 山本保彦(編) 現代おさかな辞典. 株式会社エヌ・ティー・エス. 650.
最終更新日:2020-06-14 En
- 似ている種 (間違えやすい種)
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各鱗の基部に暗色点がある。側線有孔鱗数は50〜56、鰓蓋の後縁は黒くない。尾柄部はやや太く、尾鰭後縁の切れ込みはわずか、などの点でクロメジナと区別できる。
全体的にクロメジナより寸詰まりの印象である。
参考文献
- 荒賀忠一 1997 , 水野信彦(監修) 川那部浩哉(編) 日本の海水魚. 山と渓谷社. 414.
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生態
- 生息環境
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昼行性で群れをなし、幼魚は沿岸の岩礁域の浅場にすみ、成長とともに沖の深場に移動する。
参考文献
- 望月賢二 2005 , 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. 408.
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- 食性
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丈夫な歯を持ち、海藻類や甲殻類、小魚などを食べる雑食性。
参考文献
- 望月賢二 2005 , 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. 408.
最終更新日:2020-06-14 En
- ライフサイクル
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産卵期は春から初夏で、本州北部では5〜7月、長崎で3〜5月に産卵する。
孵化直後の仔魚は全長 2.3 ㎜前後で細長く、腹部に楕円形の卵黄をもつ。
孵化後3日で全長 3.5 ㎜前後に成長し、卵黄をほぼ吸収し終わる。
全長 16〜17 ㎜に成長する頃に各鰭の条数は成魚と同数になり、体表に鱗が出現する。
全長 4 ㎝前後でほぼ成魚と同じ体形になり、7 ㎝で完全に成魚の体形になる。
仔稚魚は沖合の表層で浮遊生活をしているが、やがて流れ藻などに付き、成長すると沿岸に接近して群れをつくる。
生後1年で体長 10 ㎝前後、3年で 20 ㎝前後、7年で 30 ㎝前後に成長する。
成長はオスの方がメスよりもよい。1歳を過ぎる頃から、昼間は沖合や他の磯へ移動して摂餌行動をとり、夜間は定まった磯や大きなタイドプールに戻ってごく浅い場所の岩陰や割れ目に隠れて眠るようになる。
生後3年前後で成熟し、昼夜ともに外界で過ごすようになり、切り立った岩礁の下や割れ目に隠れる。
参考文献
- 1997 , 真木長彰、寺島裕晃、中村晢美(著) 阿部宗明、本間昭郎(監修) 山本保彦(編) 現代おさかな辞典. 株式会社エヌ・ティー・エス. 650〜652.
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関連情報
- 漁獲方法
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釣りのほか、定置網、刺網で漁獲される。
参考文献
- 望月賢二 2005 , 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. 408.
最終更新日:2020-06-14 En
- 味や食感
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旬は冬で、夏場はやや磯臭さがある。白身で脂がのっていて美味。
刺身にするには冬のものに限るが、締めて血抜きをしたものを使うこと。
塩焼きや煮付けにするときはうろこを引き、皮目に斜めに飾り包丁を入れるとよい。内臓を取り除くときは、臭みの元の胆嚢を潰さないよう気をつける。
あらは煮付ける。皮は湯引きして刻み、ポン酢で食べると美味。
ムニエルや唐揚げ、鍋物にもよい。味噌漬けにして焼くと、臭みや脂っぽさも消えてさっぱりとした味わいになる。
参考文献
- 1997 , 真木長彰、寺島裕晃、中村晢美(著) 阿部宗明、本間昭郎(監修) 山本保彦(編) 現代おさかな辞典. 株式会社エヌ・ティー・エス. 653.
最終更新日:2020-06-14 En