- 解説一覧
- アリアケヒメシラウオ(Neosalanx reganius)について

アリアケヒメシラウオ(Neosalanx reganius)
【IUCN】近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの
【環境省】ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの
- 【 学名 】
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Neosalanx reganius Wakiya & Takahashi, 1937
基本情報
- 大きさ・重さ
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全長:6 cm
参考文献
- 田北徹 1989 アリアケヒメシラウオ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. p. 84.
最終更新日:2020-08-20 ハリリセンボン
- 分布
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日本固有種で、有明海に注ぐ筑後川と緑川の感潮域のみに分布する。
参考文献
- 田北徹 1989 アリアケヒメシラウオ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. p. 84.
最終更新日:2020-08-20 ハリリセンボン
- 分類学的位置付け
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サケ目 シラウオ科 ヒメシラウオ属
参考文献
- 田北徹 1989 アリアケヒメシラウオ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. p. 84.
- 猿渡敏郎 2018 アリアケヒメシラウオ(ヒメシラウオ属), 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 129.
最終更新日:2020-08-20 ハリリセンボン
- 人間との関係
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本種は地元でもほとんど知られず、これを獲る漁法もない。緑川河口域ではシラウオを獲る漁法があり、本種がわずかに混獲されるが、その量は不明である。従って食用として利用されることもない。
筑後川では1962年に、河口から 16 kmの地点で稚魚網で本種を多く採集できた。しかし現在では、少なくとも同じ場所同じ方法での採集は難しい。
緑川でも1968年にかなり多くの個体を採集したが、1984年にはほとんど採集できなかった。
両河川とも、ダム建設、取水や採砂などが行われ、生息域の環境に大きな変化が生じており、資源は危険な状態に至っていると考えられる。
参考文献
- 田北徹 1989 アリアケヒメシラウオ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. p. 84.
- 猿渡敏郎 2018 アリアケヒメシラウオ(ヒメシラウオ属), 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 129.
最終更新日:2020-08-20 ハリリセンボン
形態
- 成魚の形質
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口蓋骨に歯がなく、下顎は上顎より前に出る。雄の尻鰭の基底に沿って並ぶ鱗が16~17枚で、胸鰭が小さく軟条が22~26であることが特徴とされているが、体長が最大 6 cm前後と小さく、頭部が丸みを帯びていることで容易に他種と区別できる。また成熟した雄の尻びれ基部に特徴的な黒色斑が1つある。
ヒメシラウオ属の魚は、日本では本種だけである。大陸産の3種は本種と酷似するが、鰭軟条数、脊椎骨数、歯数などで区別できる。
参考文献
- 田北徹 1989 アリアケヒメシラウオ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. p. 84.
最終更新日:2020-08-20 ハリリセンボン
- 卵の形質
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卵は直径 0.84~1.00 mm、沈性で、外卵膜の反転による付着糸を持つ。
参考文献
- 田北徹 1989 アリアケヒメシラウオ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. p. 84.
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生態
- 生息環境
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両河川の感潮域のうち、主に上流側に生息し、河口域には少ない。感潮域はそれぞれ 23 kmと 8 kmで、分布域は極端に狭い。有明海には分布せず、50 km隔てられた2つの群は系統を異にする。筑後川群の方が体長が 4~10 mmと小さく、体形にも違いがある。
参考文献
- 田北徹 1989 アリアケヒメシラウオ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. p. 84.
最終更新日:2020-08-20 ハリリセンボン
- ライフサイクル
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水温10~14℃で10~11日で孵化する。
孵化直後の仔魚は全長約 4 mmで、コイ科の仔魚に似て卵黄嚢が長い。全長約 20 mmで後期仔魚期を終えるときには体形、体色ともほぼ成魚の状態に達している。生後1年で産卵し、寿命を終える年魚である。
参考文献
- 田北徹 1989 アリアケヒメシラウオ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. p. 84.
最終更新日:2020-08-20 ハリリセンボン
- 産卵
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4月を中心として3~6月に、普段の生息域で1個500粒前後の卵を産む。
参考文献
- 田北徹 1989 アリアケヒメシラウオ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. p. 84.
最終更新日:2020-08-20 ハリリセンボン
関連情報
- 味や食感
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シラウオと変わらない味である。
参考文献
- 田北徹 1989 アリアケヒメシラウオ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. p. 84.
最終更新日:2020-08-20 ハリリセンボン