- 解説一覧
- イワトコナマズ(Silurus lithophilus)について
イワトコナマズ(Silurus lithophilus)
【IUCN】絶滅の危険が増大している種
【環境省】現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種
- 【 学名 】
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Silurus lithophilus (Tomoda, 1961)
基本情報
- 大きさ・重さ
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全長:60 cm
参考文献
- 小早川みどり 1989 イワトコナマズ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. p. 420.
最終更新日:2020-08-17 ハリリセンボン
- 分布
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琵琶湖北部の岩礁地帯と、琵琶湖の北に位置する余呉湖に生息する。
参考文献
- 小早川みどり 1989 イワトコナマズ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. p. 420.
最終更新日:2020-08-17 ハリリセンボン
- 和名の解説
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イワトコナマズの「イワトコ」は岩礁を意味する。
参考文献
- 小早川みどり 1989 イワトコナマズ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. p. 420.
最終更新日:2020-08-17 ハリリセンボン
- 別名・方言名
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地方名:イワトコ(琵琶湖)
参考文献
- 小早川みどり 1989 イワトコナマズ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. p. 420.
最終更新日:2020-08-17 ハリリセンボン
- 分類学的位置付け
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ナマズ目 ナマズ科 ナマズ属
参考文献
- 川瀬成吾 2018 イワトコナマズ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 119.
- 小早川みどり 1989 イワトコナマズ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. p. 420.
最終更新日:2020-08-17 ハリリセンボン
- 人間との関係
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泥臭さが少ないせいか、日本産のナマズ3種のうちでは最も味がよく、蒲焼、沖すきなどで食される。しかし、主に琵琶湖北部、岐阜などで消費されるため、あまり一般的ではない。
ナマズと最も近縁であり、ナマズとの共通祖先から琵琶湖の岩礁地帯に適応し進化した初期固有と考えられている。
最近、東海地方から、左右の鋤骨歯帯は分離し八の字状になり、ミトコンドリアDNA解析でも本種と近縁なナマズ属の1種 silurus sp. が見つかっているが、外見は普通のナマズと区別しにくい。
参考文献
- 川瀬成吾 2018 イワトコナマズ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 119.
- 小早川みどり 1989 イワトコナマズ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. p. 420.
最終更新日:2020-08-17 ハリリセンボン
形態
- 成魚の形質
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体形はナマズに似るが、色彩がやや異なる。水中では黒ずんで見えるが、色紙を張り付けたような黄褐色の斑紋が体全体にある。前鼻孔に発達した長い鼻管があり、またナマズ類のほか2種と違い、眼が頭の側面にあるため、腹側からも見える。左右の鋤骨歯帯は分離し八の字状になることで区別できる。
成長はナマズと同程度だが、成魚はナマズよりやや小さい。
参考文献
- 川瀬成吾 2018 イワトコナマズ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 119.
- 小早川みどり 1989 イワトコナマズ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. p. 420.
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- 卵の形質
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卵は黄褐色で、外側が透明な厚いゼリー状の膜に覆われており、膜を含めた径は、受精後間もない卵で 3.5 ㎜前後もある。表面は凹凸が著しく、粘着性はない。
参考文献
- 小早川みどり 1989 イワトコナマズ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. p. 420.
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生態
- 生息環境
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琵琶湖の岩礁域を主な生息場所としているが、流出河川である瀬田川でもみられる。
参考文献
- 川瀬成吾 2018 イワトコナマズ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 119.
最終更新日:2020-08-17 ハリリセンボン
- 食性
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動物食性で、水生昆虫、エビ、小魚を食べる。魚類より甲殻類を摂餌する。
参考文献
- 川瀬成吾 2018 イワトコナマズ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 119.
- 小早川みどり 1989 イワトコナマズ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. p. 420.
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- 産卵
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産卵期は6月中旬~下旬である。産卵は水深 2~3 mの礫底域で、梅雨の増水時の温暖な夜に、湖岸の礫底で行われる。水温22℃のもとでは、55~60時間で孵化する。
産卵行動はナマズよりも、ビワコオオナマズに似ている。
参考文献
- 川瀬成吾 2018 イワトコナマズ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 119.
- 小早川みどり 1989 イワトコナマズ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. p. 420.
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関連情報
- 漁獲方法
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琵琶湖では、産卵期に北部の礫底域に接岸する。
この時期には、魞と呼ばれる定置網でよく漁獲されるが、冬には深みに潜むので、カジカなどを餌にした延縄漁で獲られる。
参考文献
- 小早川みどり 1989 イワトコナマズ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. p. 420.
最終更新日:2020-08-17 ハリリセンボン
- その他
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まれに濃色の色素の欠落した黄色いアルビノが漁獲されることがある。ナマズやビワコオオナマズでも同様なアルビノが見られるが、イワトコナマズの場合が最も多い。このような個体は弁天様のお使いとして尊重され、丁重に湖に戻される。
本種とビワコオオナマズの2種は、1961年に記載されたが、琵琶湖の漁業者はナマズを含む3種を昔から明確に区別していた。
参考文献
- 小早川みどり 1989 イワトコナマズ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. p. 420.
最終更新日:2020-08-17 ハリリセンボン