- 解説一覧
- ゲンゴロウブナ(Carassius cuvieri)について
ゲンゴロウブナ(Carassius cuvieri)
【IUCN】近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの
【環境省】IA類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの
- 【 学名 】
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Carassius cuvieri Temminck & Schlegel, 1846
基本情報
- 大きさ・重さ
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全長 40 cm程度
参考文献
- 2017 岐阜県の魚類, 第2版 - 書籍全体, 向井貴彦(著) 岐阜県の魚類, 第2版. 岐阜新聞社. .
最終更新日:2020-07-09 ハリリセンボン
- 分布
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明治の末頃までは琵琶湖と淀川水系にしか生息しない特産魚だったが、飼育型のヘラブナが全国各地に繰り返し放流され、現在では日本各地に分布する。
参考文献
- 2005 魚と貝の事典 - 書籍全体, 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. .
最終更新日:2020-07-09 ハリリセンボン
- 和名の解説
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①近江の錦織源五郎という人物が、主家安土城にこの魚を献上したところから。
➁大津に源五郎という魚屋がいて、この魚だけを売ったから。
③滋賀県犬上郡の権五郎という人がフナを大漁し、富をなしたところから。
④夏の頃に多く産するため、「夏頃鮒(げごろぶな)」と呼ばれたのが、後に誤って源五郎鮒となった。
⑤ゲンゴロウは「玄黒」で、キンブナ、ギンブナに対して「黒ブナ」の意。
参考文献
- 2005 魚と貝の事典 - 書籍全体, 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. .
最終更新日:2020-07-09 ハリリセンボン
- 別名・方言名
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ヘラブナ
参考文献
- 2005 魚と貝の事典 - 書籍全体, 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. .
最終更新日:2020-07-09 ハリリセンボン
- 分類学的位置付け
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コイ目 コイ科 フナ属
参考文献
- 宮崎佑介 2018 ゲンゴロウブナ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 90.
最終更新日:2020-07-09 ハリリセンボン
- 人間との関係
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食用とする。成長が速いため、養殖も盛んに行われている。飼育種は大阪の河内でつくりだされたもの。飼育型のヘラブナは釣りの対象魚である。
【歳時記】
季題は〈夏〉。
「笯を揚げし濁りに浮きぬ源五郎 松井葵紅」
「炎天の船出づ源五郎鮒の湖 中村千恵子」
【歴史・文化】
『淡海魚譜』によると、近江では真ブナといえばゲンゴロウブナをさす。近江だけにあって他州には産しないため、名が2つある(近江の人による呼び名と、他国の人の呼び名が違う)。
【料理法】
琵琶湖周辺では鮒ずしの材料として珍重されてきた。そのほか、洗い、刺身、煮つけ、甘露煮にする。
参考文献
- 2005 魚と貝の事典 - 書籍全体, 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. .
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形態
- 成魚の形質
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体は側扁し、フナ属の中で最も体高が高いため、ほかのフナ類と容易に区別される。
体色は全体に灰白色で、銀白色の光沢がある。餌をこしとる第1鰓弓の鰓耙数が92~128と最も多い。背鰭分枝軟条数は15~19。
参考文献
- 宮崎佑介 2018 ゲンゴロウブナ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 90.
- 2005 魚と貝の事典 - 書籍全体, 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. .
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生態
- 生息環境
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各地の河川下流の緩流域、池沼、溜池、湖、ダム湖などの表・中層である。ほかに平野部の河川にも生息する。
参考文献
- 2017 岐阜県の魚類, 第2版 - 書籍全体, 向井貴彦(著) 岐阜県の魚類, 第2版. 岐阜新聞社. .
- 2005 魚と貝の事典 - 書籍全体, 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. .
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- 食性
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植物プランクトンを食べる。産卵期には付着藻類も食べる。
参考文献
- 宮崎佑介 2018 ゲンゴロウブナ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 90.
- 2005 魚と貝の事典 - 書籍全体, 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. .
最終更新日:2020-07-09 ハリリセンボン
- 産卵
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4~6月、雨での増水時、水草や浮遊物に産卵する。
参考文献
- 宮崎佑介 2018 ゲンゴロウブナ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 90.
最終更新日:2020-07-09 ハリリセンボン
関連情報
- 漁獲方法
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釣りではヘラブナの名称の方が定着し、専門に狙う釣り人は少なくない。
ヘラブナ釣りは、自分が定めたポイントに魚を集めて釣るという能動的な釣りである。魚をうまく集めるには、季節や釣り場によって変化するタナの取り方、餌の選び方・配合などを工夫する必要がある。好期は春と秋。この時期のヘラブナは中層を泳ぐことから、「タナ取り」はとくに重要となる。
この釣りの妙味は、細く長い1本のウキに現れる微妙な変化によって水面下の様子をつぶさに読み取ることができることにある。あたりの出方はウキが一瞬ツンと沈む程度。これは餌を口に入れてもすぐに吐き出してしまうことによる。合わせはこのツンと沈んだ一瞬に間髪入れずに行わなければならず、熟練したある程度の技術を要する。多くの釣り人を夢中にさせる要素はこうした難しさにもある。
参考文献
- 2005 魚と貝の事典 - 書籍全体, 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. .
最終更新日:2020-07-09 ハリリセンボン
- その他
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もともとは琵琶湖固有種だが、養殖用の改良品種である「へらぶな」が釣りを目的として各地に放流されている。
参考文献
- 2017 岐阜県の魚類, 第2版 - 書籍全体, 向井貴彦(著) 岐阜県の魚類, 第2版. 岐阜新聞社. .
最終更新日:2020-07-09 ハリリセンボン