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ハナカジカ(Cottus nozawae)の分類 Cottidae
ハナカジカ(Cottus nozawae)の概要 Cottus

ハナカジカ(Cottus nozawae)

絶滅の恐れのある地域個体群 (LP)

【環境省】地域的に孤立している個体群で、絶滅のおそれが高いもの

【 学名 】
Cottus nozawae Snyder, 1911

基本情報

大きさ・重さ

全長:15 cm

参考文献

  • 後藤晃 1989 ハナカジカ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 662-663.

最終更新日:2020-10-01 ハリリセンボン

分布

日本では北海道(別寒部牛川以東を除く)のほぼ全域に分布するほか、青森県、秋田県、岩手県の一部の川にも不連続的に生息する。

国外では、サハリンに分布する可能性があるが、確認されていない。

参考文献

  • 後藤晃 1989 ハナカジカ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 662-663.
  • 中坊徹次 2018 ハナカジカ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 346.

最終更新日:2020-10-01 ハリリセンボン

別名・方言名

地方名:ドンカチ・カジカ(北海道:混称)

参考文献

  • 後藤晃 1989 ハナカジカ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 662-663.

最終更新日:2020-10-01 ハリリセンボン

分類学的位置付け

スズキ目 カジカ科 カジカ属

参考文献

  • 後藤晃 1989 ハナカジカ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 662-663.
  • 中坊徹次 2018 ハナカジカ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 346.

最終更新日:2020-10-01 ハリリセンボン

人間との関係

本種は、日本産カジカ属魚類の中で、カジカ大卵型と同様に河川陸封型の生活史を発達させた魚である。

そもそも、カジカ属を含むカジカ科の魚類(約300種)は海洋起源であると考えられている。なぜならば、そのほとんどは海水魚であるか、または生活環の一部を海で過ごす魚種で構成されるからである。

この河川陸封生活史を送るハナカジカは、両側回遊性のエゾハナカジカ、あるいはその祖先種から、卵の大形化と初期発育史の早成性的変化を契機として、種分化したと考えられている。

参考文献

  • 後藤晃 1989 ハナカジカ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 662-663.

最終更新日:2020-10-01 ハリリセンボン

形態

成魚の形質

体は淡褐色ないし暗い茶褐色を呈し、体側には4個の暗色の斑紋がある。えらぶたの後縁には3本の棘があるが、背側の1本の先端は少々湾曲し鈍い。

胸鰭の軟条数は13~15本で、成魚では上部数軟条の先が分枝する。腹鰭には数本の横斑がある。

参考文献

  • 後藤晃 1989 ハナカジカ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 662-663.

最終更新日:2020-10-01 ハリリセンボン

生態

生息環境

エゾハナカジカと共存する河川では、その生息域よりも上流部にあたる中・上流域の平瀬の石礫底や蛇行型の淵に多く生息する。しかし単独で生息する河川では、流程分布の下限は下流域にまで及ぶ。

参考文献

  • 後藤晃 1989 ハナカジカ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 662-663.

最終更新日:2020-10-01 ハリリセンボン

食性

肉食性かつ貪食で、石に付着する水生昆虫を主に摂るほか、流下昆虫、小型底生動物、小魚やサケ卵など何でも食べる。

参考文献

  • 後藤晃 1989 ハナカジカ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 662-663.

最終更新日:2020-10-01 ハリリセンボン

ライフサイクル

孵化した仔魚は全長 8~9 mmと大形で、かつ大きな卵黄嚢を持つが、遊泳能力と関係のある各鰭には鰭条原基が既にかなり発達している。そのため、仔魚は浮上することなく、直ちに巣内の礫の間で底生生活に入る。

卵黄を吸収し終えたときには、稚魚にまで成長し、移動・分散して川岸の浅瀬で主にユスリカ科幼虫などの小型の水生昆虫を食べて生活する。その後1年目の秋まで、平瀬の礫底に分散し単独生活を過ごす。

雌の多くは2年で、雄は3年で成熟する。同一年齢では、雄は雌より幾分大形である。

参考文献

  • 後藤晃 1989 ハナカジカ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 662-663.

最終更新日:2020-10-01 ハリリセンボン

産卵

北海道南部での産卵期は、エゾハナカジカのそれより少し遅く4月上旬~5月中旬である。

雄は、通常の生息場所よりも流れの緩やかな平瀬で、いっそう大形の礫石が散在する場所に移り、浮石の下の空所になわばりをはる。本種もエゾハナカジカと同様に、雄は複数の雌とつがうことが多いが、1尾の雌とのみ番う場合もかなり見られる。

産卵後、雄は孵化まで卵を保護する。保護行動はカンキョウカジカと同じである。

参考文献

  • 後藤晃 1989 ハナカジカ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 662-663.

最終更新日:2020-10-01 ハリリセンボン

その他生態

アイソザイムによる解析の結果、いくつかの遺伝子座でエゾハナカジカと明瞭に異なる。

参考文献

  • 後藤晃 1989 ハナカジカ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 662-663.

最終更新日:2020-10-01 ハリリセンボン

種・分類一覧