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エゾハナカジカ(Cottus amblystomopsis)の分類 Cottidae
エゾハナカジカ(Cottus amblystomopsis)の概要 Cottus

エゾハナカジカ(Cottus amblystomopsis)

【 学名 】
Cottus amblystomopsis Schmidt, 1904

基本情報

大きさ・重さ

全長:25 cm

参考文献

  • 後藤晃 2001 エゾハナカジカ, 川那部浩哉、水野信彦(著) 川那部浩哉、水野信彦(監修) 川那部浩哉、水野信彦(編) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と渓谷社 . pp. 660-661.

最終更新日:2020-10-01 ハリリセンボン

分布

津軽海峡から標津地方の北海道太平洋側、択捉島、国後島、色丹島、サハリン東部オホーツク海沿岸、沿海州日本海沿岸の河川に分布する。

参考文献

  • 中坊徹次 2018 エゾハナカジカ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 346-347.

最終更新日:2020-10-01 ハリリセンボン

別名・方言名

地方名:ドンカチ・カジカ(北海道:混称)

参考文献

  • 後藤晃 2001 エゾハナカジカ, 川那部浩哉、水野信彦(著) 川那部浩哉、水野信彦(監修) 川那部浩哉、水野信彦(編) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と渓谷社 . pp. 660-661.

最終更新日:2020-10-01 ハリリセンボン

分類学的位置付け

スズキ目 カジカ科 カジカ属

参考文献

  • 後藤晃 2001 エゾハナカジカ, 川那部浩哉、水野信彦(著) 川那部浩哉、水野信彦(監修) 川那部浩哉、水野信彦(編) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と渓谷社 . pp. 660-661.
  • 中坊徹次 2018 エゾハナカジカ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 346-347.

最終更新日:2020-10-01 ハリリセンボン

人間との関係

本種は、1980年以前にはハナカジカと同一種に扱われ、卵の大きさにちなんでその小卵形として便宜的に区分されていた集団である。その後、小卵形を産むことのほかに晩成性的な初期発育過程や両側回遊性の生活史といった特徴を持ち、さらに同じところに棲む集団間においても、大形卵を持つハナカジカとは生殖的隔離が成立していることからみて、別種であると結論されるに至った。

ハナカジカの生殖的隔離の機構としては、産卵場の違い(本種は下流域、ハナカジカは中流から上流域)のほか、配偶者選択実験から明らかになったように、同種認知を含む一連の産卵行動連鎖における、非同調性が特に重要である。

参考文献

  • 後藤晃 2001 エゾハナカジカ, 川那部浩哉、水野信彦(著) 川那部浩哉、水野信彦(監修) 川那部浩哉、水野信彦(編) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と渓谷社 . pp. 660-661.

最終更新日:2020-10-01 ハリリセンボン

形態

成魚の形質

体側の4本の褐色横帯の幅が狭い。

ハナカジカと形態的に酷似するが、尾柄がいっそう細長いこと、胸鰭の軟条が15~17本と多いこと、えらぶた後縁の棘がまっすぐに鋭く伸びること、などによって区別される。

参考文献

  • 後藤晃 2001 エゾハナカジカ, 川那部浩哉、水野信彦(著) 川那部浩哉、水野信彦(監修) 川那部浩哉、水野信彦(編) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と渓谷社 . pp. 660-661.
  • 中坊徹次 2018 エゾハナカジカ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 346-347.

最終更新日:2020-10-01 ハリリセンボン

生態

生息環境

川の感潮域を含む下流域を中心に生息し、特に平瀬の石礫底に多い。

参考文献

  • 後藤晃 2001 エゾハナカジカ, 川那部浩哉、水野信彦(著) 川那部浩哉、水野信彦(監修) 川那部浩哉、水野信彦(編) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と渓谷社 . pp. 660-661.

最終更新日:2020-10-01 ハリリセンボン

食性

肉食性で、石に付着する水生昆虫を主に摂っているが、流下昆虫や小魚も食べる。

参考文献

  • 後藤晃 2001 エゾハナカジカ, 川那部浩哉、水野信彦(著) 川那部浩哉、水野信彦(監修) 川那部浩哉、水野信彦(編) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と渓谷社 . pp. 660-661.

最終更新日:2020-10-01 ハリリセンボン

ライフサイクル

孵化した仔魚は全長 6~7 mmで、直ちに流れ下って海に入り、そこで約3週間浮遊生活を過ごしたあと、全長 11~14 mmの稚魚に成長して川に遡上する。このとき稚魚はすでに着底を完了しており、群れをなし底面に沿って遡る。その後、下流域の平瀬や浅瀬に分散した稚魚は、主に小型の水生昆虫を食べて成長する。同一年齢では、雄は雌よりいくぶん大形である。

雌の多くは2歳、雄は3歳で成熟する。

参考文献

  • 後藤晃 2001 エゾハナカジカ, 川那部浩哉、水野信彦(著) 川那部浩哉、水野信彦(監修) 川那部浩哉、水野信彦(編) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と渓谷社 . pp. 660-661.
  • 中坊徹次 2018 エゾハナカジカ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 346-347.

最終更新日:2020-10-01 ハリリセンボン

産卵

北海道の産卵期は4月中旬~5月上旬。

雄は下流域の石礫底にある浮石の下の空所をなわばりとして占め、そこに次々と雌が誘いこまれて産卵する。すなわち1夫多妻である場合が多い。卵は塊状に石の下面にしっかりと付着し、少しくらい石を動かしてもはがれることはない。

産卵後、雄は孵化まで卵を保護する。

最近、保護中の雄を人為的に除去する実験によって、雄による卵の保護行動は、捕食や水生菌の感染による卵の死亡を防ぐうえで、実験に極めて有効に機能していることが確かめられている。

参考文献

  • 後藤晃 2001 エゾハナカジカ, 川那部浩哉、水野信彦(著) 川那部浩哉、水野信彦(監修) 川那部浩哉、水野信彦(編) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と渓谷社 . pp. 660-661.

最終更新日:2020-10-01 ハリリセンボン

その他生態

最近行われたアイソザイムによる解析の結果、ハナカジカとの間では、いくつかの遺伝子座(Acp, Ldh, 6Pgdなど)の対立遺伝子に置き換わりが認められている。

参考文献

  • 後藤晃 2001 エゾハナカジカ, 川那部浩哉、水野信彦(著) 川那部浩哉、水野信彦(監修) 川那部浩哉、水野信彦(編) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と渓谷社 . pp. 660-661.

最終更新日:2020-10-01 ハリリセンボン

種・分類一覧