- 解説一覧
- カンキョウカジカ(Cottus hangiongensis)について
カンキョウカジカ(Cottus hangiongensis)
【環境省】地域的に孤立している個体群で、絶滅のおそれが高いもの
- 【 学名 】
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Cottus hangiongensis Mori, 1930
基本情報
- 大きさ・重さ
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全長:雄 17 cm、雌 12 cm
参考文献
- 後藤晃 2001 カンキョウカジカ, 川那部浩哉、水野信彦(著) 川那部浩哉、水野信彦(監修) 川那部浩哉、水野信彦(編) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と渓谷社 . pp. 658-659.
最終更新日:2020-10-01 ハリリセンボン
- 分布
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北海道の津軽海峡~噴火湾・日本海・オホーツク海側、青森県~石川県、岩手県に分布する。
国外では、朝鮮半島東部沿岸~ロシア沿海州に分布する。
参考文献
- 後藤晃 2001 カンキョウカジカ, 川那部浩哉、水野信彦(著) 川那部浩哉、水野信彦(監修) 川那部浩哉、水野信彦(編) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と渓谷社 . pp. 658-659.
- 中坊徹次 2018 カンキョウカジカ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 347.
- 2018 くらべて分かる淡水魚 - 書籍全体, 斉藤憲治(著) 内山りゅう(他) くらべて分かる淡水魚. 山と渓谷社. .
最終更新日:2020-10-01 ハリリセンボン
- 学名の解説
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学名の「hangiong」はその地、咸鏡道(かんきょうどう)からとった。
参考文献
- 2018 くらべて分かる淡水魚 - 書籍全体, 斉藤憲治(著) 内山りゅう(他) くらべて分かる淡水魚. 山と渓谷社. .
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- 和名の解説
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和名の「カンキョウ」はその地、咸鏡道(かんきょうどう)からとった。
韓国語で正しくは「ハムギョン」だが、日本人にはうまく聞き取れなかったようである。
参考文献
- 2018 くらべて分かる淡水魚 - 書籍全体, 斉藤憲治(著) 内山りゅう(他) くらべて分かる淡水魚. 山と渓谷社. .
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- 別名・方言名
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地方名:キタノカジカ(北海道)、カジカ(北海道:混称)
参考文献
- 後藤晃 2001 カンキョウカジカ, 川那部浩哉、水野信彦(著) 川那部浩哉、水野信彦(監修) 川那部浩哉、水野信彦(編) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と渓谷社 . pp. 658-659.
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- 分類学的位置付け
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スズキ目 カジカ科 カジカ属
参考文献
- 後藤晃 2001 カンキョウカジカ, 川那部浩哉、水野信彦(著) 川那部浩哉、水野信彦(監修) 川那部浩哉、水野信彦(編) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と渓谷社 . pp. 658-659.
- 中坊徹次 2018 カンキョウカジカ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 347.
- 2018 くらべて分かる淡水魚 - 書籍全体, 斉藤憲治(著) 内山りゅう(他) くらべて分かる淡水魚. 山と渓谷社. .
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- 人間との関係
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朝鮮半島北部の標本をもとに新種として報告された。
参考文献
- 2018 くらべて分かる淡水魚 - 書籍全体, 斉藤憲治(著) 内山りゅう(他) くらべて分かる淡水魚. 山と渓谷社. .
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形態
- 成魚の形質
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体は低く、背側には5~6個の暗色の鞍状斑があり、体側全体に緑褐色の小さな斑点が多数散在する。また、腹鰭にも数個の暗色斑がある。
えらぶたの後縁には1本の棘があり、胸鰭の軟条は分枝しない。
参考文献
- 後藤晃 2001 カンキョウカジカ, 川那部浩哉、水野信彦(著) 川那部浩哉、水野信彦(監修) 川那部浩哉、水野信彦(編) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と渓谷社 . pp. 658-659.
- 中坊徹次 2018 カンキョウカジカ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 347.
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生態
- 生息環境
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川の中・下流域を中心に生息し、特に早瀬や岸寄りの浅瀬に多い。
参考文献
- 後藤晃 2001 カンキョウカジカ, 川那部浩哉、水野信彦(著) 川那部浩哉、水野信彦(監修) 川那部浩哉、水野信彦(編) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と渓谷社 . pp. 658-659.
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- 食性
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肉食性で、流下する水生昆虫を主に摂っているが、小魚や礫石に付着した水生昆虫も食べる。
参考文献
- 後藤晃 2001 カンキョウカジカ, 川那部浩哉、水野信彦(著) 川那部浩哉、水野信彦(監修) 川那部浩哉、水野信彦(編) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と渓谷社 . pp. 658-659.
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- ライフサイクル
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孵化した仔魚は全長 8~9 mmで、直ちに流れ下って海に入り、そこで約1ヵ月浮遊生活を送る。その後、全長 13~16 mmの稚魚に成長して川に遡上する。
遡上時には中層ないし底層を遊泳しているが、1ヵ月以内に着底して、上流方向に移動・分散する。2年目以降では、雄は雌に比べて成長がよく、結果として同一年齢では雄の方が大形となる。
参考文献
- 後藤晃 2001 カンキョウカジカ, 川那部浩哉、水野信彦(著) 川那部浩哉、水野信彦(監修) 川那部浩哉、水野信彦(編) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と渓谷社 . pp. 658-659.
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- 産卵
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北海道での産卵期は4~5月である。雄は下流域の礫底にある浮石の下の空所を縄張りとして占め、成熟した雌がそこに誘い込まれて上下逆位の姿勢で天井の平らな面に卵を産みつける。卵は塊状に石に付着するが、その付着の度合はハナカジカに比べて弱い。
ふつう雄は異なる数尾の雌に次々と産卵させ、その産卵回数は雄の体長と相関する。すなわち大形の雄ほど数多くの雌とつがう1夫多妻の婚姻形態である。
産卵後、雄は巣にとどまり孵化まで卵を保護する。保護行動には、巣への侵入者に対する攻撃行動、胸鰭による水あおり(ファンニング)、及び口や尻鰭による掃除行動などが見られる。
参考文献
- 後藤晃 2001 カンキョウカジカ, 川那部浩哉、水野信彦(著) 川那部浩哉、水野信彦(監修) 川那部浩哉、水野信彦(編) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と渓谷社 . pp. 658-659.
最終更新日:2020-10-01 ハリリセンボン
- その他生態
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北海道南部のある川では、雄に流程に沿った生活史の変異が認められている。すなわち、下流域に生息する雄は定着性が強く、体長 7 cm、3年で成熟するのに対して、上流部に向かうにつれて大形化する。高齢化して 12 cm、4年以上になってはじめて成熟する個体も存在する。
上流に生息するこのような晩熟で大形の雄は、成熟すると川を下って産卵個体群に加わる。そして一部の個体は、産卵後再びもとの上流域の生息場所に戻ることが知られている。
以上のような雄に見られる生活史の変異は、大きな雄ほどより多数の雌とつがうことができるという。本種における独特な婚姻形態との関連で進化したと考えられている。
参考文献
- 後藤晃 2001 カンキョウカジカ, 川那部浩哉、水野信彦(著) 川那部浩哉、水野信彦(監修) 川那部浩哉、水野信彦(編) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と渓谷社 . pp. 658-659.
最終更新日:2020-10-01 ハリリセンボン