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ヌマチチブ(Tridentiger brevispinis)の分類 ハゼ科(Gobiidae)
ヌマチチブ(Tridentiger brevispinis)の概要 Tridentiger

ヌマチチブ(Tridentiger brevispinis)

【 学名 】
Tridentiger brevispinis Katsuyama, Arai & Nakamura, 1972

基本情報

大きさ・重さ

全長:10 cm程度

参考文献

  • 2017 岐阜県の魚類, 第2版 - 書籍全体, 向井貴彦(著) 岐阜県の魚類, 第2版. 岐阜新聞社. .

最終更新日:2020-09-08 ハリリセンボン

分布

北海道・本州・四国・九州・壱岐・対馬の海に流入する河川、遼寧省~江蘇省の中国沿岸、朝鮮半島全沿岸、済州島、千島列島に分布する。

参考文献

  • 明仁 2018 ヌマチチブ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 409.

最終更新日:2020-09-08 ハリリセンボン

生息状況

岐阜市レッドリスト準絶滅危惧。

参考文献

  • 2017 岐阜県の魚類, 第2版 - 書籍全体, 向井貴彦(著) 岐阜県の魚類, 第2版. 岐阜新聞社. .

最終更新日:2020-09-08 ハリリセンボン

別名・方言名

地方名:ダボ・ダボハゼ(関東地方:混称)、ゴリ(和歌山県・高知県:混称)、ドンコ・カジカ(愛媛県:混称)、チチブ(高知県:混称)

参考文献

  • 岩田明久 1989 ヌマチチブ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 606-607.

最終更新日:2020-09-08 ハリリセンボン

分類学的位置付け

スズキ目 ハゼ科 ハゼ亜科 チチブ属

参考文献

  • 明仁 2018 ヌマチチブ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 409.
  • 岩田明久 1989 ヌマチチブ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 606-607.
  • 2017 岐阜県の魚類, 第2版 - 書籍全体, 向井貴彦(著) 岐阜県の魚類, 第2版. 岐阜新聞社. .

最終更新日:2020-09-08 ハリリセンボン

人間との関係

本来は山間部の湖沼にはいなかったが、1980年代以降に人為的に分布拡大し、各地のダム湖などに広がっている。

滋賀県の琵琶湖にも本来は分布しなかったが、人為的に持ち込まれたものが1980年代末から増加し、その後は琵琶湖産アユの放流に混じって、各地のダム湖などに広がる原因となっている。

参考文献

  • 2017 岐阜県の魚類, 第2版 - 書籍全体, 向井貴彦(著) 岐阜県の魚類, 第2版. 岐阜新聞社. .

最終更新日:2020-09-08 ハリリセンボン

形態

成魚の形質

褐色から黒色のハゼで、頭が丸くて大きく、体はずんぐりした感じである。しかし、チチブやナガノゴリに比べて尾柄が細い傾向にある。

未成魚や雌、婚姻色の出ていない雄では、胸鰭基底に黄土色の横帯があり、その中に複数の不規則に走る橙赤色の線がある。第1背鰭には2~3本の暗赤色の縦条があり、最も上のものは鰭の高さの半分くらいのところを走る。頭の側面には白くて大きい斑点がまばらに存在する。

体はふつう暗色で、頭部にある白点と同様の斑紋が鱗に沿って不連続的に入り乱れて並ぶが、ときにこれらが消失して数条の幅広い暗色の横帯があらわれることがある。

産卵期の雄は体全体が真っ黒になる。胸鰭基底は青白色になり、橙赤色の線も消える。頭部の白色斑は青色の小さな点に変わる。また第1背鰭の棘条はのびて太くぶよぶよした感じとなり、鰭膜も上方に広がる。雌の第1背鰭は伸びない。

参考文献

  • 岩田明久 1989 ヌマチチブ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 606-607.
  • 2017 岐阜県の魚類, 第2版 - 書籍全体, 向井貴彦(著) 岐阜県の魚類, 第2版. 岐阜新聞社. .

最終更新日:2020-09-08 ハリリセンボン

生態

生息環境

川の汽水域から中流域、汽水湖、ため池など、極めて多様な場所にあらわれる。ただし、海水の影響を受ける場所にあらわれる頻度は北方で多いようである。泥底にも生息するが、本来は岩や倒木、杭などのかたい基底がある場所や礫底を好む。

止水あるいは流れのゆるやかなところに多いが、平瀬にも積極的に侵入する。

木曽三川の中・下流域では普通種であり、かつては川底が黒く見えるほどいたと言われるが、現在ではそこまで多くない。

チチブと同じ水系にも生息する。

参考文献

  • 明仁 2018 ヌマチチブ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 409.
  • 岩田明久 1989 ヌマチチブ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 606-607.
  • 2017 岐阜県の魚類, 第2版 - 書籍全体, 向井貴彦(著) 岐阜県の魚類, 第2版. 岐阜新聞社. .

最終更新日:2020-09-08 ハリリセンボン

食性

雑食性であり、小動物を食べる。ナガノゴリと同様に、川底の付着藻類もかなり食べる。

参考文献

  • 岩田明久 1989 ヌマチチブ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 606-607.
  • 2017 岐阜県の魚類, 第2版 - 書籍全体, 向井貴彦(著) 岐阜県の魚類, 第2版. 岐阜新聞社. .

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ライフサイクル

仔魚は海で浮遊生活を送り、2~4月に全長 30~40 mmに成長し、四万十川ではアユの稚魚の群れと共に川を遡上する。

参考文献

  • 明仁 2018 ヌマチチブ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 409.

最終更新日:2020-09-08 ハリリセンボン

産卵

産卵期は春から夏にかけて。一般的な産卵生態はチチブとほぼ同じで、雄は求愛行動中に首を振ってよく¨鳴き¨、雌は体が白っぽくなる。

中・下流域で、転石の背板や石組みの隙間で産卵する。

参考文献

  • 明仁 2018 ヌマチチブ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 409.
  • 岩田明久 1989 ヌマチチブ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 606-607.

最終更新日:2020-09-08 ハリリセンボン

その他生態

両側回遊性であるが、容易に陸封される。

参考文献

  • 岩田明久 1989 ヌマチチブ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 606-607.

最終更新日:2020-09-08 ハリリセンボン

関連情報

漁獲方法

日本各地で小型底曳網や柴漬けなどの漁法で漁獲される。ほかにも、ゴリ押しやガラ曳きなど、独特の漁法もあり、佃煮の材料にされる。

参考文献

  • 岩田明久 1989 ヌマチチブ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 606-607.

最終更新日:2020-09-08 ハリリセンボン

味や食感

大形のものは骨が少し気になるが、肉質、味ともによい。

特に遡上期の小形のものを卵とじや天ぷら、吸い物の種にすると美味である。

参考文献

  • 岩田明久 1989 ヌマチチブ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 606-607.

最終更新日:2020-09-08 ハリリセンボン

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