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イワナ(Salvelinus leucomaenis)の分類 Salmonidae
イワナ(Salvelinus leucomaenis)の概要 Salvelinus

イワナ(Salvelinus leucomaenis)

【 学名 】
Salvelinus leucomaenis (Pallas, 1814)

基本情報

大きさ・重さ

成魚全長:30〜60 ㎝

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最終更新日:2020-06-30 En

生息状況

ゴギ→絶滅危惧II類VU(環境省, 2019)

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和名の解説

①岩の間に棲む魚の意のイハナ(岩魚)から。
②イハアナウヲ(岩穴魚)の縮約。

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亜種・品種

・「山形県、千葉県以北、北海道からカムチャッカ、サハリンなどに分布するエゾイワナ」
・「神奈川県相模川以西の本州太平洋岸、紀伊半島、琵琶湖流入河川に生息するヤマトイワナ」
・「山梨県富士川、鳥取県日野以北の本州各地に分布するニッコウイワナ」
・「岡山県吉井川、島根県斐伊川以西の中国地方に分布するゴギ」
の4亜種に分けられる。
いずれも陸封型ではあるが、エゾイワナには降海型のアメマスがある。

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別名・方言名

イモウオ(福井・滋賀)、キリクチ(三重・和歌山)、ゴギ、ユギ(中国地方)、ポン・トクシッ(アイヌ語で「小さいアメマス」の意)。

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分類学的位置付け

日本在来のイワナの分類については諸説が入り乱れていたが、少なくともオショロコマ系 Salvelinus malma とアメマス系 Salvelinus leucomaenis の2種群に分けられる点ではほぼ一致している。
両種群の容易な識別点は、前者では体側にまわりを青色に縁どられた紅色ないし橙色で輪郭の明瞭な小斑点が散在しているのに対して、後者には色斑があっても淡くて輪郭がはっきりしないこと。

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人間との関係

現在では養殖が可能となり、比較的入手しやすくなったが、天然産のものは減少しているため、一部の河川では1年を通して禁漁としている。釣りの対象魚である。

季題は<夏>
「古るまゝに 葛がくれなり 岩魚小屋 利櫻子」
「見事なる 牛椎茸に 岩男添へ 虚子」
「體中身の毛を立てゝ岩男突く 桃里」
「岩男棲む 上下を断ち 地獄渓 福田蓼汀」

滝や奔流する激流を好み、各地の渓谷にはそれ以上魚が登れないところに「岩魚止め」の地名が残る。飛騨の国の中山に生える篠竹のたけのこは魚によく似ており、五月雨の降り注ぐころ自ら渓流に落ちて魚と化すという。これを岩魚あるいは篠魚と呼んだという伝説がある。加賀の国にも、渓流に竹の葉が落ちて魚になったという話がある。

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形態

成魚の形質

体高は高くなく、円筒状でやや側扁する。各鰭に棘条がない。脂鰭がある。
背鰭は体の中央部に位置し、腹鰭は背鰭の下方にある。臀鰭の高さは基底長より大きい。
口は体の先端部よりやや後下方に付いている。体色は濃色の地に淡色の斑点があり、黒ないし濃色の斑点を欠くことなどが特徴。

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生態

食性

完全な肉食性で、水陸の昆虫類、クモ類、小魚などを捕らえて食べ、小型のヘビやカエルなども食べるほど貪欲である。

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ライフサイクル

幼魚期には水生昆虫を主に食べ、30 ㎝を超えると魚食性も強くなる。
一般にヤマメと混生するときはヤマメより下層を泳ぐが、ヤマメのいない川では下層だけでなく中層も泳ぎ回る。
降海性は地理上の南北で著しく変化し、一般に北で強く南で弱い。本種の降海型がアメマスである。
産卵期は秋で、同じ川に生息するヤマメより遅く産むのが普通。産卵期には普段の生息域よりやや上流域、あるいは枝沢に入って産卵することが多い。
産卵床は砂礫底に形成される。ヤマメ・アマゴの寿命がせいぜい3〜4年であるのに対して、イワナでは5〜6年以上生きるものがいて、この間何回も産卵する。

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関連情報

味や食感

淡白で美味なので、塩焼き、田楽、フライ、洗いなどにする。味噌漬けにしてもよく、焼いたイワナを杯に入れて熱燗を注いで飲む骨酒としても楽しめる。

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種・分類一覧