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ヒメドジョウ(Lefua costata)の分類 Nemacheilidae
ヒメドジョウ(Lefua costata)の概要 Lefua

ヒメドジョウ(Lefua costata)

【 学名 】
Lefua costata (Kessler, 1876)

基本情報

大きさ・重さ

体長:40~60 mm

参考文献

  • 2017 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑 - 書籍全体, 中島淳(著) 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑. 山と渓谷社. .

最終更新日:2020-08-13 ハリリセンボン

分布

国外外来種として本州中部から記録がある:富山県、山梨県、長野県、静岡県、和歌山県。

原産地は朝鮮半島、アムール川水系から黄河水系までの中国大陸東北部。

参考文献

  • 2017 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑 - 書籍全体, 中島淳(著) 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑. 山と渓谷社. .

最終更新日:2020-08-13 ハリリセンボン

分類学的位置付け

コイ目 フクドジョウ科

参考文献

  • 中島敦 2018 ヒメドジョウ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 117.
  • 2017 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑 - 書籍全体, 中島淳(著) 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑. 山と渓谷社. .

最終更新日:2020-08-13 ハリリセンボン

人間との関係

朝鮮半島から中国大陸東北部が原産の国外外来種。食用あるいは釣り餌用に輸入されたドジョウに混ざって国内に持ち込まれたと考えられるが、定着した地域は限られており、実際にどのような経路で野外に逸出したのかについては不明な点が多い。

1990年代以降に国内での定着が相次いで確認されており、山梨県の富士川水系や富山県の黒部川水系では生息数、生息域ともに増加しつつある。外来種としての生態系への影響については不明な点が多いが、同属のホトケドジョウとの競合、餌となる水生昆虫類の捕食などが考えられる。

現在も多く販売されており、入手が容易なことから、これ以上の野外への逸出が起こらないよう、飼育者は十分に注意すべきである。

本種は一見すると北海道に分布するエゾホトケドジョウとよく似ており、亜種関係として取り扱われることも多いが、縦列鱗数が多いこと、より小型であること、遺伝的にも明瞭に区別できることなどから、分類学的には別種として取り扱うのが妥当である。

参考文献

  • 2017 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑 - 書籍全体, 中島淳(著) 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑. 山と渓谷社. .

最終更新日:2020-08-13 ハリリセンボン

形態

成魚の形質

各鰭の条数は、背鰭棘状軟条3、背鰭分枝軟条6~7、臀鰭棘状軟条3、臀鰭分枝軟条5、胸鰭棘状軟条1、胸鰭分枝軟条10、腹鰭棘状軟条2、腹鰭分枝軟条5~6、尾鰭8+8。

体型はやや細長く、頭部は縦扁し、胴部から尾柄に向かって側扁する。4対の口ひげを有する。鱗は小さく、目立たない。縦列鱗数は100~110。腹鰭基部は背鰭基部のやや前方に位置する。尾鰭後縁は丸い。

体色は黄色がかった灰褐色をしている。背部は濃色で、体側部から腹部は明色。個体によっては眼径からやや小さい程度の大きさの褐色の小斑紋が体側に比較的密に分布する。吻端から眼を通り、尾鰭基部に到達する細い黒色の縦条をもつが、成熟した雌ではこの縦条は不明瞭になる。尾鰭基部は中央に明瞭な二等辺三角形の黒斑があるが、この黒斑は体長 20 ㎜以下の幼魚には見られない。

2倍体性種で、染色体数は2n=50。

雌の方が顕著に大型になる。

同属のホトケドジョウが同一水系に分布する場合があるが、ホトケドジョウは体側に明瞭な縦条をもたないこと、尾鰭基部に明瞭な斑紋をもたないこと、体色はより茶色みが強いことなどの特徴から区別が可能である。

分布域外の同属種としてはエゾホトケドジョウによく似るが、エゾホトケドジョウの鱗は大きく本種よりも縦列鱗数がはるかに少ないこと、体高がより高いこと、より大型になることなどの特徴から区別が可能である。

参考文献

  • 2017 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑 - 書籍全体, 中島淳(著) 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑. 山と渓谷社. .

最終更新日:2020-08-13 ハリリセンボン

卵の形質

卵径は約 1.0 mm(卵黄径は約 0.7 mm。)

参考文献

最終更新日:2020-08-13 ハリリセンボン

似ている種 (間違えやすい種)

エゾホトケドジョウ

参考文献

  • 2017 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑 - 書籍全体, 中島淳(著) 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑. 山と渓谷社. .

最終更新日:2020-08-13 ハリリセンボン

生態

生息環境

河川中・下流域、農地周辺の細流、池沼などの止水から流れが緩やかな環境に生息する。植物が豊富な浅い場所を好み、中層をよく泳ぐ。

山梨県の生息地では、ドジョウやヨシノボリ類と同所的にみられる。

原産地では大河川の中・下流域の岸際にある湿地や丘陵地細流、農業用水路などに生息し、水が清澄で植物が豊富な環境を好むという。

参考文献

  • 2017 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑 - 書籍全体, 中島淳(著) 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑. 山と渓谷社. .

最終更新日:2020-08-13 ハリリセンボン

産卵

国内に定着している個体群の生活史については明らかではない。

原産地の1つである朝鮮半島での繁殖期は4~6月であることが知られている。

参考文献

  • 2017 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑 - 書籍全体, 中島淳(著) 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑. 山と渓谷社. .

最終更新日:2020-08-13 ハリリセンボン

種・分類一覧