- 解説一覧
- チカ(Hypomesus japonicus)について

基本情報
- 大きさ・重さ
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全長:10~18 cm
参考文献
- 柳川弘行 1989 チカ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 64-65.
最終更新日:2020-08-19 ハリリセンボン
- 分布
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千葉県銚子市以北の太平洋沿岸、北海道全沿岸から、陸奥湾、三陸海岸地方まで。東北地方の日本海側には分布しない。
国外では、アジア大陸のアヤンから朝鮮半島の元山まで、サハリンとカムチャッカ半島のペトロパブロフスクから千島列島沿いに分布している。
参考文献
- 猿渡敏郎 2018 チカ(ワカサギ属), 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 124.
- 柳川弘行 1989 チカ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 64-65.
最終更新日:2020-08-19 ハリリセンボン
- 別名・方言名
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地方名:ツカ(北海道の一部)
参考文献
- 柳川弘行 1989 チカ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 64-65.
最終更新日:2020-08-19 ハリリセンボン
- 分類学的位置付け
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サケ目 キュウリウオ科 ワカサギ属
参考文献
- 猿渡敏郎 2018 チカ(ワカサギ属), 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 124.
- 柳川弘行 1989 チカ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 64-65.
最終更新日:2020-08-19 ハリリセンボン
- 人間との関係
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北海道の知床半島を境として、オホーツク海沿岸から日本海沿岸北部と、北海道から東北地方までの太平洋沿岸との両地方にいるチカは、脊椎骨数、各鰭条数、鰓耙数などの形質や生態が異なっていることが分かっている。そして、これらのチカがいかにして相互に独自性を保っているかを形質の変異、生活史及び沿岸の底質から考えると、その要因は産卵場間の物理的な障壁、つまり産卵期における分布拡大を妨げる環境条件にあると推定することができる。
分析結果と現在のチカの分布の様相から、チカがどこから日本へ入ってきたのか考えると、チカがアジア大陸からサハリンを経て稚内方面へ入ってきた経路と、もう一つはカムチャッカ半島から千島列島沿いに根室海峡方面へと入ってきた経路とが推定される。
さらに、日本に分布してからの分散経路、つまり分布拡大の経路については、稚内方面から日本海沿岸とオホーツク海沿岸へと分散していった経路と、根室海峡から太平洋沿岸に広がり、さらに東北地方へ分布を広げていった経路との二つがあったものと考えられる。
以前はワカサギと区別されずに流通していたが、現在はチカで流通している。
参考文献
- 猿渡敏郎 2018 チカ(ワカサギ属), 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 124.
- 柳川弘行 1989 チカ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 64-65.
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形態
- 成魚の形質
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腹鰭は背鰭起点直下よりやや後方から始まる。これは腹鰭が背鰭起点の直下またはそれよりやや前方から始まるワカサギと外見上で識別するための重要な特徴である。
縦列鱗数は62~68、総脊椎骨数は60~67である。
参考文献
- 柳川弘行 1989 チカ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 64-65.
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- 卵の形質
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卵は粘着性で、卵径はおよそ 1.3 mmである。
参考文献
- 柳川弘行 1989 チカ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 64-65.
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生態
- 食性
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動物プランクトンやエビ類を食べる。
参考文献
- 猿渡敏郎 2018 チカ(ワカサギ属), 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 124.
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- ライフサイクル
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卵は15~20日で孵化し、孵化直後の仔魚の全長は 6.8 mmである。卵黄はおよそ1週間で吸収される。多くは1年で成熟する。
稚魚は6月頃には体長 30 mmほどになり、沿岸域や港内などにあらわれ始め、9~10月まで沿岸域にとどまり、60~70 mmとなる。この頃から徐々にやや沖合に移動し始めるが、未成魚の一部は、港内など比較的波静かなところに翌年2月上旬頃までとどまる。沖合で成熟した1歳魚は、3月下旬頃より沿岸域に来遊し始める。
1歳で体長 10~12 cm、2歳で 15~17 cm、3歳で 18~19 cmになる。
産卵後の親魚で生き残ったものは、しばらく沿岸域にとどまる。その後は未成魚とともに港内などにとどまるものもあるが、多くはやや沖合へ移動し、比較的底部に生息する。
再び成熟した魚は、はじめて産卵に加わる1歳魚にやや先立ち、3月中旬頃から沿岸域に来遊する。産卵時の水温は7~13℃である。
産卵期の塩分濃度は、北海道南部の森町で25.083‰と報告されている。
参考文献
- 猿渡敏郎 2018 チカ(ワカサギ属), 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 124.
- 柳川弘行 1989 チカ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 64-65.
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- 産卵
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産卵期は北海道南部では3月下旬~5月下旬。産卵は通常夜間に河川水の流入するごく沿岸域の水深 1 m以浅の砂底で、群れで行われる。また漁夫の観察によれば、群れのなかで雌雄が対をなすともいわれる。
産卵には1歳魚からごく少数の4歳魚までが加わる。初期には2歳魚以上の占める割合が多いが、盛期には1歳魚の占める割合は7割近くになり、終期には約90%が1歳魚で占められる。
卵数は、1歳魚で3300~5100粒、2歳魚で1万1100~1万4300粒、3歳魚で1万3800~2万6900粒、4歳魚では2万3400~3万5100粒である。
産卵個体が多い場合は、産卵場周辺海域が白くなる。
参考文献
- 猿渡敏郎 2018 チカ(ワカサギ属), 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 124.
- 柳川弘行 1989 チカ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 64-65.
最終更新日:2020-08-19 ハリリセンボン
関連情報
- 漁獲方法
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通常、沿岸での小定置網により漁獲される。
北海道南部では産卵期に、小型の地曳網と、波打ち際に来遊した群れを感知するための長い棒を持った漁夫が、夜間に浜辺を歩きながら漁をしている姿を見ることができる。
参考文献
- 柳川弘行 1989 チカ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 64-65.
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- 味や食感
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天ぷら、フライ、塩焼き、甘酢漬けで食される。
参考文献
- 猿渡敏郎 2018 チカ(ワカサギ属), 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 124.
最終更新日:2020-08-19 ハリリセンボン