ウキゴリ(Gymnogobius urotaenia)の解説トップに戻る
ウキゴリ(Gymnogobius urotaenia)の分類 ハゼ科(Gobiidae)
ウキゴリ(Gymnogobius urotaenia)の概要 Gymnogobius

ウキゴリ(Gymnogobius urotaenia)

【 学名 】
Gymnogobius urotaenia (Hilgendorf, 1879)

基本情報

大きさ・重さ

全長:10 cm程度

参考文献

  • 2017 岐阜県の魚類, 第2版 - 書籍全体, 向井貴彦(著) 岐阜県の魚類, 第2版. 岐阜新聞社. .

最終更新日:2020-09-01 ハリリセンボン

分布

択捉島~色丹島、北海道、本州、四国、九州の河川と諏訪湖、琵琶湖などの湖沼に分布する。

ほかにも、サハリン、ウルップ島、朝鮮半島東部・南部、中国河北省、浙江省に分布する。

参考文献

  • 原田慈雄 2018 ウキゴリ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 402.
  • 石野健吾 2001 ウキゴリ, 川那部浩哉、水野信彦(著) 川那部浩哉、水野信彦(監修) 川那部浩哉、水野信彦(編) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と渓谷社 . pp. 618-620.

最終更新日:2020-09-01 ハリリセンボン

生息状況

岐阜県レッドリスト準絶滅危惧。

参考文献

  • 2017 岐阜県の魚類, 第2版 - 書籍全体, 向井貴彦(著) 岐阜県の魚類, 第2版. 岐阜新聞社. .

最終更新日:2020-09-01 ハリリセンボン

別名・方言名

地方名:ゴタッペ(北海道)、ゴリ(日本各地:混称)、エビグズ(山陰地方)

参考文献

  • 石野健吾 2001 ウキゴリ, 川那部浩哉、水野信彦(著) 川那部浩哉、水野信彦(監修) 川那部浩哉、水野信彦(編) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と渓谷社 . pp. 618-620.

最終更新日:2020-09-01 ハリリセンボン

分類学的位置付け

スズキ目 ハゼ科 ハゼ亜科 ウキゴリ属

参考文献

  • 原田慈雄 2018 ウキゴリ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 402.
  • 石野健吾 2001 ウキゴリ, 川那部浩哉、水野信彦(著) 川那部浩哉、水野信彦(監修) 川那部浩哉、水野信彦(編) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と渓谷社 . pp. 618-620.
  • 2017 岐阜県の魚類, 第2版 - 書籍全体, 向井貴彦(著) 岐阜県の魚類, 第2版. 岐阜新聞社. .

最終更新日:2020-09-01 ハリリセンボン

形態

成魚の形質

口が大きく、上顎の後端は眼の後端を超える。下顎の先端は上顎先端よりも前。腹鰭は吸盤状である。頭部は扁平する。雄はさらに頸部が盛り上がり、眼上部付近がくぼみ、糞がやや盛り上がる¨スプーンヘッド¨となる。

シマウキゴリやスミウキゴリに色彩や体形が類似するが、次の特徴から区別できる。

第1背鰭後端部に大きな黒色斑を1個持つ。体側には胸鰭基部から尾柄にかけて、6~7個の箱型状の大きな黒色斑が並ぶ。側線上に黒色の縦列斑が見られ、これは体の後半部ほど明瞭である。背側には後頭部から尾柄にかけて5~6個の横斑があり、その横斑は第1背鰭の中央部で分離している。これらすべての斑紋は黒みを帯び、輪郭が明瞭で、淡黄褐色の地色とのコントラストが強い。

婚姻色は雌雄ともにあらわれ、鰓膜、腹鰭、尻鰭(特に下方)が著しく黒ずむ。雌の腹側部は黄色を呈する。

参考文献

  • 原田慈雄 2018 ウキゴリ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 402.
  • 石野健吾 2001 ウキゴリ, 川那部浩哉、水野信彦(著) 川那部浩哉、水野信彦(監修) 川那部浩哉、水野信彦(編) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と渓谷社 . pp. 618-620.
  • 2017 岐阜県の魚類, 第2版 - 書籍全体, 向井貴彦(著) 岐阜県の魚類, 第2版. 岐阜新聞社. .

最終更新日:2020-09-01 ハリリセンボン

似ている種 (間違えやすい種)

シマウキゴリ、スミウキゴリ

参考文献

  • 石野健吾 2001 ウキゴリ, 川那部浩哉、水野信彦(著) 川那部浩哉、水野信彦(監修) 川那部浩哉、水野信彦(編) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と渓谷社 . pp. 618-620.

最終更新日:2020-09-01 ハリリセンボン

生態

生息環境

川の汽水域から中流域までの流れの緩やかな淵や¨わんど¨に多い。

成魚は河川に生息し、孵化仔魚は海に下るが、溜池やダム湖で陸封されることもある。

参考文献

  • 石野健吾 2001 ウキゴリ, 川那部浩哉、水野信彦(著) 川那部浩哉、水野信彦(監修) 川那部浩哉、水野信彦(編) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と渓谷社 . pp. 618-620.
  • 2017 岐阜県の魚類, 第2版 - 書籍全体, 向井貴彦(著) 岐阜県の魚類, 第2版. 岐阜新聞社. .

最終更新日:2020-09-01 ハリリセンボン

食性

動物食性で、河川では水生昆虫や仔稚魚を、湖沼ではエビ類やハゼ類の幼魚を餌としている。

参考文献

  • 石野健吾 2001 ウキゴリ, 川那部浩哉、水野信彦(著) 川那部浩哉、水野信彦(監修) 川那部浩哉、水野信彦(編) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と渓谷社 . pp. 618-620.

最終更新日:2020-09-01 ハリリセンボン

ライフサイクル

受精後10日前後で孵化するが、孵化時には、雄は尾部を出口の方へ向けて左右にふったり、胸鰭をあおったりして流れをつくり、仔魚を産卵室の外へ送り出す。

両側回遊型は、孵化仔魚は海に流下し、体長 3 cmほどの稚魚となり河川を遡上する。

一生淡水域の湖沼型は流入河川や湖岸の浅場でも産卵する。

参考文献

  • 原田慈雄 2018 ウキゴリ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 402.
  • 石野健吾 2001 ウキゴリ, 川那部浩哉、水野信彦(著) 川那部浩哉、水野信彦(監修) 川那部浩哉、水野信彦(編) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と渓谷社 . pp. 618-620.

最終更新日:2020-09-01 ハリリセンボン

産卵

産卵は、北海道南部では水温が15℃を超える5月中旬頃に始まり、6月下旬まで続く。普段生息している水域にある石や板やプラスチック板などの下面に卵を産み付ける。

産卵期に川に出かけて、径が 10~30 cm程度の平べったい石をそっとめくってみると、石の下に深さ 2~5 cmくらいに掘られた産卵室がある。そして、石の裏に産み付けられた卵塊とそれを保護する1尾の雄が見られる。

またそのような場所でさらにいくつかの石をめくっていくと、同様の産卵室に雄と雌の番を目にすることができる。ウキゴリ、スミウキゴリ、シマウキゴリの3種が混生する水域で採集される番は、ほとんど例外なく同種の異性を識別する能力を身に着けているようである。ただし求愛行動など、どうやって相手を同種と認知するのかなどの機構はほとんど分かっていない。

野外や水槽内での観察によると、雌は1日のどの時間帯でも産卵するとみられる。
ちなみに産卵室は内側から砂で塞がれ、外部へ通じる明瞭な穴は認められず、室内はほぼ真っ暗である。

水槽での観察によれば、産卵は雌が体の腹面を産卵室の天井面につける逆位姿勢をとることにより始まる。
雌は胸鰭のあおりを利用して吻を持ち上げて天井につけると、体をひねることによって容易に逆位姿勢をとることができる。そして逆位姿勢のまま小刻み(3~4 ㎜)に前進し、生殖突起を天井面に接触させて1度に1~5粒の卵を産み付ける。
はじめのうち天井面のあちこちに卵を産み付けるが、産卵が進むにつれて、生殖突起で天井面を探りながら、先にまばらに付着させた卵の隙間を埋めるように産卵し、産卵終了時にはほぼ均一に並んだ1層の卵塊をつくり上げる。
雌は30~40分間卵を産み続けては、正位姿勢に戻って数分間休み、産卵を終えるまでに7~8時間を要する。

一方雄の放精は雌の産卵が20~30分間続いたあとで5分ぐらい続く。産卵と放精が同時に行われることはほとんどない。
雄は逆位姿勢をとり小刻みに前進して、起立させた生殖突起を進行方向の卵に接触させる。精液は見えないが、このとき、放精しているものと考えられる。
また逆位姿勢で尾部を左右あるいはS字状にふる動作が見られる。さらに雄は、正位姿勢から吻を上げ、産着卵を口に含んで毎秒1~2回の頻度でパクパクする行動が見られる。水槽で産卵された卵塊には未受精卵はほとんど見当たらない。

雄は産卵を終了した雌の体側や尾柄に激しく噛みつき、雌を巣の外へ追いやる。その後単独で卵を保護し、保護中にも産着卵を口に含む動作が見られる。

参考文献

  • 石野健吾 2001 ウキゴリ, 川那部浩哉、水野信彦(著) 川那部浩哉、水野信彦(監修) 川那部浩哉、水野信彦(編) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と渓谷社 . pp. 618-620.

最終更新日:2020-09-01 ハリリセンボン

関連情報

味や食感

稚魚は佃煮の材料となる。

参考文献

  • 石野健吾 2001 ウキゴリ, 川那部浩哉、水野信彦(著) 川那部浩哉、水野信彦(監修) 川那部浩哉、水野信彦(編) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と渓谷社 . pp. 618-620.

最終更新日:2020-09-01 ハリリセンボン

種・分類一覧