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クロダイ(Acanthopagrus schlegelii)の分類 Sparidae
クロダイ(Acanthopagrus schlegelii)の概要 Acanthopagrus

クロダイ(Acanthopagrus schlegelii)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Acanthopagrus schlegelii (Bleeker, 1854)

基本情報

大きさ・重さ

成魚全長:60 ㎝

参考文献

  • 赤崎正人 1997 , 水野信彦(監修) 川那部浩哉(編) 日本の海水魚. 山と渓谷社. 354.

最終更新日:2020-06-08 En

分布

北海道以南、朝鮮半島南部、中国の渤海、黄海、台湾に分布。沖縄にはいない。

参考文献

  • 赤崎正人 1997 , 水野信彦(監修) 川那部浩哉(編) 日本の海水魚. 山と渓谷社. 354.

最終更新日:2020-06-08 En

和名の解説

体色が黒っぽいタイ類であることから。

参考文献

  • 望月賢二 2005 , 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. 166.

最終更新日:2020-06-08 En

別名・方言名

チヌ / クロタイ(新潟)、ヒダイ(東京)、チンタ(愛知県知多)、ツエ(三重県鳥羽)、ホンチヌ(大阪)、オオグロ・ヨッソ(高知)、チンノイオ(鹿児島)【出世名】チンチン→カイヅ→クロダイ(東京)、チヌゴ→サイ→チヌ(愛媛)

参考文献

  • 望月賢二 2005 , 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. 166.

最終更新日:2020-06-08 En

人間との関係

季題は<夏>
「波のきて 黒鯛釣足を もたげたり 冬至」
「黒鯛釣(ちぬつり)に 虹たつ濤の しづまりぬ 西島麦南」
「黒鯛釣(ちぬつり)に 夏二三夜の 闇濃さよ 一轉」

『和漢三才図会』によると、『日本書紀』に次のような話がある。神功皇后が角鹿(つぬが)から停田門(ぬたのみなと)に至り、船上で食事をしたとき、クロダイが船のそばに集まってきた。皇后が酒を魚にかけると酔って浮かんだ。そのため、この魚は6月になると、いつも酔ったように傾いて浮かぶという。
「クロダイは血を荒らすから妊婦に食わせるな」と言われるが、丈夫な歯で何でも貪り食う習性から出たもので、特に根拠はない。昔の嫁の家庭内での地位の低さを物語ったもの。

参考文献

  • 望月賢二 2005 , 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. 166.

最終更新日:2020-06-08 En

形態

成魚の形質

体は楕円形で、よく側扁する。吻部は尖る。
背鰭は1基で11〜12棘11軟条。臀鰭は3棘8軟条。胸鰭は15軟条。
各鰭の棘は強く短い。両顎の歯は発達し犬歯と臼歯がある。両顎の全部に3対の犬歯があり、上顎側部に4〜5列、下顎側部に3〜4列の臼歯が並ぶ。
側線は半円状に弧を描いており、その上に53〜63枚のうろこが並ぶ。
生時、体色は体側背部が暗灰色、体側腹部が銀黒色。体側に不明瞭な暗色横帯が8〜10条ある。各鰭は銀黒色。死後は黒色に変色する。

参考文献

  • 真木ほか 1997 , 真木長彰、寺島裕晃、中村晢美(著) 阿部宗明、本間昭郎(監修) 山本保彦(編) 現代おさかな辞典. 株式会社エヌ・ティー・エス. 454.

最終更新日:2020-06-08 En

卵の形質

球形で、直径 0.9 ㎜前後の分離浮性卵。
産卵から孵化するまでの時間は、平均水温17℃で65〜75時間、水温20℃で40〜45時間。水槽実験では、濁度 200 ppm前後でも孵化率に影響はほとんどない。濁度 200 ppmを超えると、濃度の増加に比例して、孵化率は低下するが、総じてマダイよりも濁りに強いと考えられている。

参考文献

  • 真木ほか 1997 , 真木長彰、寺島裕晃、中村晢美(著) 阿部宗明、本間昭郎(監修) 山本保彦(編) 現代おさかな辞典. 株式会社エヌ・ティー・エス. 454.

最終更新日:2020-06-08 En

生態

生息環境

内湾や沿岸の水深 50 m以浅の岩礁域に生息し、若魚は河口部などの汽水域にも生息する。したがって、日本海側の砂浜海岸などに多く施設されている離岸堤が、絶好の棲み場所となっている。
また、地付き魚と移動魚があり、前者は通年岩礁や離岸堤に棲み付いているが、後者は季節的な深浅移動を行なっているらしい。

参考文献

  • 真木ほか 1997 , 真木長彰、寺島裕晃、中村晢美(著) 阿部宗明、本間昭郎(監修) 山本保彦(編) 現代おさかな辞典. 株式会社エヌ・ティー・エス. 454.

最終更新日:2020-06-08 En

食性

雑食性で、甲殻類、貝類、クモヒトデ類などの動物と海藻類を食べる。河口付近では家庭から流れ出た残飯に群がることもある。

参考文献

  • 望月賢二 2005 , 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. 166.

最終更新日:2020-06-08 En

ライフサイクル

産卵期は春から初夏。兵庫の明石沖では6月、岡山県沿岸で4〜6月、広島県沿岸で5〜7月、高知県沿岸で4〜5月が産卵盛期となる。
孵化直後の仔魚は全長 2 ㎜前後で、浮遊生活をする。
孵化後3〜4日で全長 3〜4 ㎜に成長し、卵黄を吸収して摂餌を開始する。
孵化後約1ヶ月で体長 10 ㎜前後に成長し、各鰭の条数が成魚と同数になる。
うろこも体長 10 ㎜前後から出現し始め、16 ㎜前後で体全体を覆うようになる。
この頃の仔稚魚は、砂浜域の水深 2 m以浅の汀線部や河口域周辺のアマモ場などに多く出現するようになる。
生後1年で尾叉長 15 ㎝前後、2年で 20 ㎝前後、3年で 25 ㎝前後、4年で 30 ㎝前後、10年で 40 ㎝前後に成長する。

参考文献

  • 真木ほか 1997 , 真木長彰、寺島裕晃、中村晢美(著) 阿部宗明、本間昭郎(監修) 山本保彦(編) 現代おさかな辞典. 株式会社エヌ・ティー・エス. 454-456.

最終更新日:2020-06-08 En

その他生態

産まれた当初はオスだが、体長 15〜25 ㎝で雌雄同体となり、満3年の 25 ㎝程度になると雌雄に分離し始め、満4年で分離が完了する。満5年ではメスが多い。

参考文献

  • 望月賢二 2005 , 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. 166.

最終更新日:2020-06-08 En

関連情報

漁獲方法

釣り、定置網、吾智網、刺網などで漁獲される。

参考文献

  • 赤崎正人 1997 , 水野信彦(監修) 川那部浩哉(編) 日本の海水魚. 山と渓谷社. 354.

最終更新日:2020-06-08 En

味や食感

【チンチンの焼き干し】(千葉)
房総半島では、チンチンと呼ぶクロダイの子を焼いて干しておき、だし用に使う。かつお節などよりも濃厚な、うまいダシが出るという。

参考文献

  • 望月賢二 2005 , 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. 166.

最終更新日:2020-06-08 En

種・分類一覧