- 解説一覧
- ヒナイシドジョウ(Cobitis shikokuensis)について

ヒナイシドジョウ(Cobitis shikokuensis)
【IUCN】絶滅の危険が増大している種
【環境省】IA類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの
- 【 学名 】
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Cobitis shikokuensis Suzawa, 2006
基本情報
- 大きさ・重さ
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体長:40~55 mm
参考文献
- 2017 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑 - 書籍全体, 中島淳(著) 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑. 山と渓谷社. .
最終更新日:2020-08-07 ハリリセンボン
- 分布
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四国西部:愛媛県、高知県
参考文献
- 2017 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑 - 書籍全体, 中島淳(著) 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑. 山と渓谷社. .
最終更新日:2020-08-07 ハリリセンボン
- 分類学的位置付け
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コイ目 ドジョウ科
参考文献
- 中島敦 2018 ヒナイシドジョウ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 115.
- 2017 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑 - 書籍全体, 中島淳(著) 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑. 山と渓谷社. .
最終更新日:2020-08-07 ハリリセンボン
- 人間との関係
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四国のイシドジョウ近似種として長く知られていたが、2006年にイシドジョウから区別され新種として記載された。核DNAの特徴も両種が近縁であることを示している。しかしミトコンドリアDNAの特徴は大きく異なり、本種の起源については自然交雑も含む複雑な要素があると考えられている。
原記載論文では3型に整理されている。このうちタイプ1は愛媛県と高知県の西部に、タイプ2は愛媛県の伊予灘流入河川の一部に、タイプ3は愛媛県と高知県に不連続に分布している。遺伝的にもこれら3型はある程度の区別が可能である。
本種はダム建設や水質の悪化などによる影響を受けやすく、健全な生息地は減少している。また、販売目的の捕獲も継続して行われており、その悪影響も無視できない。なお、高知県では条例により無許可での採集行為を禁止している。
参考文献
- 2017 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑 - 書籍全体, 中島淳(著) 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑. 山と渓谷社. .
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形態
- 成魚の形質
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各鰭の条数は、背鰭棘状軟条3、背鰭分枝軟条6、臀鰭棘状軟条3、臀鰭分枝軟条5、胸鰭棘状軟条1、胸鰭分枝軟条7~8、腹鰭棘状軟条2、腹鰭分枝軟条6、尾鰭8+8。尾柄の膜鰭部がよく発達し、尾柄が高い。3対の口ひげを有し、第2口ひげ長は眼径より明らかに長い。
主に斑紋列の特徴から3型に区別される。
タイプ1は背部斑紋L1が四角形の斑紋列、体側斑紋L2が不規則な点列、L3は途切れがちな縦条、L5が三角形から四角形の斑紋列となる。
タイプ2はL1が途切れがちな縦条、L3とL5は細い縦条で後半部は点列となる。
タイプ3はL1が四角形の斑紋列、L2とL4が消失し、L3とL5は前半部が波打つような縦条、後半部が長方形から楕円形の大柄な斑紋列となる。
タイプ1と2の尾鰭は不規則な点列横帯、タイプ3の尾鰭は弓状の横帯である。
尾鰭付け根の黒点は眼径より小さいか不明瞭である。胸鰭腹鰭間筋節数は15(14~15)。雄胸鰭の骨質盤は発達せず、第1分枝軟条の上片は太い。2倍体性種で、染色体数は2n=48。
同属のオオシマドジョウ、トサシマドジョウ、チュウガタスジシマドジョウが同一水系に分布する場合がある。いずれの種も背鰭分枝軟条が7本であること、尾柄の膜鰭部があまり発達しないこと、雄成魚は骨質盤をもつことから本種との区別は容易である。
分布域外の同属種としてはイシドジョウに似ているが、頬に明瞭な縦条があること、臀鰭第5軟条が分枝しないことなどの特徴から区別が可能である。
参考文献
- 2017 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑 - 書籍全体, 中島淳(著) 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑. 山と渓谷社. .
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- 似ている種 (間違えやすい種)
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イシドジョウ
参考文献
- 2017 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑 - 書籍全体, 中島淳(著) 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑. 山と渓谷社. .
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生態
- 生息環境
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河川上・中流域の、礫から岩礫底の水質が良好な流れのある環境に生息する。特に淵尻などの流れの緩やかな場所を好む。
参考文献
- 2017 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑 - 書籍全体, 中島淳(著) 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑. 山と渓谷社. .
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- 産卵
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繁殖期は5~7月。産卵は礫底中に潜って行われ、孵化した仔魚はしばらく礫底中にとどまって成長する。
参考文献
- 2017 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑 - 書籍全体, 中島淳(著) 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑. 山と渓谷社. .
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- その他生態
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冬季は礫底中に潜って越冬し、10月下旬から4月下旬の間はほとんど活動しない。
野外での寿命は2年程度と考えられる。
参考文献
- 2017 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑 - 書籍全体, 中島淳(著) 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑. 山と渓谷社. .
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