- 解説一覧
- ゴンズイ(Plotosus japonicus)について
目次
基本情報
- 分布
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房総半島南端~九州南岸の太平洋沿岸、能登半島、九州西岸(能登半島以南の日本海沿岸については未研究)。琉球列島(稀)。
参考文献
- 細谷和海 2013 ゴンズイ科, 中坊徹次(編) 日本産魚類検索. 東海大学出版会. p. 341.
最終更新日:2020-08-21 ひろりこん
- 分類学的位置付け
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日本列島沿岸のゴンズイは従来1種とみなされ Plotosus anguilaris とされていた。しかし、Yoshino and Kishimoto(2008)によって、本州・九州と、琉球列島に主に分布するものが区別され、前者は新種 P. japonicus 、後者を P. lineatus とした。この後、岸本・吉野(2009)は和名として前者をゴンズイ、後者をミナミゴンズイとした。
岸本浩和・吉野哲夫. 2009. 日本産ゴンズイとミナミゴンズイ(新称)に関する追記. 魚類学会誌, 56(1): 78-80.
Yoshino, T. and H. Kishimoto. 2008. Plotosus japonicus, a new eel tail catfish (Siluriformes; Plotosidae) from Japan. Bull. Natl. Nat. Sci., Ser. A, Supp1. 2: 1-11.
参考文献
- 細谷和海 2013 ゴンズイ科, 中坊徹次(編) 日本産魚類検索. 東海大学出版会. pp. 1825-1826.
最終更新日:2020-08-21 ひろりこん
- 人間との関係
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本種に刺されると、焼け付くように痛み、患部は赤く腫れ、ときには水膨れを起こす。疼痛は長く続き、赤く腫れて、麻痺し、壊死を起こすこともある。
応急手当はエイの場合と同様。口で吸引するか、切開して毒液を絞り出した後、傷口をよく消毒し、早急に病院に行くこと。患部が壊死を起こし、完治に数週間かかることもある。
参考文献
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形態
- 成魚の形質
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口の近辺に4対のひげがある。臀鰭は尾鰭と連続する。体は鱗がなく、粘液で被われ、茶褐色。2本の黄色縦線があるが、成長とともに不明瞭になる。腹側は白色。背鰭と胸鰭の棘には毒があり、体表粘液中にも毒成分がある。
肛門のすぐ後ろのやわらかい房状突起は、塩類の排出に用いられる。
参考文献
- 藤田朝彦 2018 ゴンズイ科, 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z 日本魚類館 ~精緻な写真と詳しい解説~. 小学館. p. 121.
最終更新日:2020-08-21 ひろりこん
- 稚魚・仔魚・幼魚の形質
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前期仔魚は全長 6.9~13.0 ㎜。筋節数は約47。頭部は下方に屈することなく水平位を保ち、卵黄は下方へ著しく張り出している。鰭膜は体後部を取りまき、成長が進むと鰭の原基が、D₁→C→Aの順に現れる。本種の特異な形態として知られる泌尿生殖孔突起付加物は吸盤状。
全長 10.4 ㎜(孵化4日目)の仔魚では、4対の棒状のひげが認められる。泌尿生殖孔突起付加物の内面には乳頭突起が現れる。
後期仔魚は全長 13.0~18.0 ㎜。卵黄は吸収しつくされ、体の外形は既に整う。
全長 15.4 ㎜(孵化後10日)の仔魚では、泌尿生殖孔突起付加物は左右に分かれる。体には特有の2本の黄色縦線が現れる。
全長 18.0 ㎜(孵化後15日)を越えると稚魚期をむかえ、各鰭条数はほぼ定数に達する。泌尿生殖孔突起付加物は、ひだ状に大きく発達する。
ゴンズイの仔稚魚は、泌尿生殖孔突起付加物、4対のひげ、体側の2本の黄色縦線が特徴である。
参考文献
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- 似ている種 (間違えやすい種)
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ミナミゴンズイとよく似ている。
ゴンズイは、尾鰭背部起部と臀鰭起部がやや離れ、第1鰓弓の鰓耙数は通常23~25である。
一方ミナミゴンズイは、尾鰭背部起部と臀鰭起部がよく離れ、第1鰓弓の鰓耙数は通常27~31である。沖縄本島以南の琉球列島に分布し、稀に日向灘にも産する。
参考文献
- 細谷和海 2013 ゴンズイ科, 中坊徹次(編) 日本産魚類検索. 東海大学出版会. p. 341.
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生態
- 生息環境
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沿岸域の岩礁帯
参考文献
- 藤田朝彦 2018 ゴンズイ科, 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z 日本魚類館 ~精緻な写真と詳しい解説~. 小学館. p. 121.
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- 特徴的な行動
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稚魚は高密度なゴンズイ玉とよばれる群れをつくる。群れ形成に関与する物質はホスファチジルコリンであることが知られている。
参考文献
- 藤田朝彦 2018 ゴンズイ科, 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z 日本魚類館 ~精緻な写真と詳しい解説~. 小学館. p. 121.
最終更新日:2020-08-21 ひろりこん
- その他生態
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幼魚がダイバーの体をつついたり、ミギマキの体に群がるところが観察されている。このことから、本種も掃除魚と同じ生態をしているのではないかと推察されている。
参考文献
最終更新日:2020-08-21 ひろりこん