- 解説一覧
- イサザ(Gymnogobius isaza)について
イサザ(Gymnogobius isaza)
【IUCN】近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの
【環境省】ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの
- 【 学名 】
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Gymnogobius isaza (Tanaka, 1916)
目次
基本情報
- 大きさ・重さ
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全長:5~8 cm
参考文献
- 高橋さち子 2001 イサザ, 川那部浩哉、水野信彦(著) 川那部浩哉、水野信彦(監修) 川那部浩哉、水野信彦(編) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と渓谷社 . p. 616.
最終更新日:2020-10-13 ハリリセンボン
- 分布
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琵琶湖固有種で、主として北湖に生息する。
参考文献
- 原田慈雄 2018 イサザ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 403.
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- 分類学的位置付け
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スズキ目 ハゼ科 ハゼ亜科 ウキゴリ属
参考文献
- 原田慈雄 2018 イサザ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 403.
- 高橋さち子 2001 イサザ, 川那部浩哉、水野信彦(著) 川那部浩哉、水野信彦(監修) 川那部浩哉、水野信彦(編) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と渓谷社 . p. 616.
- 2018 くらべて分かる淡水魚 - 書籍全体, 斉藤憲治(著) 内山りゅう(他) くらべて分かる淡水魚. 山と渓谷社. .
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- 人間との関係
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琵琶湖固有種で、琵琶湖の北湖に産する。
1964年相模湖と霞ヶ浦から各1尾採集されたが、琵琶湖から移入したアユなどに混入してきたものと考えられ、繁殖定着は確認されていない。
琵琶湖の水産重要種であり、資源量が大きく変動する。現在は低い水準にある。
参考文献
- 高橋さち子 2001 イサザ, 川那部浩哉、水野信彦(著) 川那部浩哉、水野信彦(監修) 川那部浩哉、水野信彦(編) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と渓谷社 . p. 616.
- 2018 くらべて分かる淡水魚 - 書籍全体, 斉藤憲治(著) 内山りゅう(他) くらべて分かる淡水魚. 山と渓谷社. .
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形態
- 成魚の形質
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体の地色は淡い飴色で、頭部には淡黒色の斑点が密にある。頭部を除く背部と体側には淡黒色の斑点からなる不明瞭な6~7個の鞍状斑と8~9個の横斑がある。腹側は白色を呈し、第1背鰭の後端には黒色斑がある。
ウキゴリに似るが一見して相違する点は、尾柄が細い、鰭の横縞が不明瞭、第1背鰭の黒色斑の下部に白色斑がないなどである。
産卵前には腹側部に黄色の婚姻色が縦走するが、これは雌に著しい。
参考文献
- 高橋さち子 2001 イサザ, 川那部浩哉、水野信彦(著) 川那部浩哉、水野信彦(監修) 川那部浩哉、水野信彦(編) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と渓谷社 . p. 616.
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- 卵の形質
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卵は紡錘形である。
参考文献
- 原田慈雄 2018 イサザ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 403.
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- 似ている種 (間違えやすい種)
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ウキゴリ
参考文献
- 高橋さち子 2001 イサザ, 川那部浩哉、水野信彦(著) 川那部浩哉、水野信彦(監修) 川那部浩哉、水野信彦(編) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と渓谷社 . p. 616.
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生態
- 生息環境
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全長 18 mm程度の稚魚は、水深約 20 m域、成魚は 30 m以深に生息する。
参考文献
- 高橋さち子 2001 イサザ, 川那部浩哉、水野信彦(著) 川那部浩哉、水野信彦(監修) 川那部浩哉、水野信彦(編) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と渓谷社 . p. 616.
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- ライフサイクル
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卵は約1週間で孵化し、仔魚は直ちに沖に流され浮遊生活を送る。
7月上旬頃から底生生活に入り、その後徐々に深い場所へ移動する。しかし、日中は湖底に留まるが、日没とともに一斉に浮上し、水温躍層(水温が急激に低下する層)を超えて、プランクトン動物の密集する表層の下部にまで達し、日の出時には再び湖底に戻るという。著しい日周期的上下移動を行うのが特異である。
琵琶湖の表層は夏に25℃前後まで水温が上昇し、冬には湖底と同じ10℃以下に低下するため、湖底と表層の間を毎日往復するイサザは水温の著しい日周年周変化のもとに生活しているといえる。
飼育実験の結果によると、この温度環境はイサザの成熟の時期を決定している。すなわち、秋に表層の水温が下がることが引金となり、11月下旬に一斉に成熟が始まる。その後も卵巣はどの魚もほぼ同時に成熟が進む。
翌春3月、成熟した魚はすでに湖岸に集まり始めて、産卵の準備をし、湖岸に生息するトウヨシノボリなど、卵や仔魚に対する捕食者がまだ活動しない4月末~5月はじめに、ほかの魚に先駆けて一斉に産卵する。こうして産卵するのは、生まれた年の秋までに全長約 4.5 cmに達したものである。成長が悪く成熟しなかったものの多くは死ぬが、雌の中には2年続けて産卵するものがかなりあるようである。
寿命は2年である。
参考文献
- 高橋さち子 2001 イサザ, 川那部浩哉、水野信彦(著) 川那部浩哉、水野信彦(監修) 川那部浩哉、水野信彦(編) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と渓谷社 . p. 616.
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- 活動時間帯
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日中は湖底にいるが、夜間は水温躍層上部(躍層が形成されない冬期では表層)まで浮上し摂餌する。
参考文献
- 高橋さち子 2001 イサザ, 川那部浩哉、水野信彦(著) 川那部浩哉、水野信彦(監修) 川那部浩哉、水野信彦(編) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と渓谷社 . p. 616.
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- 産卵
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産卵期は4~5月であるが、大部分は湖岸の日中水温が約13℃になる4月末~5月はじめの短期間に産卵する。産卵場は湖岸の石のある地帯で、水際から水深約 7 mまでの範囲で産卵が観察されている。
雄は、石の下に産卵室をつくり、雌を呼び入れて石の裏面に卵を産ませ、卵を保護する。
参考文献
- 高橋さち子 2001 イサザ, 川那部浩哉、水野信彦(著) 川那部浩哉、水野信彦(監修) 川那部浩哉、水野信彦(編) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と渓谷社 . p. 616.
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- その他生態
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非常に敏感で慣れにくく、驚いただけで暴れて死ぬことも度々ある。
参考文献
- 高橋さち子 2001 イサザ, 川那部浩哉、水野信彦(著) 川那部浩哉、水野信彦(監修) 川那部浩哉、水野信彦(編) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と渓谷社 . p. 616.
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関連情報
- 漁獲方法
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旬は秋から冬にかけて、早朝湖底に戻ったところをトロールで漁獲される。湖底から引き上げられると、腹を膨らませて水面に浮き、多くは内臓がはみ出て死ぬ。
3~6月には湖岸の魞と呼ばれる定置網で採られる。
参考文献
- 高橋さち子 2001 イサザ, 川那部浩哉、水野信彦(著) 川那部浩哉、水野信彦(監修) 川那部浩哉、水野信彦(編) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と渓谷社 . p. 616.
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- 飼育方法
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飼育は困難である。
参考文献
- 2018 くらべて分かる淡水魚 - 書籍全体, 斉藤憲治(著) 内山りゅう(他) くらべて分かる淡水魚. 山と渓谷社. .
最終更新日:2020-10-13 ハリリセンボン
- 味や食感
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佃煮、大豆との煮つけ、すき焼きなどが美味である。
参考文献
- 高橋さち子 2001 イサザ, 川那部浩哉、水野信彦(著) 川那部浩哉、水野信彦(監修) 川那部浩哉、水野信彦(編) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と渓谷社 . p. 616.
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- その他
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イサザは琵琶湖の沖合の環境に実によく適応して進化した魚であるといえる。遊泳性を発達させて沖合の餌を活用しているし、再生産を確実にする早くて短い産卵期と期間も、沖合生活での温度環境と結びついた生理機構によって実現されている。
アロザイム分析から、本種は湖岸のウキゴリから分化して深くて広い沖合域に適応したと考えられている。
参考文献
- 原田慈雄 2018 イサザ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 403.
- 高橋さち子 2001 イサザ, 川那部浩哉、水野信彦(著) 川那部浩哉、水野信彦(監修) 川那部浩哉、水野信彦(編) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と渓谷社 . p. 616.
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