- 解説一覧
- アリアケスジシマドジョウ(Cobitis kaibarai)について
アリアケスジシマドジョウ(Cobitis kaibarai)
【IUCN】絶滅の危険が増大している種
【環境省】IA類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの
- 【 学名 】
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Cobitis kaibarai Nakajima, 2012
目次
基本情報
- 大きさ・重さ
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体長:60~70 mm
参考文献
- 2017 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑 - 書籍全体, 中島淳(著) 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑. 山と渓谷社. .
最終更新日:2020-09-18 ハリリセンボン
- 分布
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九州北西部の有明海流入河川:福岡県、佐賀県、熊本県、大分県
参考文献
- 2017 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑 - 書籍全体, 中島淳(著) 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑. 山と渓谷社. .
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- 学名の解説
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本種の種名「kaibarai」は、江戸時代の博物学者である貝原益軒に献名されたものである。
参考文献
- 2017 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑 - 書籍全体, 中島淳(著) 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑. 山と渓谷社. .
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- 別名・方言名
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地方名:カタビラドジョウ(福岡県:混称)
参考文献
- 2017 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑 - 書籍全体, 中島淳(著) 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑. 山と渓谷社. .
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- 分類学的位置付け
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コイ目 ドジョウ科 シマドジョウ属
参考文献
- 中島敦 2018 アリアケスジシマドジョウ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 113.
- 2017 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑 - 書籍全体, 中島淳(著) 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑. 山と渓谷社. .
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- 人間との関係
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本種は朝鮮半島に産する C. tetralineata や C. nalbanti と遺伝的にもっとも近縁であり、九州の淡水魚類相の成立様式を考える上で重要な種である。
当初タイリクシマドジョウの2倍体種族として知られていたが、その後はスジシマドジョウ小型種九州型とされたり、スジシマドジョウ小型種点小型として現在のサンインコガタスジシマドジョウに含められたりと、その位置づけは混乱していた。
しかし遺伝的にも形態的にも独自の特徴をもつことから、2012年に独立新種として記載された。
1700年代初期にまとめられたその著書『大和本草』のシマドジョウ類を解説した頁には、「筑紫ニテカタビラトチヤウト伝」との一文があり、これは九州地方からのシマドジョウ類の分布報告としてもっとも古いものである。
この「カタビラドジョウ」という呼び名は、現在も筑後川流域で主に本種を指す呼び名として稀に聞かれる。
参考文献
- 2017 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑 - 書籍全体, 中島淳(著) 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑. 山と渓谷社. .
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形態
- 成魚の形質
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各鰭の条数は、背鰭棘状軟条3、背鰭分枝軟条7、臀鰭棘状軟条3、臀鰭分枝軟条5、胸鰭棘状軟条1、胸鰭分枝軟条7、腹鰭棘状軟条2、腹鰭分枝軟条5~6、尾鰭8+8。
3対の口ひげを有し、第2口ひげ長は眼径とほぼ同長である。頬の斑紋は比較的細かい。雌と非繁殖期の雄の体側斑紋L5は9~16の円形から楕円形の斑紋列となる。繁殖期の雄の体側斑紋L2とL4はほとんど消失し、L3とL5は明瞭な縦条に変化する。尾鰭と背鰭には3~5列の弓状の横帯がある。尾鰭付け根の黒点は上のみが明瞭で、その大きさは眼径とほぼ同一である。
胸鰭腹鰭間筋節数は13(13~14)。雄胸鰭の骨質盤は単純な円形で、第1分枝軟条の上片は細い。
2倍体性種で、染色体数は2n=50。
同属のヤマトシマドジョウが同一水系に分布するが、口ひげが長いこと、尾鰭付け根の黒点が上下とも明瞭であること、雄胸鰭の第1分枝軟条の上片が太いことから、本亜種との区別は容易である。
分布域外の同属種としては、ハカタスジシマドジョウ、オンガスジシマドジョウ、サンインコガタスジシマドジョウによく似ており、写真のみでの同定は難しい。
参考文献
- 2017 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑 - 書籍全体, 中島淳(著) 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑. 山と渓谷社. .
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- 卵の形質
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卵黄径は約 0.8 mmである。
参考文献
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- 似ている種 (間違えやすい種)
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ハカタスジシマドジョウ、オンガスジシマドジョウ、サンインコガタスジシマドジョウ
参考文献
- 2017 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑 - 書籍全体, 中島淳(著) 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑. 山と渓谷社. .
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生態
- 生息環境
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河川下流域や河川に付随する農業用水路に生息する。わずかに流れがあり、植生が豊富な砂泥底の場所を好む。
参考文献
- 2017 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑 - 書籍全体, 中島淳(著) 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑. 山と渓谷社. .
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- ライフサイクル
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野外では基本的に1年で寿命を終える年魚の可能性が高いが、2年以上生きていると見られる大型の個体もしばしば採集される。
飼育下では3年以上生存する。
参考文献
- 2017 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑 - 書籍全体, 中島淳(著) 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑. 山と渓谷社. .
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- 産卵
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繁殖期は5~7月頃で、冬季に干出し夏季に冠水するような浅い湿地に移動して産卵するものと考えられる。
参考文献
- 2017 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑 - 書籍全体, 中島淳(著) 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑. 山と渓谷社. .
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関連情報
- 味や食感
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福岡県田主丸町付近では、かつて砂糖と醤油で煮て食用にした記録がある。
参考文献
- 2017 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑 - 書籍全体, 中島淳(著) 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑. 山と渓谷社. .
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