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ウシモツゴ(Pseudorasbora pugnax)の分類 Cyprinidae
ウシモツゴ(Pseudorasbora pugnax)の概要 Pseudorasbora

ウシモツゴ(Pseudorasbora pugnax)

危急 (VU)

【IUCN】絶滅の危険が増大している種

絶滅危惧IA類 (CR)

【環境省】ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの

【 学名 】
Pseudorasbora pugnax Kawase & Hosoya, 2015

基本情報

大きさ・重さ

全長:8 cm

参考文献

  • 2017 岐阜県の魚類, 第2版 - 書籍全体, 向井貴彦(著) 岐阜県の魚類, 第2版. 岐阜新聞社. .

最終更新日:2020-07-28 ハリリセンボン

分布

東海地方に固有で愛知県、岐阜県、三重県に分布する。

参考文献

  • 細谷和海 2018 ウシモツゴ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 106.

最終更新日:2020-07-28 ハリリセンボン

別名・方言名

地方名:ウシ・ウシモロコ・ケンカモロコ(岐阜県)

参考文献

  • 内山隆 1989 ウシモツゴ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 308-309.

最終更新日:2020-07-28 ハリリセンボン

分類学的位置付け

コイ目 コイ科 ヒガイ亜科 モツゴ属

参考文献

  • 細谷和海 2018 ウシモツゴ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 106.
  • 内山隆 1989 ウシモツゴ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 308-309.
  • 2017 岐阜県の魚類, 第2版 - 書籍全体, 向井貴彦(著) 岐阜県の魚類, 第2版. 岐阜新聞社. .

最終更新日:2020-07-28 ハリリセンボン

人間との関係

県内の野生生息地は3地点しか残されておらず、オオクチバス・ブルーギルなどの違法放流による絶滅の危機にさらされている。

平野部における本来の生息地についての情報はほとんどないが、西濃地方では水深のある水路と古池(内山, 1987)、岐阜市では水田周辺の水路や伏流水の湧く池であったとされ(向井, 2016a)、モツゴに比べて低い水温を好むことで生息場所を使い分けていた可能性がある。

参考文献

  • 2017 岐阜県の魚類, 第2版 - 書籍全体, 向井貴彦(著) 岐阜県の魚類, 第2版. 岐阜新聞社. .

最終更新日:2020-07-28 ハリリセンボン

形態

成魚の形質

側線は不完全であり、胸鰭上方までしか達しない。成魚になると体側の黒色縦帯が不明瞭になり、追星の発達は日本産のモツゴ類魚類の中で最も悪く、ほとんど目立たない。体側を縦走する黒い縦条を欠くことでシナイモツゴと区別できる。ただし全長 35 ㎜以下のものでは不明瞭な縦条を持つ場合がある。

体形はシナイモツゴに似るが、より頭部が大きく寸詰まりの感じがある。またシナイモツゴより小型である。口が小さく上を向き、口ひげはない。

参考文献

  • 細谷和海 2018 ウシモツゴ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 106.
  • 内山隆 1989 ウシモツゴ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 308-309.
  • 2017 岐阜県の魚類, 第2版 - 書籍全体, 向井貴彦(著) 岐阜県の魚類, 第2版. 岐阜新聞社. .

最終更新日:2020-07-28 ハリリセンボン

卵の形質

卵はシナイモツゴと同じく淡橙色をしている。

参考文献

  • 内山隆 1989 ウシモツゴ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 308-309.

最終更新日:2020-07-28 ハリリセンボン

生態

生息環境

内山(2001)が観察した生息地は、山地が迫った平野の用水路と、それに続く小さな古池であった。用水路は水深が 1.5 m前後と深く、両岸が木の板で杭で補強されている昔からの素掘りである。底質は軟泥で、水は流れたまったくなく、茶色く濁っている。このような生息環境はシナイモツゴのそれと共通する点が多い。

ウシモツゴはこうした水路や池の底層部にある木の板や杭など障害物の間に好んで入り込んでいた。これに対し、同じ生息地にふつうに見られるモツゴは、水草などが繁茂しているところ中層から上層にかけて生息しており、両者の間には水深によるある程度の住み分けが見られる。

岐阜県、愛知県、三重県の東海3県固有で、平野部の水路からは絶滅し、現在では中山間地の溜池にのみ生息する。生息池は10か所にも満たない状態である。

参考文献

  • 細谷和海 2018 ウシモツゴ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 106.
  • 内山隆 1989 ウシモツゴ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 308-309.
  • 2017 岐阜県の魚類, 第2版 - 書籍全体, 向井貴彦(著) 岐阜県の魚類, 第2版. 岐阜新聞社. .

最終更新日:2020-07-28 ハリリセンボン

産卵

産卵期は早いもので3月下旬から始まり、モツゴに比べておよそ1ヵ月余り早い。産卵および産卵行動はモツゴと大差ないが、モツゴよりも密に産み付けられる。卵は孵化まで雄によって保護される。

参考文献

  • 内山隆 1989 ウシモツゴ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 308-309.

最終更新日:2020-07-28 ハリリセンボン

特徴的な行動

産卵期の雄は特に気が荒く、容積の小さな水槽などに何尾も入れておくと、相手を死に至らすまで攻撃する。このとき吻端周辺に見られる追星を使って体あたりをするため、うろこははがれ、ひれが切れてしまうことが多い。

岐阜県下で呼ばれるケンカモロコの異名は伊達ではなく、同じようになわばりを持ち攻撃するモツゴよりも、よりしつこく攻撃する感がある。

人影が水面に映るなどして驚いたとき、頭部を下に向けて泥中に潜る行動を示す。これは自然下でも飼育池でも観察され、シナイモツゴと共通するところであり、モツゴとは大きく異なる。

参考文献

  • 内山隆 1989 ウシモツゴ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 308-309.

最終更新日:2020-07-28 ハリリセンボン

関連情報

その他

岐阜県希少野生生物保護条例指定種、岐阜県レッドリスト絶滅危惧Ⅰ類、岐阜市レッドリスト野生絶滅。

1963年に和名、2015年に学名が付された。

参考文献

  • 細谷和海 2018 ウシモツゴ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 106.
  • 2017 岐阜県の魚類, 第2版 - 書籍全体, 向井貴彦(著) 岐阜県の魚類, 第2版. 岐阜新聞社. .

最終更新日:2020-07-28 ハリリセンボン

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