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- アユモドキ(Parabotia curtus)について

アユモドキ(Parabotia curtus)
【IUCN】ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの
【環境省】ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの
- 【 学名 】
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Parabotia curtus (Temminck & Schlegel, 1846)
目次
基本情報
- 大きさ・重さ
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体長:120~200 mm
参考文献
- 2017 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑 - 書籍全体, 中島淳(著) 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑. 山と渓谷社. .
最終更新日:2020-08-05 ハリリセンボン
- 分布
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琵琶湖淀川水系と山陽地方:滋賀県、京都府、大阪府、岡山県、広島県。なお、滋賀県、大阪府、広島県では絶滅した可能性が高い。
参考文献
- 2017 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑 - 書籍全体, 中島淳(著) 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑. 山と渓谷社. .
最終更新日:2020-08-05 ハリリセンボン
- 生息状況
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近年の人為的な環境改変の影響で生息状況は極めて悪化しており、琵琶湖や淀川水系中・下流域、広島県芦田川水系では絶滅した可能性が高い。
現在確実な生息地は京都府の淀川水系桂川、岡山県の吉井川水系と旭川水系の限られた場所でのみとされ、極めて危機的な状況である。
法的には厳重に保護されており、無許可での採集などは禁止されているが、個体群の復元に向けた実効性のある対策は遅れており、生息状況に改善の兆しはみられない。早急に有効な保全対策を実施していく必要がある。
参考文献
- 中島敦 2018 アユモドキ(アユモドキ属), 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 110.
- 2017 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑 - 書籍全体, 中島淳(著) 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑. 山と渓谷社. .
最終更新日:2020-08-05 ハリリセンボン
- 別名・方言名
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地方名:ウミドジョウ・アイハダ(滋賀県)、アユナギ(京都府)、アモズ・アモウズキ(岡山県)、ウミドンキュウ(広島県)
参考文献
- 2017 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑 - 書籍全体, 中島淳(著) 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑. 山と渓谷社. .
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- 分類学的位置付け
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コイ目 アユモドキ科 アユモドキ属
参考文献
- 中島敦 2018 アユモドキ(アユモドキ属), 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 110.
- 2017 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑 - 書籍全体, 中島淳(著) 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑. 山と渓谷社. .
最終更新日:2020-08-05 ハリリセンボン
- 人間との関係
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見た目の華麗さや生物地理学的な重要性から、まさに日本列島を代表する淡水魚の1つである。
本種が属するアユモドキ科は、主にアジアの温帯域から熱帯域に分布する一群で、極東アジアの離島に分布する本種の存在はアユモドキ科魚類の中でも極めて特異である。もっとも近縁な種は中国大陸中北部に分布するが、遺伝的にはかなりの違いがある。
本種は日本列島が大陸と地続きだった時代に存在した湿地帯を起源とし、大陸から離れた後も生き残り独自に進化した種であると考えられる。
かつてはアユ釣りの囮として、またスッポン釣りの特効餌として利用していたという。また、食用にされた記録も残っている。
参考文献
- 2017 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑 - 書籍全体, 中島淳(著) 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑. 山と渓谷社. .
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形態
- 成魚の形質
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各鰭の条数は、背鰭棘状軟条4~5、背鰭分枝軟条8~10、臀鰭棘状軟条4、臀鰭分枝軟条5、胸鰭棘状軟条1、胸鰭分枝軟条12~14、腹鰭棘状軟条2、腹鰭分枝軟条7、尾鰭10+9~10。
3対の口ひげを有し、体は側扁する。側線は完全で、側線鱗数は130~138。尾鰭後縁は深く叉入する。体側には7~11の暗色横帯があるが、大型の個体では不明瞭になる。背面から側面は縁がかった黄灰色で、腹部は白色。尾鰭基底の中央に黒色斑がある。
2倍体性種で、染色体数は2n=50である。
参考文献
- 2017 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑 - 書籍全体, 中島淳(著) 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑. 山と渓谷社. .
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- 卵の形質
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卵黄径は約 1.0 mmである。
参考文献
- 2017 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑 - 書籍全体, 中島淳(著) 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑. 山と渓谷社. .
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- 似ている種 (間違えやすい種)
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日本産のドジョウ類で似た種はいない。フクドジョウと似たところもあるが、区別は容易である。
参考文献
- 2017 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑 - 書籍全体, 中島淳(著) 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑. 山と渓谷社. .
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生態
- 生息環境
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河川中・下流域やそれに連続した水路などに生息する。特に岩場や石垣などの隠れ場所が豊富な砂礫底の流れのある場所を好む。
参考文献
- 2017 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑 - 書籍全体, 中島淳(著) 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑. 山と渓谷社. .
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- 食性
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動物食で、ユスリカ、トビケラ、カゲロウなどの水生昆虫のほか、イトミミズ、ミズムシ、さらに陸生昆虫をも食べる。
参考文献
- 片野修 1989 アユモドキ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. p. 381.
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- 生殖行動
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まず1尾もしくは複数の雄が1尾の雌を追尾し、そのうち雌雄が1ヵ所に集合して体を互いにすり寄せ体側をこすり合わせながら、尾を打ち振って産卵するらしい。
参考文献
- 片野修 1989 アユモドキ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. p. 381.
最終更新日:2020-08-05 ハリリセンボン
- 産卵
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産卵期は6~8月で、降雨により水位が上昇し、水没してできた植生豊富な湿地環境に侵入して産卵する。産卵は水位上昇が起きた直後のわずかな期間で行われることが知られている。孵化稚魚は、しばらくそのような湿地環境で生長する。
片野(2001)が京都の水田地帯で観察した例では、6月中旬に灌漑が始まってから10日の間、用水路から水田へ遡上するアユモドキの成熟魚が確認された。
仔稚魚は、孵化後も一時的水域にしばらくとどまって、灌水後に大発生するワムシなどのプランクトン動物を食べて成育する。水田地帯では、灌漑期の中頃や終了時に水の供給を停止することがあり、多数のアユモドキが死んで社会問題になることがある。
参考文献
- 片野修 1989 アユモドキ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. p. 381.
- 中島敦 2018 アユモドキ(アユモドキ属), 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 110.
- 2017 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑 - 書籍全体, 中島淳(著) 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑. 山と渓谷社. .
最終更新日:2020-08-05 ハリリセンボン
関連情報
- その他
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国指定の天然記念物(文化財保護法)、国内希少野生動植物(種の保存法)、IUCNレッドリスト絶滅危惧ⅠA類。
参考文献
- 2017 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑 - 書籍全体, 中島淳(著) 日本のドジョウ, 形態・生態・文化と図鑑. 山と渓谷社. .
最終更新日:2020-08-05 ハリリセンボン