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カワヒガイ(Sarcocheilichthys variegatus variegatus)の分類 Sarcocheilichthys
カワヒガイ(Sarcocheilichthys variegatus variegatus)の概要 Sarcocheilichthys variegatus

カワヒガイ(Sarcocheilichthys variegatus variegatus)

準絶滅危惧種 (NT)

【環境省】現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種

【 学名 】
Sarcocheilichthys variegatus variegatus (Temminck & Schlegel, 1846)

基本情報

大きさ・重さ

全長:12 cm

参考文献

  • 2017 岐阜県の魚類, 第2版 - 書籍全体, 向井貴彦(著) 岐阜県の魚類, 第2版. 岐阜新聞社. .

最終更新日:2020-07-29 ハリリセンボン

分布

愛知県豊川水系以西の本州太平洋岸と山陽地方、九州北西部、壱岐(絶滅)、京都府由良川、兵庫県円山川、島根県江の川に分布する。

参考文献

  • 細谷和海 2018 カワヒガイ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 107.

最終更新日:2020-07-29 ハリリセンボン

別名・方言名

地方名:サクラバエ(岐阜県、近畿地方)、ヤナギバエ(兵庫県、岡山県)、ホヤル(岡山県津山市周辺)

参考文献

  • 細谷和海 1989 カワヒガイ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 310-311.

最終更新日:2020-07-29 ハリリセンボン

分類学的位置付け

コイ目 コイ科 ヒガイ亜科 ヒガイ属

参考文献

  • 細谷和海 1989 カワヒガイ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 310-311.

最終更新日:2020-07-29 ハリリセンボン

人間との関係

美味であるが、漁獲量は少ない。

移植されたビワヒガイとの交雑が危惧される。

参考文献

  • 細谷和海 1989 カワヒガイ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 310-311.
  • 細谷和海 2018 カワヒガイ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 107.

最終更新日:2020-07-29 ハリリセンボン

形態

成魚の形質

体の大きさは日本産のヒガイ属中最も小さい。頭は小さく、眼は大きい。吻はまるい。口は小さく、極めて短い1対の口ひげを備えるかこれを欠く。同属のほか2種に比べて尻びれが前方にあり、尾柄が発達する。尾柄高は頭長の49%以上、各ひれの後縁はまるみを帯び、尾びれ後縁の切れ込みはゆるやかでビワヒガイとのよい識別形質となる。

体色は金属光沢のある灰色で、腹面は淡い。体側には小さな暗色斑が散在して、雲状斑を形成し、その密度はビワヒガイよりも高い。胸びれ基底の上方には顕著な半月形の暗色斑が、背びれには1本の黒色帯がある。側線、頭部の側線器官とも完全である。主鰓蓋骨は、ビワヒガイとアブラヒガイに比べて前後に幅が狭い。咽頭歯は1列である。

成熟した雄では、やや大きな追星が吻側面に、顆粒状の追星がえらぶたにあらわれる。雄の婚姻色はビワヒガイに比べてより顕著で、体とひれは黒ずみ、眼は赤く、ほほとえらぶたはピンク色に変わり、背びれの黒色帯は不明瞭となる。また雌では 1~2 cmの産卵管を伸長させる。

参考文献

  • 細谷和海 1989 カワヒガイ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 310-311.

最終更新日:2020-07-29 ハリリセンボン

稚魚・仔魚・幼魚の形質

全長 6~7 cmくらいまでの幼魚は、体側に眼の後部から始まる1本の明瞭な黒い縦条を備える。

参考文献

  • 細谷和海 1989 カワヒガイ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 310-311.

最終更新日:2020-07-29 ハリリセンボン

卵の形質

卵は沈性粘着卵で、産卵直後では径 2.0~2.5 mmである。黄色みが強く、動物極側をひとつの頂点とする円に近い楕円形をしている。吸水後では径 4.7~5.3 mmとなり、粘着性を失う。

参考文献

  • 細谷和海 1989 カワヒガイ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 310-311.

最終更新日:2020-07-29 ハリリセンボン

生態

生息環境

川の中流から下流域やこれに連絡する灌漑用水路の、わずかに流れがある水深 1~3 m程度の砂礫底を主な生息場所とし、岩・コンクリートブロックや沈水植物のすき間に潜む。

参考文献

  • 細谷和海 1989 カワヒガイ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 310-311.

最終更新日:2020-07-29 ハリリセンボン

食性

ユスリカ幼虫などの水生昆虫、小型巻貝、石面に付着する有機物や藻類を食べる。

参考文献

  • 細谷和海 1989 カワヒガイ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 310-311.

最終更新日:2020-07-29 ハリリセンボン

ライフサイクル

水温20℃で、受精後約10日で孵化する。孵化直後の仔魚は全長約 9 ㎜で、すでに口は開き、眼も完成し、背びれや尾びれの形成も始まっている。孵化後仔魚はすぐに貝の外へ泳ぎ出す。稚魚は2~3尾で移動しながら摂餌する。

満1年で全長 5~7 cm、2年で 7~10 cmに成長する。雌雄ともふつう満2年で成熟する。

参考文献

  • 細谷和海 1989 カワヒガイ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 310-311.

最終更新日:2020-07-29 ハリリセンボン

産卵

産卵期は5~7月で、最盛期は5月下旬~6月上旬である。成熟時の全長は雌雄とも最小で約 6 cm。

卵はイシガイ、ササノハガイ、タガイなど淡水二枚貝の外套腔へ産みこまれるが、タナゴ類と異なり、産卵管は貝の入水管に挿入される。

参考文献

  • 細谷和海 1989 カワヒガイ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 310-311.

最終更新日:2020-07-29 ハリリセンボン

その他生態

国内では濃尾平野から九州に分布するが、濃尾平野の在来個体群は他地域とは遺伝的に大きく異なる(鈴木ほか, 2016)。

参考文献

  • 2017 岐阜県の魚類, 第2版 - 書籍全体, 向井貴彦(著) 岐阜県の魚類, 第2版. 岐阜新聞社. .

最終更新日:2020-07-29 ハリリセンボン

関連情報

味や食感

唐揚げなどにすると大変美味である。

参考文献

  • 2017 岐阜県の魚類, 第2版 - 書籍全体, 向井貴彦(著) 岐阜県の魚類, 第2版. 岐阜新聞社. .

最終更新日:2020-07-29 ハリリセンボン

その他

本亜種と、朝鮮半島に分布するミナミヒガイ S. v. wakiyae は密接な類縁関係にある。

岐阜市レッドリスト準絶滅危惧、加茂地区レッドリスト絶滅危惧Ⅱ類、御嵩町希少野生生物保護条例指定種。

参考文献

  • 細谷和海 1989 カワヒガイ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 310-311.
  • 2017 岐阜県の魚類, 第2版 - 書籍全体, 向井貴彦(著) 岐阜県の魚類, 第2版. 岐阜新聞社. .

最終更新日:2020-07-29 ハリリセンボン

種・分類一覧