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- ハマグリ(Meretrix lusoria)について
ハマグリ(Meretrix lusoria)
【環境省】絶滅の危険が増大している種
- 【 学名 】
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Meretrix lusoria (Röding, 1798)
目次
基本情報
- 生息状況
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ハマグリは、アサリよりも水質の変化に敏感で、水の汚濁に弱い。かつて、東京湾はハマグリの産地として知られていた。昭和10年代では、アサリの7万トンには及ばないものの、8000トンの水揚げが記録されている。しかし、その姿が見られたのは昭和30年代頃までで、その後は東京湾から姿を消している。
ハマグリの資源が激減、あるいは減少しつつあるのが、現在の日本各地にほぼ共通して見られる傾向である。水の汚濁はもとより、埋立による干潟の消失がそれに拍車をかけている。
参考文献
最終更新日:2020-11-10 En
- 人間との関係
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季題は<春>
「蛤を 焼く松原の 火の粉かな 草々子」
「蛤を 掻く手にどゞと 雄波かな 虚子」
「蛤に 雀の斑あり 哀れかな 村上鬼城」
「蛤の 一串辛き 空のいろ 飯田龍太」
ハマグリを食用とした歴史は古く、縄文時代の貝塚からもハマグリの貝殻が出土している。文献にも数多くの記述があり『日本書紀』に「白蛤を膾に為りて」、『魚鑑』に「はまぐり和名抄に出づ。兼名苑に蚌蛤(ボウコウ)とす。漢名文蛤」、『和漢三才図会』に「五疳および婦人の崩漏を治す。小便の通じをよくし、煩渇(はげしい口渇)を止める」とある。
鎌倉時代から室町時代にかけて、表面に美しい模様があるため、そこに仏教の経文を一字ずつ書いた「貝殻経」というものがあった。
色、形が似ていても元々対になっていたもの同士でしか重ならないことから、平安時代には「貝合わせ」という遊びが貴族の間で流行した。これは後に夫婦和合の象徴として、嫁入り道具の一つになっている。
その昔、弘法大師が日向の地を通りかかり、浜で貝を拾うおかねという女に出会った。大師が「空腹なので貝をくれぬか」と頼んだところ、おかねは「これは石ころだ」と嘘をついた。次に大師は隣の浜へ行き、おくらという女に同じことを頼んだ。おくらは、カゴのなかのハマグリを快く大師に差し出した。以来、おくらのいたお倉ヶ浜ではハマグリを多く産するようになるが、おかねがいたお金ヶ浜では、さっぱり取れなくなってしまったという。
ハマグリの紋は、貝の開いたものと、閉じたものとある。使用家は『寛政重修諸家譜』に藤原氏秀郷流の青木氏、藤原氏支流の石場氏とある。
参考文献
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形態
- 成体の形質
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二枚貝。形は三角形に近く、円みを帯びる。貝殻は比較的薄い。殻頂部はよく膨らむ。腹縁は緩く湾曲する。殻表は平滑で光沢がある。色彩変異が多く、白色から淡褐色までさまざまである。
通常、殻頂から褐色で幅広い放射状の縞が2帯、腹縁に向かって走っている。殻表内面は白色。
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- 似ている種 (間違えやすい種)
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近似種にチョウセンハマグリ Meretrix lamarckii がある。ハマグリより大きくなり、貝殻も厚い。また、朝鮮半島には中国大陸にはシナハマグリ Meretrix pethechialis が生息しており、近年では大量に輸入されている。
シナハマグリはハマグリと非常によく似ており、シナハマグリの方が貝殻の膨らみが強いが、見分けることはかなり難しい。
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生態
- 生息環境
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比較的水のきれいな内湾浅海域の砂泥底に生息し、淡水の影響を受ける河口付近などに多い。通常、成貝は海底から 10 ㎝前後砂中に潜っており、水管を直上に伸ばして呼吸する。生息水温は8〜28℃。これより低水温、または高水温が長く続くと斃死する。
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- ライフサイクル
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産卵期は夏で、東北地方では7〜9月、伊勢湾では5〜7月、瀬戸内海では8月、有明海では6月が産卵盛期となる。
受精後24時間前後で長径 120 μm、短径 70 μmのベリジャー(Veliger)幼生になる。
20日前後の浮遊生活をしたのち、300 μm前後に成長して、底生生活に移行する。着底する場所は泥分が比較的少なく、淡水の影響を受ける低塩分の細砂底で、干潮時の干出時間が4〜6時間の潮間帯である。照度は3000〜5000ルクス程度の場所が好適とされている。
稚貝は越年し、春になると潮に乗って沖合の深場へ移動する。ハマグリは水温11℃以下ではほとんど成長できないため、水温が11℃以下になる冬期はほとんど成長が止まる。したがって、成長は春から秋の高水温期に進む。
生後1年で殻長 2〜20 ㎜、2年で 40 ㎜前後に成長する。寿命は7〜8年。
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関連情報
- 養殖方法
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紫外線照射刺激や温熱刺激を組み合わせることによって、産卵を誘発することが可能である。したがって、人工種苗を生産することは容易になったが、ハマグリ稚貝は移動性があるため、稚貝を育成、蓄養するためには適切な養殖場を必要とする。
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- 味や食感
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大きすぎるものは大味になる。中ぐらいの、口がしっかり閉じ、殻に光沢があるもの、打ち合わせて澄んだ音がするものを選ぶ。古くから上品な味が好まれ、焼き蛤、蒸し物、吸い物、釜飯などいろいろに楽しめる。
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